家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「92話」

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その後の狩りは順調に進んだ。
何度か増援が来る場面もあったが、先程の反省もあって落ち着いて対象する事が出来た。

増援が来るまで多少時間の余裕があるので、合流する前に元いた敵を倒しきってしまえば良いのである。

しばらく狩り進めていると、俺とクロのバックパック……それに予備の奴、それらが剥ぎ取り品で一杯になってきた。

そろそろ引き上げ時かなー?と考えていると、ふと壁に何かが半ば埋もれているのを発見する。


「んん……?宝箱だっ!?」

それは宝箱であった。
普通、一度の探索でいくつか見つかるはずの宝箱が、何故かここまで一度も出て来てなかったんだよね。

珍しい事も有るな、と思っていたのだけど……今、目の前にある宝箱は、宝飾がついた豪華な物である。

……もしかして、宝箱が出る確率が減って、その分良いものが出るようになったとかだろうか?

だとしたらそっちの方が俺としてはありがたい。
正直、ポーションをたくさんとか、いらない武器をいくつか貰ってもあまり嬉しくは無かったんだよねー……せいぜいポイントに変換するぐらいしか使い道無いし。


まあ、それは置いといて。

「やった!久しぶりに出たぞー……中身なんだろうね?」

久しぶりの豪華な宝箱である。
前回はスキルを使用できる様になる強化素材と、宝石が何個か入ってたんだよね。

こいつの中身も期待できると言う物だ。
出来れば青っぽいオパールみたいな宝石が欲しいね。クロの障壁を強化したい。

「さてさて中身は何かな」

んま、開けて見てのお楽しみ……と、言うわけでぱかっとな




「…………こ、これはっ!?」

やべえのが出た。

宝箱から出た物を見て、俺は躊躇うことなく身に着ける。
そして今日の探索はもう終わりだと、鼻歌交じりで帰るのであった。






「ただいまです!」

上機嫌で休憩所へと戻る俺。
クロも久しぶりにバックパックが満杯になったので嬉しそうである。
やっぱ攻略は進めないとねー。

「おっと」

俺たちが戻ってきた事に気が付いた隊員さん達やお偉いさんが、一斉にこちらへと視線を向けてきた。
ちょっち声がデカすぎたかも知れない。口を押さえるが……今更の話なので、すぐに手を放して……個室の扉を開けてバックパックを放り込む。
中身はシャワー浴びたら整理するつもりだよ。



「島津さんおか……おか、おかえり、なさい」

「おかーえりー?」

シャワーに向かおうとした俺に、大野さんと北上さんが声をかけてくる。
視線が俺の頭部に向けられ、固まっている……ま、仕方ないだろう。俺の頭はさっき見つけた宝箱の中身を装着しているからね。あげないよ?


辺りを見渡せば他の隊員さんや、お偉いさんも俺を……というか俺の頭部をガン見していた。
隊員さんは何時の間にか全員集合してるね。何かあったのかなー?

あ、お偉いさん方が視線逸らしたぞ。
そして筋トレを続行しだした……ってか、まだ筋トレ続けてたのね。


「……まだ筋トレやってたんですね」

「あ、はい、そうっすね」

「何かねー、凄い勢いで筋肉ついてくから、皆やる気みたいよー」

まあ、そうだろうね。
二人の話を聞いてへー。とか呟きつつ筋トレの様子を観察してみる。


「午前中と比べて明らかに筋肉ついてますもんね」

明らかに体が締まってきているし、筋肉がついているのが良く分かる。やっぱヤバすぎだね、この筋トレ。

っと、カメラ返却しないと。


「……あ、都丸さん。これカメラ返却します」

「あ、はい……ありがとうございます」

田尻さんは忙しそうだったので、都丸さんに返却しておいた。
てか、口調がすごいよそよそしい。なんでや。


まあ良いや。
とりあえずシャワー浴びてしまおう。
装備はシャワー浴びてる間にランドリーで洗っちゃおう。


と言った感じで、俺はふんふーんと鼻歌を歌いながらランドリーへと続く扉を開けるのであった。






一方その様子を見ていた隊員達はと言うと……。

「ちょ、隊長あれなんなんすか?突っ込んだ方が良いんすか???」

「俺が知るかっ」

島津が着けていた物について話しているようだ。

出発の際には着けていなかったので、ダンジョン内で入手したのだとろうと想像はつくのだが……。

「滅茶苦茶嬉しそうにしてたっすよ」

「なあ、なんで猫耳つけてたんだ?」

「知らないっすよぉ……」

「尻尾も生えてるし、そう言う趣味なのか……?」

「知らないっすよぉぉ……」

着けている物が問題だった。
まさかの猫耳である。

隊員達の会話に紛れ込む宇佐見であったが、彼の問いに対する答えを持っているのは島津のみである。

「まあ、たぶん、趣味だろ」

「あの年でか……」

「業が深い」

本人不在の間に色々と勘違いされる島津であった。




で、当の本人はと言うと。

「いやー、良いもの手に入ったなー。猫耳をアクセサリーにするとか、アマツさんも良い仕事するねえ。あとで菓子折持って行かなきゃ」

そんな認定を受けているとは知らずに、機嫌良さげにシャワーを浴びていたりする。

シャワーを浴びているのに尻尾と猫耳が着いたままだったりする辺り、本当にあれなのかも知れない。

まあ、言い訳するとしたら、尻尾は勿論猫耳も感覚があって動かせると言うのが大きい。
ずっと使い続けていた島津にとって、もはや尻尾は体の一部の様な物であって……じゃあ猫耳はどうなんだ?と言われると返答に困るので、やっぱアレなのかも知れない。
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