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「94話」
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そんな事があった日の夕方。
俺は週末の予定についてじいちゃんと相談をしていた。
この前じいちゃんからコンバインの乗り方を教えてもらう約束をしたのでその件についてである。
「んじゃ、明日の9時ぐらいに行くねー」
「おう、待っとるでな」
じいちゃんも特に急な用事があるとか言った事も無く、予定通り乗り方を教えて貰うことになった。
乗ったことないから正直不安ではある……じいちゃんは簡単だ、小学生でも出来るって言ってたけどね。
ま、なるようになんべ!
で、翌日の早朝。
じいちゃんばあちゃんの家に向かった俺だけど、出迎えてくれるなり――
「んじゃ、それ乗ってみい」
――と言われ、いきなり乗ることになった。
事前説明とかないんかい。
って思ったけど、実際乗りながら説明した方が早いとのこと。
まあ、そうだよね。
「こっちが前進後退の切り替え、でこっちがスピード調整用」
「ふむふむ」
コンバインの操作だけど、アクセルとかはあまり使わないみたいで、レバーとかの操作がメインみたいだ。
「刈り入れの時はここと、ここをレバー倒して前に進めばええ」
「おー……」
「意外と簡単じゃろ?」
「慣れれば大丈夫そうだね」
そこまで複雑な操作はないので、何度かやれば覚えられそうである。
いやー、難しくなくて良かった。
まあ操作難しかったら、農家の人みんな困っちゃうし、当然だよな。
「刈り入れは再来週だなあ。台風こんかったらやるから、そんときゃまた連絡するでな」
「うん、お願いー」
1~2時間ざーっと実際に操作してみて、何となく行けそうだったので後は実践で鍛えろとのことだ。
自分のことながら大丈夫かなーって気がしなくもない。
まあ、実際作業するときはじいちゃんもばあちゃんも近くにいるし、何かあればすぐ聞けば良いしね。気楽に行こう気楽に。
練習も終わったので、一旦家に戻ろうかなーって流れになったんだけど、じいちゃんが何か言い難そうに、俺に声をかけてきた。
「……あとはお盆には皆集まる。康平も来ると良い」
「……分かった。ありがとう」
お盆か。
……俺の場合、と言うか島津家の場合は両親の一周忌でもある。
去年の俺のへこみっぷりを知っているじいちゃんからすると、言いだし辛かったんだろう。
確かに、まだ色々と心の整理はついていないし、思い出すと辛いけど。
……ダンジョンが出来て、ポーションがあって、それで少しだけ希望が生まれた。最初は全然考えもしなかったんだけどね。
ポーションの存在によって、怪我も病気も老い怖くなくなる。
人類の望む3つが叶う訳だけど……ダンジョンはまだまだ奥があるはずだ。
怪我も病気も老いも克服した訳だけど、まだ克服出来ていないものがある。
ダンジョンを踏破したら、死に関係する何かがあるんじゃないか……と、俺は期待している。
「そのためにも、潜らないとね」
だからダンジョンは潜り続けないといけない。
色々がんばろう。
午後はフリーな時間だったので、クロと一緒に16階層の攻略を進めた。
また宝箱が出ないかなーと言う期待と、あとカードも揃えたいのもある。
あ、ちなみに宝箱の中身だけどね、猫耳以外にもちゃんと宝石入っていたよ。
青色のオパールっぽいやつなので、クロの障壁をきっちり強化しておいた。
これで防御面はぐっと良くなったはずである。
大体4時間ぐらい狩り続けていた時だった。
倒した敵がついにカードをドロップした。
「お、キモイのからカードでた」
出たのはキモイやつからだ。
あいつの正体って何なんだろうな。コボルトとかオーガは分かりやすいけど、あいつは正直良くわからない。
各地の伝承とか探せばあんな感じのが居るのかも知れないけど……まあキモイのでいっかと思って、調べてなかったりする。
「あ、やっぱ火球が使えるようになるのね。カードのレベルは3だからクロいけるね」
で、肝心のカード効果だけど、火球って魔法を使えるカードだった。
まあ予想通りの効果ではあるね。
レベルは3なので、氷礫より強力じゃないかなーと思う。
俺の猫耳にはまだセット出来ないので、当面の間はクロに頑張って使ってもらおう。
さて、ちょっと早いけどカード出たし、地上に戻りますかね。
「あれ、都丸さんだ」
ゲートを潜って休憩所に行くと、都丸さんが居た。
髪が濡れてるし、シャワーでも浴びていたのだろうか?他の隊員さんはー……まだシャワーかな?
「よお、上りかい?」
「ええ、都丸さんもですか?」
「ああ、いま戻ってきた処だよ。やっと俺たち以外のメンバーもチュートリアル突破したんでな、次の階層に……行く前にゴブリンを狩ってポイント確保してたんだ」
俺の問いにそう答える都丸さん。
やっぱダンジョン潜ってたのか……てか土曜日もやるのか、適度に休まないときつい気がするけど、そこはまあ経験豊富だろうし、俺が心配するような物でもないか。
まあ、頑張る気持ちはよくわかる。
全員の装備を改造しないといけないし、最初はポイントかつかつだろうしなあ。
前に倒したゴブリンのナイフは取って置いてあるけど、あれを全部ポイントに変換したとして一人をフル改造出来るかどうか……まあ、一度フル改造してしまえば後はレベル上がる度に一つ改造するだけだからね、そこまで負担ではなくなるはずだ。
毎度、新しい武具を買うつもりなら話は別だが。
……ん?あれ、そう言えばポイントって自由に使えるようになったんだろうか?
てか、相談しようが無いから判断に困る気がするけど。
そう思い、都丸さんに尋ねてみると。
「ポーションを入手する手段は確保できた。ただ大量に入手するには深く潜る必要があり、深く潜るための準備をするとポーションの入手が限られる……と言った事を話したら、深く潜る事を優先すること、ルールが決まるまでは各自の判断に任せる、と返事があってな」
との事で、ある程度ポイントは自由に使えるそうだ。
ぼかして伝える分には制限掛からないのかねー?それともアマツがちょっと制限を緩めたのか……まあ良いや。ポイントを自由に使えるのであれば隊員さんも装備を改造するなり買うなりして、色々と強化されるし、攻略も捗ることだろう。
「他の隊員さんってここでレベル上げしてるんですか?」
ふと気になったので聞いてみる。
ここで都丸さん達以外の隊員さんってあまり見ないんだよね。
もしかすると他の場所で鍛えているのかも。
「いや、ここは俺たちとお偉いさん方のみだ……さすがにこの状況で他の隊員を入れる訳にもな」
ですよねー。
俺が他の隊員の立場だったとして、こんな日本のお偉いさん大集合な状況に入りたいか?と言われたら、そりゃ答えはノーですわ。
「と言う訳で、他の隊員は小ダンジョンで鍛えているよ。今日チュートリアル突破した連中が、明日以降の教官役を引き継ぐから俺たちは攻略に専念できるって訳だ」
「なっるほどー」
そりゃ良いことだ。
小ダンジョンも敵はそんな強くないはずだし、鍛えている人らなら問題ないのかな。
他のダンジョン覗いてみたい気持ちはちょっとあるけど、まあその内だね。
「月、火曜は筋トレ継続しているだろうし、同行をお願いするが問題ないか?」
「ええ、大丈夫ですよー」
月、火曜は攻略進めるってことだね。
半分は筋トレの補助に残らないとだから、また4人ずつやる感じかな?
そろそろ階層が変わる毎の敵の強化具合がエグくなって来るし、どうなるかなー。
俺は週末の予定についてじいちゃんと相談をしていた。
この前じいちゃんからコンバインの乗り方を教えてもらう約束をしたのでその件についてである。
「んじゃ、明日の9時ぐらいに行くねー」
「おう、待っとるでな」
じいちゃんも特に急な用事があるとか言った事も無く、予定通り乗り方を教えて貰うことになった。
乗ったことないから正直不安ではある……じいちゃんは簡単だ、小学生でも出来るって言ってたけどね。
ま、なるようになんべ!
で、翌日の早朝。
じいちゃんばあちゃんの家に向かった俺だけど、出迎えてくれるなり――
「んじゃ、それ乗ってみい」
――と言われ、いきなり乗ることになった。
事前説明とかないんかい。
って思ったけど、実際乗りながら説明した方が早いとのこと。
まあ、そうだよね。
「こっちが前進後退の切り替え、でこっちがスピード調整用」
「ふむふむ」
コンバインの操作だけど、アクセルとかはあまり使わないみたいで、レバーとかの操作がメインみたいだ。
「刈り入れの時はここと、ここをレバー倒して前に進めばええ」
「おー……」
「意外と簡単じゃろ?」
「慣れれば大丈夫そうだね」
そこまで複雑な操作はないので、何度かやれば覚えられそうである。
いやー、難しくなくて良かった。
まあ操作難しかったら、農家の人みんな困っちゃうし、当然だよな。
「刈り入れは再来週だなあ。台風こんかったらやるから、そんときゃまた連絡するでな」
「うん、お願いー」
1~2時間ざーっと実際に操作してみて、何となく行けそうだったので後は実践で鍛えろとのことだ。
自分のことながら大丈夫かなーって気がしなくもない。
まあ、実際作業するときはじいちゃんもばあちゃんも近くにいるし、何かあればすぐ聞けば良いしね。気楽に行こう気楽に。
練習も終わったので、一旦家に戻ろうかなーって流れになったんだけど、じいちゃんが何か言い難そうに、俺に声をかけてきた。
「……あとはお盆には皆集まる。康平も来ると良い」
「……分かった。ありがとう」
お盆か。
……俺の場合、と言うか島津家の場合は両親の一周忌でもある。
去年の俺のへこみっぷりを知っているじいちゃんからすると、言いだし辛かったんだろう。
確かに、まだ色々と心の整理はついていないし、思い出すと辛いけど。
……ダンジョンが出来て、ポーションがあって、それで少しだけ希望が生まれた。最初は全然考えもしなかったんだけどね。
ポーションの存在によって、怪我も病気も老い怖くなくなる。
人類の望む3つが叶う訳だけど……ダンジョンはまだまだ奥があるはずだ。
怪我も病気も老いも克服した訳だけど、まだ克服出来ていないものがある。
ダンジョンを踏破したら、死に関係する何かがあるんじゃないか……と、俺は期待している。
「そのためにも、潜らないとね」
だからダンジョンは潜り続けないといけない。
色々がんばろう。
午後はフリーな時間だったので、クロと一緒に16階層の攻略を進めた。
また宝箱が出ないかなーと言う期待と、あとカードも揃えたいのもある。
あ、ちなみに宝箱の中身だけどね、猫耳以外にもちゃんと宝石入っていたよ。
青色のオパールっぽいやつなので、クロの障壁をきっちり強化しておいた。
これで防御面はぐっと良くなったはずである。
大体4時間ぐらい狩り続けていた時だった。
倒した敵がついにカードをドロップした。
「お、キモイのからカードでた」
出たのはキモイやつからだ。
あいつの正体って何なんだろうな。コボルトとかオーガは分かりやすいけど、あいつは正直良くわからない。
各地の伝承とか探せばあんな感じのが居るのかも知れないけど……まあキモイのでいっかと思って、調べてなかったりする。
「あ、やっぱ火球が使えるようになるのね。カードのレベルは3だからクロいけるね」
で、肝心のカード効果だけど、火球って魔法を使えるカードだった。
まあ予想通りの効果ではあるね。
レベルは3なので、氷礫より強力じゃないかなーと思う。
俺の猫耳にはまだセット出来ないので、当面の間はクロに頑張って使ってもらおう。
さて、ちょっと早いけどカード出たし、地上に戻りますかね。
「あれ、都丸さんだ」
ゲートを潜って休憩所に行くと、都丸さんが居た。
髪が濡れてるし、シャワーでも浴びていたのだろうか?他の隊員さんはー……まだシャワーかな?
「よお、上りかい?」
「ええ、都丸さんもですか?」
「ああ、いま戻ってきた処だよ。やっと俺たち以外のメンバーもチュートリアル突破したんでな、次の階層に……行く前にゴブリンを狩ってポイント確保してたんだ」
俺の問いにそう答える都丸さん。
やっぱダンジョン潜ってたのか……てか土曜日もやるのか、適度に休まないときつい気がするけど、そこはまあ経験豊富だろうし、俺が心配するような物でもないか。
まあ、頑張る気持ちはよくわかる。
全員の装備を改造しないといけないし、最初はポイントかつかつだろうしなあ。
前に倒したゴブリンのナイフは取って置いてあるけど、あれを全部ポイントに変換したとして一人をフル改造出来るかどうか……まあ、一度フル改造してしまえば後はレベル上がる度に一つ改造するだけだからね、そこまで負担ではなくなるはずだ。
毎度、新しい武具を買うつもりなら話は別だが。
……ん?あれ、そう言えばポイントって自由に使えるようになったんだろうか?
てか、相談しようが無いから判断に困る気がするけど。
そう思い、都丸さんに尋ねてみると。
「ポーションを入手する手段は確保できた。ただ大量に入手するには深く潜る必要があり、深く潜るための準備をするとポーションの入手が限られる……と言った事を話したら、深く潜る事を優先すること、ルールが決まるまでは各自の判断に任せる、と返事があってな」
との事で、ある程度ポイントは自由に使えるそうだ。
ぼかして伝える分には制限掛からないのかねー?それともアマツがちょっと制限を緩めたのか……まあ良いや。ポイントを自由に使えるのであれば隊員さんも装備を改造するなり買うなりして、色々と強化されるし、攻略も捗ることだろう。
「他の隊員さんってここでレベル上げしてるんですか?」
ふと気になったので聞いてみる。
ここで都丸さん達以外の隊員さんってあまり見ないんだよね。
もしかすると他の場所で鍛えているのかも。
「いや、ここは俺たちとお偉いさん方のみだ……さすがにこの状況で他の隊員を入れる訳にもな」
ですよねー。
俺が他の隊員の立場だったとして、こんな日本のお偉いさん大集合な状況に入りたいか?と言われたら、そりゃ答えはノーですわ。
「と言う訳で、他の隊員は小ダンジョンで鍛えているよ。今日チュートリアル突破した連中が、明日以降の教官役を引き継ぐから俺たちは攻略に専念できるって訳だ」
「なっるほどー」
そりゃ良いことだ。
小ダンジョンも敵はそんな強くないはずだし、鍛えている人らなら問題ないのかな。
他のダンジョン覗いてみたい気持ちはちょっとあるけど、まあその内だね。
「月、火曜は筋トレ継続しているだろうし、同行をお願いするが問題ないか?」
「ええ、大丈夫ですよー」
月、火曜は攻略進めるってことだね。
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