家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「281話」

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「許可は勿論とってあるよ?」

若干距離をとる俺たちに向かい、心外だというような表情でそう話す。
ほんとかなあ?

……まあ、嘘つく必要はたぶんないし。本当だろうとは思うけどさ。

たぶん生首が参考にしたのって、ちょっと不思議な感じのダンジョンシリーズだと思うんだよね。
俺の家にもいくつかソフトがあったし……メーカーの社長さんあたりに許可とったんだろうか? 夢枕にこいつが立つとかご愁傷さまです。

「まあ、そういうことならいいんだけど」

「さっそくいってみるー?」

「んじゃ、着替えるか」

あのゲームを参考にしたのであれば、結構楽しめると思うんだよね。
気になるのはあのゲーム死ぬ時はあっさり死ぬ難易度だから、それがどこまで参考にされているかだなあ。

最初に強力な装備を入手できれば大分楽になるだろうけど……ん、まてよ?

「ちょいまって。空腹度とかあったりするのか?」

あのシステムまで参考にされると、さらに難易度跳ね上がるがな。
さっき敵を倒すと装備をドロップするっていってたから、下手すると食糧の入手手段もそれになる可能性がある。
倒した敵を食えるならまだいいけど……さて、どっちだ。

「それはないよ。落ちているものを拾って食べるのは嫌がる人が多そうだからねえ」

「あ、ちゃんと考慮したんだ」

「当然だよきみぃ」

急に上司っぽい口調なるのやめてください。
ほんとこいつのキャラ分からん……。さて、ほかに何かあったかな?

問題なければ潜ってしまいたいけど……あ、そうだ。
レベル1からはじまるんだよな? それって、俺とかは問題なくてもクロはどうなるんだ?
相手がネズミとかじゃない限り、さすがに厳しいと思うんだけど。

まあ何かしら対策しているとは思うけど、聞いてみるか。

「あと一個。レベル1からって話だけど、クロとかどうなるん? さすがに厳しいと思うんだけど」

「ちゃんと補正いれるから安心すると良い。大体成人男性と同程度の強さになるように調整しているよ。ああ、女性に関しても少し補正は入るよ」

「へえ」

思っていたより考えていた。
ついつい関心してしまったじゃないか。
アマツよりしっかしているんじゃ……とか一瞬頭を過ったのは秘密だ。

「んじゃ、着替えるか」

「そうすっか」

「じゃ、私ここ使うねー」

とりあえず疑問に思うところはなくなったということで、着替えをしよう。
更衣室っぽいのは人数分ちゃんと用意してくれてるのはありがたい。

野郎の着替えなんぞみとうない。

「葛篭になんか入ってる」

装備をぽぽいと脱いで、葛篭の中にいれておこうと開いたら、服っぽいのが中にはいっていた。
これに着替えろってことだろうか? 私服でいこうかと思っていたから助かるね。

「はて?」

……んんん? この服ってあれか、袴ってやつだよな?
格好まで和風で揃えてきたか。

モンスターもそっちで揃えてるかも知れんな、こりゃ。
海外の人に受けそうな動画になりそうね。

「遥さんところの道場で着たのとはちょっと違うな」

道場の袴は、足の部分がひらひらとしていたのだけど、葛篭に入っていたのは閉じてる。
なんだっけ、裁着袴っていうんだっけかな? これはこれで動きやすいから良いね。

「クロのもあるけど」

葛篭には俺だけじゃなく、クロ用の着替えも入っていた。

なんていうのかな……金太郎がお腹につけているやつって言えば分かるかな?
あれの猫用のが入っていたよ。

「つけるよね?」

手に取りクロにみせ尋ねると、クロはちょっといやそうに『ぶにゃ』と鳴いた。
っしゃあねえなあってことらしい。

「んじゃ、こっちおいで」

自分でつけるのは大変そうだから、俺がつけてあげよう。

このダンジョンで入手できるのって、全部和風な装備になるんかな。
そうなると俺であれば鎧とか兜とか? クロの場合はどうなるんだろう。
猫用の鎧とかになるんかねえ。

……結構みてみたいな!
楽しみが増えてしまった。

クロに装備をつけて廊下にでると、先に着替え終えた中村が俺に向かい『よっ』て感じで手を上げる。

「おまたー……中村なんか似合ってんな」

「お、そうか?」

髪が短いからかな。
なんか似合ってんよな、こいつ。

太郎は……なんでほっかむりしてるんですかねえ。
似合ってるっちゃ似合ってるけど。

「おまたせー。みんな似合ってるね」

「遥さんも似合ってますね」

「そお? ならよかった」

お互いに似合っていると褒め合っていると、遥さんが頬に手をあて、少し考える仕草をみせる。
どしたのかな。

「……ところでさ。みんな顔出しでいくの?」

「あ」

「それはまずいっすわ」

そういえばそうだったわ。
袴を着て浮かれてた。普段はフェイスガードつけてるけど、今なにもつけてない。素顔丸出しだ。

「お面でもつけるかい? 視界の邪魔にはならないやつだよ」

どうすんの? って視線を生首に向けると、そんな提案が出された。
もちろん反対する理由もないのでみんなしてお面をつけることにした。

このへんも和風な感じでよいね。
中村とかひょっとこのお面が似合いそう。

遥さんはなんだろ。猫とか狐とか……ちょっと可愛い系かなあ。

俺はなんだろうね……自分ではよくわからん。
まあ、とりあえずつけるとするか。



「なんでひょっとこなんだよっ」

いや、まじでそうなるとか思わないじゃん。

「似合ってる」

「うるせーっ」

いやあ、中村はひょっとこで、遥さんは狐かあ。
似合ってるね、ほんと。

いやあ……なんで俺、般若なんですかね。
質感もすげーリアルでさ。みた瞬間「え……これ、まじでつけんの?」ってなった。
俺のお面に対して、みんな何も言わないのがもうね。

はぁ……。まあいい。
とりあえず準備は出来たし、さっそく潜るとしようか。

「よーっし。いくぞー!」

「中村はりきっとんな。先頭よろしく」

「がんばー」

中村を先頭に、さきほど着替えた部屋とは反対方向の襖へと向かう。
襖をスッとひらくと、その先には廊下と……突き当りに階段があった。

「その先はもうダンジョンだから気を付けてねえ?」

俺たちの最後尾についた生首からそうアドバイスがとぶ。
どうもこいつ、俺たちについてダンジョンに潜るつもりらしい。

戦闘には参加しないで本当にタダついてくるだけみたいだけど……実際に間近で反応をみて、ダンジョンに反映したいっていうからさ。まあいいんじゃねって話になったのだ。

「おお?」

そんなことを考えている内に、階段を進む中村から声が上がる。
どうやら、降りた先についたようだ。

ちらっと先に視線を向けると。ちょっとした教室ぐらいの部屋に繋がっているようである。


「おっし、突撃ぃぃいいいっ!?」

「中村あぁぁああ!?」

中村が勢い付けて、階段から部屋へと一歩踏み出した瞬間。
カチリという音がして、飛んできた丸田が中村を勢いよく弾き飛ばした。

罠まで参考にしたのかよっ!
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