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23 甘やかな罠
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「それで、今から何処に行くんだ?」
食事を終えてバスへと戻る道すがら、俺は月島と保坂を引き連れて土産屋を見て回っていた。手には既にいくつか紙袋をぶら下げている。概ね自分用だ。
更に葵さんへのお土産を買い込みながら後の予定を尋ねたところ、保坂がぎょっとした顔で俺を見た。
「お前、まさか旅行の日程を知らないのか。周知したハズなんだが……」
「当日の内容について回覧を見た覚えが無くてな……何故か課内でも話題にならなかったし、実を言うとまるで把握していない」
「ホテルの部屋割りも……?」
「知らん」
俺の答えを受けて、保坂は困ったように額を押さえた。何かあったのだろうか。
「あー、本当は先に伝えておくべきだったんだが、お前が泊まる部屋は幹事部屋でな。悪いが二次会の会場になっている」
「うげ」
保坂の言葉に思わず眉を顰める。二次会の会場ということはつまり、夜遅くまで騒がれる上に酒と肴の臭いが充満した部屋で眠らなければならないということだ。
二次会自体はいくらでも理由を付けて逃げられるだろうが、後片づけには巻き込まれる可能性が高いだろう。
「どうして幹事でもない俺が幹事部屋に突っ込まれているんだよ」
「人数合わせの関係でな。幹事だけで泊まるには部屋が広すぎるから、他所から何人か入れようって話になった時に神原が提案したんだよ」
「なに……?」
「僕が篠崎先輩と月島さんに言っておきますから、この二人に幹事部屋に来てもらいましょうってな。アイツ説明していなかったのか……?」
保坂の話は腑に落ちなかった。神原がそんなことをするだろうか。
アイツは俺が幹事部屋など絶対に嫌がることを知っているハズだし、そんな案を進んで提案するとも思えない。
……と、すると。答えは一つだ。
「何だい?」
黙って隣を歩く月島を睨み付ける。何を考えているかは知らないが、この男の差し金に違いない。
棘を含んだ視線を受けてもけろりとした表情をしていたが、俺の疑念が確定的なものだと悟ると、にやりと笑って俺の耳元へ唇を寄せた。
「心配は要らないよ、君を他の男と一緒の床に就かせる訳がないだろう?」
「……ッ」
情事の時を思い出させるような低い囁き声に堪らず飛びのいて耳をさする。この男が言う「安心しろ」というセリフは、恐らく「大人しく諦めろ」と訳した方が正しい日本語に近いだろう。
とはいえ、俺も幹事部屋で眠るなど御免なので、大人しく諦めることにするのだが。それも計算ずくな気がして気に食わない。
思えばこの旅行が始まってから、妙に月島の機嫌が良すぎることが気になっていた。
この調子だと、コイツが楽しみにしている何かがまだまだあるのだろう。
「ま、いいさ……俺はこのところ諦めが良くなったんだ」
「そうか? 悪いなぁ、頑張って早めに切り上げさせるからよ!」
「ああ……おう」
何も知らない保坂の申し訳なさそうな顔を遠い目で眺める。多分その気遣いは必要ないぞ、などと心の中だけで思いながら。
「……ところで、これから何処に行くのかって話だったよな。俺の分の行程表を渡しておこうか?」
そう言って保坂は気前よく資料を差し出してくる。しかし、几帳面に書き込まれたそれを受け取るのは心苦しくて丁重に押し戻した。
幹事が行程表を無くしてしまっては困ることも多いだろう。それに、俺には月島がいる。わざわざ保坂の行程表を奪わなければならない理由は無かった。
「俺はナビが付いてるから問題ないよ」
そう言いながら月島の肩を叩く。話を振られたナビこと月島は、自信たっぷりに頷いた。
「今日はこれからバスに戻って近場の水族館と資料館を観光し、ホテルに着いたら宴会までは自由時間となる。水族館は全て回りきるには難しい時間設定なので、先に特別展示を見てしまうことをお勧めするよ。それとホテルに着いたらまずは露店風呂に入った方がいい、この天気なら綺麗な夕焼けが見られるだろう」
「な?」
「なるほど……」
つらつらと流れるナビに感心する保坂だが、残念ながら高性能過ぎる解説はそれだけでは終わらない。
「ちなみに水族館は君が中学生の頃に友人と、資料館は小学三年生の秋に遠足で来ているハズだ。展示物や催し物は変化しているから退屈することは無いとは思うがね。あと、」
「そこまでは要らない」
放っておけば何処までも個人情報を垂れ流しそうな月島の口を、乱暴に塞いで黙らせる。話を聞いた保坂は不思議そうに首を捻っていた。
「お前たちって、そんな昔からの付き合いだっけ」
「いいや、全ッ然」
全然、という部分に力が篭ってしまったのは無理もないと思う。
益々不思議そうな顔をする保坂を曖昧な返事で誤魔化して、俺たちはバスへと戻った。
◆
その後も順調に予定を消化していき、俺は月島ナビの元、久々の旅行を楽しんでいた。
今日の為に調べたのか、元から博識なのか、どちらもあり得そうで判断が付かないが、とにかく月島の説明は専門的かつ分かりやすく、道中退屈しなかった。
特に見物だったのが水族館だ。
やはり月島は魚が好きらしく、水族館では職員顔負けの館内ツアーが臨時開催された。
実際、職員による説明と勘違いした人間も多く、最終的にはちょっとした人だかりが出来た上に、拍手と共に締めくくられた件には笑いを禁じ得なかった。
当の月島は「これでは全くデートにならない」とぼやいていたが。
この旅行で一つだけ不満を上げるとすれば、丸一日月島にべったりと張り付かれた結果、ホテルに着く頃には俺と月島が付き合っているという共通認識が社内に広がってしまっていた事である。
……。
待つと言われたけれども、着実に既成事実を作られていないか?
「…………」
「どうした篠崎君。疲れたか?」
「いや、別に……」
お揃いのスーツケースを引いて、月島とホテルに向かう道すがら、やけに大勢の視線に晒されている気がして居心地が悪くなる。時折上がる黄色い歓声に振り返ってしまいそうになるのは、俺の気にし過ぎだろうか。
いやでも、神原が逃げるように先に去ったことを考えると、あながち的外れな杞憂でもないのかもしれない。
アイツも危機察知能力が高くなったものだ……
「何か気になることでも?」
「何でもない……本当、何でもない。うん」
自分にそう言い聞かせ、俺は好奇の目を向けてくる同僚をなるべく視界に入れないようにしながらホテルへと向かった。
ホテルマンの案内の元、入口を抜けた先は吹き抜けのエントランスになっていた。
真正面に備え付けられた大きな階段に釣られて、そのまま上を見上げる。吹き抜けの最上部には大きなシャンデリアが吊るされており、きらきらとした輝きが磨き上げられた大理石の床に反射していた。妙に高そうなホテルである。
慰安旅行では毎回こんなところに泊まっているのだろうか。不思議に思って周りの反応を伺うと、他の社員も口々に驚きの声を上げていた。どうやら今年が特別なようだ。
「篠崎君」
他の社員に交じってエレベーターに並ぼうとしたところで、月島に腕を引かれる。
不思議に思いながらも脚を止めると、月島はホテルマンの一人に向かって何事か囁いた。話を聞いたホテルマンは恭しく一礼した後、俺たちを小部屋へと案内し「こちらでお待ちください」と言い残して去って行ってしまった。
出された紅茶を飲みながら言われるままに待っていると、しばらくして声をかけられる。すっかり人混みも無くなったエントランスから、俺は月島と二人きりでエレベーターへと乗り込んだ。
ドアが閉まりきるや否や、口を開く。
「それで、今度はどういう仕込みなんだ」
「何の話かね?」
「すっとぼけるには無理があるだろ……」
話している間にもエレベーターはどんどん上へと昇っていく。
目指す先は最上階だ。
「ホテルの最上階に幹事部屋なんか取る訳ないだろ。何処連れてくんだ」
「それはもちろん、最上階と言ったら」
月島の言葉を遮るように、最上階への到着を告げる鐘の音が鳴る。廊下に出てすぐ傍の客室を開き、芝居がかった仕草で示されたドアの向こうは、一目で分かるほど豪奢な内装をしていた。
「スイートルームに決まっているだろう?」
「…………馬鹿なのか?」
馬鹿なんだろうな。
この男、たかが社員旅行に気合を入れ過ぎである。
食事を終えてバスへと戻る道すがら、俺は月島と保坂を引き連れて土産屋を見て回っていた。手には既にいくつか紙袋をぶら下げている。概ね自分用だ。
更に葵さんへのお土産を買い込みながら後の予定を尋ねたところ、保坂がぎょっとした顔で俺を見た。
「お前、まさか旅行の日程を知らないのか。周知したハズなんだが……」
「当日の内容について回覧を見た覚えが無くてな……何故か課内でも話題にならなかったし、実を言うとまるで把握していない」
「ホテルの部屋割りも……?」
「知らん」
俺の答えを受けて、保坂は困ったように額を押さえた。何かあったのだろうか。
「あー、本当は先に伝えておくべきだったんだが、お前が泊まる部屋は幹事部屋でな。悪いが二次会の会場になっている」
「うげ」
保坂の言葉に思わず眉を顰める。二次会の会場ということはつまり、夜遅くまで騒がれる上に酒と肴の臭いが充満した部屋で眠らなければならないということだ。
二次会自体はいくらでも理由を付けて逃げられるだろうが、後片づけには巻き込まれる可能性が高いだろう。
「どうして幹事でもない俺が幹事部屋に突っ込まれているんだよ」
「人数合わせの関係でな。幹事だけで泊まるには部屋が広すぎるから、他所から何人か入れようって話になった時に神原が提案したんだよ」
「なに……?」
「僕が篠崎先輩と月島さんに言っておきますから、この二人に幹事部屋に来てもらいましょうってな。アイツ説明していなかったのか……?」
保坂の話は腑に落ちなかった。神原がそんなことをするだろうか。
アイツは俺が幹事部屋など絶対に嫌がることを知っているハズだし、そんな案を進んで提案するとも思えない。
……と、すると。答えは一つだ。
「何だい?」
黙って隣を歩く月島を睨み付ける。何を考えているかは知らないが、この男の差し金に違いない。
棘を含んだ視線を受けてもけろりとした表情をしていたが、俺の疑念が確定的なものだと悟ると、にやりと笑って俺の耳元へ唇を寄せた。
「心配は要らないよ、君を他の男と一緒の床に就かせる訳がないだろう?」
「……ッ」
情事の時を思い出させるような低い囁き声に堪らず飛びのいて耳をさする。この男が言う「安心しろ」というセリフは、恐らく「大人しく諦めろ」と訳した方が正しい日本語に近いだろう。
とはいえ、俺も幹事部屋で眠るなど御免なので、大人しく諦めることにするのだが。それも計算ずくな気がして気に食わない。
思えばこの旅行が始まってから、妙に月島の機嫌が良すぎることが気になっていた。
この調子だと、コイツが楽しみにしている何かがまだまだあるのだろう。
「ま、いいさ……俺はこのところ諦めが良くなったんだ」
「そうか? 悪いなぁ、頑張って早めに切り上げさせるからよ!」
「ああ……おう」
何も知らない保坂の申し訳なさそうな顔を遠い目で眺める。多分その気遣いは必要ないぞ、などと心の中だけで思いながら。
「……ところで、これから何処に行くのかって話だったよな。俺の分の行程表を渡しておこうか?」
そう言って保坂は気前よく資料を差し出してくる。しかし、几帳面に書き込まれたそれを受け取るのは心苦しくて丁重に押し戻した。
幹事が行程表を無くしてしまっては困ることも多いだろう。それに、俺には月島がいる。わざわざ保坂の行程表を奪わなければならない理由は無かった。
「俺はナビが付いてるから問題ないよ」
そう言いながら月島の肩を叩く。話を振られたナビこと月島は、自信たっぷりに頷いた。
「今日はこれからバスに戻って近場の水族館と資料館を観光し、ホテルに着いたら宴会までは自由時間となる。水族館は全て回りきるには難しい時間設定なので、先に特別展示を見てしまうことをお勧めするよ。それとホテルに着いたらまずは露店風呂に入った方がいい、この天気なら綺麗な夕焼けが見られるだろう」
「な?」
「なるほど……」
つらつらと流れるナビに感心する保坂だが、残念ながら高性能過ぎる解説はそれだけでは終わらない。
「ちなみに水族館は君が中学生の頃に友人と、資料館は小学三年生の秋に遠足で来ているハズだ。展示物や催し物は変化しているから退屈することは無いとは思うがね。あと、」
「そこまでは要らない」
放っておけば何処までも個人情報を垂れ流しそうな月島の口を、乱暴に塞いで黙らせる。話を聞いた保坂は不思議そうに首を捻っていた。
「お前たちって、そんな昔からの付き合いだっけ」
「いいや、全ッ然」
全然、という部分に力が篭ってしまったのは無理もないと思う。
益々不思議そうな顔をする保坂を曖昧な返事で誤魔化して、俺たちはバスへと戻った。
◆
その後も順調に予定を消化していき、俺は月島ナビの元、久々の旅行を楽しんでいた。
今日の為に調べたのか、元から博識なのか、どちらもあり得そうで判断が付かないが、とにかく月島の説明は専門的かつ分かりやすく、道中退屈しなかった。
特に見物だったのが水族館だ。
やはり月島は魚が好きらしく、水族館では職員顔負けの館内ツアーが臨時開催された。
実際、職員による説明と勘違いした人間も多く、最終的にはちょっとした人だかりが出来た上に、拍手と共に締めくくられた件には笑いを禁じ得なかった。
当の月島は「これでは全くデートにならない」とぼやいていたが。
この旅行で一つだけ不満を上げるとすれば、丸一日月島にべったりと張り付かれた結果、ホテルに着く頃には俺と月島が付き合っているという共通認識が社内に広がってしまっていた事である。
……。
待つと言われたけれども、着実に既成事実を作られていないか?
「…………」
「どうした篠崎君。疲れたか?」
「いや、別に……」
お揃いのスーツケースを引いて、月島とホテルに向かう道すがら、やけに大勢の視線に晒されている気がして居心地が悪くなる。時折上がる黄色い歓声に振り返ってしまいそうになるのは、俺の気にし過ぎだろうか。
いやでも、神原が逃げるように先に去ったことを考えると、あながち的外れな杞憂でもないのかもしれない。
アイツも危機察知能力が高くなったものだ……
「何か気になることでも?」
「何でもない……本当、何でもない。うん」
自分にそう言い聞かせ、俺は好奇の目を向けてくる同僚をなるべく視界に入れないようにしながらホテルへと向かった。
ホテルマンの案内の元、入口を抜けた先は吹き抜けのエントランスになっていた。
真正面に備え付けられた大きな階段に釣られて、そのまま上を見上げる。吹き抜けの最上部には大きなシャンデリアが吊るされており、きらきらとした輝きが磨き上げられた大理石の床に反射していた。妙に高そうなホテルである。
慰安旅行では毎回こんなところに泊まっているのだろうか。不思議に思って周りの反応を伺うと、他の社員も口々に驚きの声を上げていた。どうやら今年が特別なようだ。
「篠崎君」
他の社員に交じってエレベーターに並ぼうとしたところで、月島に腕を引かれる。
不思議に思いながらも脚を止めると、月島はホテルマンの一人に向かって何事か囁いた。話を聞いたホテルマンは恭しく一礼した後、俺たちを小部屋へと案内し「こちらでお待ちください」と言い残して去って行ってしまった。
出された紅茶を飲みながら言われるままに待っていると、しばらくして声をかけられる。すっかり人混みも無くなったエントランスから、俺は月島と二人きりでエレベーターへと乗り込んだ。
ドアが閉まりきるや否や、口を開く。
「それで、今度はどういう仕込みなんだ」
「何の話かね?」
「すっとぼけるには無理があるだろ……」
話している間にもエレベーターはどんどん上へと昇っていく。
目指す先は最上階だ。
「ホテルの最上階に幹事部屋なんか取る訳ないだろ。何処連れてくんだ」
「それはもちろん、最上階と言ったら」
月島の言葉を遮るように、最上階への到着を告げる鐘の音が鳴る。廊下に出てすぐ傍の客室を開き、芝居がかった仕草で示されたドアの向こうは、一目で分かるほど豪奢な内装をしていた。
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