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ルインⅠ
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僕はここカルリム王国の第二王子だ。第二王子と言えば聞こえはいいが、僕の母は平民出身で王妃というよりは手がついたから仕方なく王宮に迎え入れられたも同然であった。
当然母への周囲からの嫉妬ややっかみはすごかった。大多数の貴族が娘を王家に入れようと思っていたし、貴族令嬢からすれば王家に嫁ぐことは一番の憧れだ。
カルリム王国は王家や貴族がいることから分かるように、基本的には血統主義である。その中でも一番上に立つ国王の相手は当然名のある家から迎えられるべき、というのは当然の常識であった。
そんな中、突然名もない平民の娘が選ばれたのだから嫉妬が凄まじくなるのも当然だ。
それに、父上の正妻であった王妃様も母上のことはよく思っていなかったらしい。さすがに直接嫌がらせをするようなことはなかったが、常に冷たい目で見つめていたという。とはいえ、父上の浮気相手であることを考えるとそれも当然の反応だろう。
母はそれらの心労に耐えきれず、僕が幼い時に体調を崩して倒れた。そして出身の村へと帰されたという。
その後僕はあまり身分が高くない王家の家臣に預けられてひっそりと育てられた。母がそんな感じだったから当然僕に対する周囲の視線も酷かった。
僕をいないもののように扱う兄上などはまだいい方で、正式な王妃から生まれた弟たちは僕を目の敵にしていた。平民の血が半分混ざっている奴が王族として存在していることが許せなかったのだろう。父上は一応配慮のつもりなのか、僕が出来るだけ他の兄弟と会わないよう王宮の隅の方で生活させた。
そのため僕は王家の生まれで自分の家で暮らしているはずなのに、周囲に気を遣って出来るだけ目立たないように暮らさざるを得なかった。
そんな僕の唯一の楽しみはこっそり街に出ておいしい物を食べたり遊んだりすることだった。街に出れば僕は誰にも気を遣わなくて済む。一度は明らかにカタギそうでない集団に混ざって怪しい煙草を吸ったこともある。
もっとも、そういうことに楽しみを見出している自分はやはり平民の血が混ざっているのだな、と実感することもあったが。
そんなことをしている時に出会ったのがエレナだった。最初は同族意識を抱いていたが、話を聞く限り彼女は明らかに僕よりもつらそうな家庭環境にいた。最初は自分と似た人と話すのが楽しいというだけだったはずなのに、気が付くと彼女と会うことが楽しみになっていた。
そういう気持ちもあって、僕は一連の婚約破棄騒動を仕組んだ(もっとも、ほとんどは相手の自滅だが)という訳だ。おそらく僕の人生の中で主体的な意思で何かを決断したのはこれが最初だと思う。
僕の隣で安らかな笑顔を浮かべているエレナを見て決意する。
これまで王宮内では周囲に気を遣い、出来るだけ目立たないように生活してきたが、僕もエレナの隣にいて恥ずかしくない男にならなければ、と。
当然母への周囲からの嫉妬ややっかみはすごかった。大多数の貴族が娘を王家に入れようと思っていたし、貴族令嬢からすれば王家に嫁ぐことは一番の憧れだ。
カルリム王国は王家や貴族がいることから分かるように、基本的には血統主義である。その中でも一番上に立つ国王の相手は当然名のある家から迎えられるべき、というのは当然の常識であった。
そんな中、突然名もない平民の娘が選ばれたのだから嫉妬が凄まじくなるのも当然だ。
それに、父上の正妻であった王妃様も母上のことはよく思っていなかったらしい。さすがに直接嫌がらせをするようなことはなかったが、常に冷たい目で見つめていたという。とはいえ、父上の浮気相手であることを考えるとそれも当然の反応だろう。
母はそれらの心労に耐えきれず、僕が幼い時に体調を崩して倒れた。そして出身の村へと帰されたという。
その後僕はあまり身分が高くない王家の家臣に預けられてひっそりと育てられた。母がそんな感じだったから当然僕に対する周囲の視線も酷かった。
僕をいないもののように扱う兄上などはまだいい方で、正式な王妃から生まれた弟たちは僕を目の敵にしていた。平民の血が半分混ざっている奴が王族として存在していることが許せなかったのだろう。父上は一応配慮のつもりなのか、僕が出来るだけ他の兄弟と会わないよう王宮の隅の方で生活させた。
そのため僕は王家の生まれで自分の家で暮らしているはずなのに、周囲に気を遣って出来るだけ目立たないように暮らさざるを得なかった。
そんな僕の唯一の楽しみはこっそり街に出ておいしい物を食べたり遊んだりすることだった。街に出れば僕は誰にも気を遣わなくて済む。一度は明らかにカタギそうでない集団に混ざって怪しい煙草を吸ったこともある。
もっとも、そういうことに楽しみを見出している自分はやはり平民の血が混ざっているのだな、と実感することもあったが。
そんなことをしている時に出会ったのがエレナだった。最初は同族意識を抱いていたが、話を聞く限り彼女は明らかに僕よりもつらそうな家庭環境にいた。最初は自分と似た人と話すのが楽しいというだけだったはずなのに、気が付くと彼女と会うことが楽しみになっていた。
そういう気持ちもあって、僕は一連の婚約破棄騒動を仕組んだ(もっとも、ほとんどは相手の自滅だが)という訳だ。おそらく僕の人生の中で主体的な意思で何かを決断したのはこれが最初だと思う。
僕の隣で安らかな笑顔を浮かべているエレナを見て決意する。
これまで王宮内では周囲に気を遣い、出来るだけ目立たないように生活してきたが、僕もエレナの隣にいて恥ずかしくない男にならなければ、と。
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