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エピローグ
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テッドとレーナが仲違いしたと聞いて、私はとりあえず屋敷に帰った。
前にうざいぐらい私にマウントをとってきたレーナもよほど失望したのか、部屋にこもりきりになってしまった。しかもおかげでと言っては何だが、それまでの元気を失ったためか私に「あれも代われ」「これも代われ」としつこく言ってくることがなくなった。そのため正直に言えばレーナが落ち込んでいるのは「大人しくなっていいな」と思ってしまう自分がいた。
そんな中、カインの家であるオールウェズ家から私に対して婚約の申し込みが来た。
その時落ち込んでいた父上は深く考えることもなく受けたらしい。こうして私とカインはあの時流れていた噂をなぞるように婚約することになったのであった。
それから一週間ほどして、改めて私とカインの婚約を発表するためのパーティーがオールウェズ家で開かれた。
本来私の家族はカインの家族の次に主賓となるはずだったが、居心地が悪いのか両親は会場の隅で小さくなって立っているだけだった。
そんな中、私は改めてカインに尋ねる。
あの事件の後、いくら私とカインが婚約するという噂が流れたとはいえ、まさかこんなに電撃婚約になるとは思わなかった。
普通婚約がなくなった場合、こんなに早く次が決まることはあまりない。もちろん、そもそも婚約がなくなること自体が普通ではないと言えばそうなのだが。
「でも何でこんなに急に婚約を申し込むという話になったの?」
カインはいつもと違って礼装をきっちりと着込んでいて新鮮だった。
これまでパーティーに出席することはあったが、今日は私たち自身が主役ということもあって余計に気合が入っている。
「実は元々父上はシェリーと婚約することを考えていたらしいんだ。しかしシアラー家に先を越されたらしくてね」
そう言ってカインは苦笑する。
こんなことになる前はテッドは温和な好青年というぐらいの印象しかなかったから、父上もシアラー家の家柄を見て婚約を決めたのだろう。
まさかオールウェズ家もそんなことを考えていたとは思いもしなかった。
「そうだったんだ」
「そのことは僕も後で知ったよ。それで、この前の事件の後僕とシェリーが婚約したっていう噂が流れただろう? それで父上はその噂に対する世間の好感度を調べたらしい」
「なるほど」
「それで好意的な声の方が多かったらしいからそれなら大丈夫だろうと申し込んだということらしい」
確かに噂では事実以上にテッドが悪者に、そしてカインが格好良くなっていたためそう思われるのも無理はない。
それで無気力になっていたうちの父が婚約を受けて成立したということか。
「そうだったんだ」
「でも正直なところ、僕もシェリーが婚約していたから口には出さなかったけどシェリーのことが好きだった」
「え?」
急に告白されて私は驚く。
もちろんカインが私に好意を抱いてくれているのは知っていたが、それはあくまで幼馴染としてのものだと思っていた。
カインもさらりと言ったはいいものの、自分が言ったことの内容に気づいたのか、次第に頬が赤くなっていく。
「だ、だから余計にテッドみたいなやつと婚約していることが許せなくて、あの時はつい本気で怒ってしまったんだ!」
「ありがとう。あの時、誰も私のために発言してくれる人がいなかったから嬉しかったんだ」
「そうか……実は他人の屋敷に上がり込んで激怒してしまって、今思い出すと少し恥ずかしいんだ」
そう言って彼は照れ隠しにか、頬をかく。
確かにあの時のカインは本気で怒っていたからそう思うのも無理はないのかもしれない。
「でも、あの時カインが本気だったことが伝わって来たからこそ嬉しかった」
「そうか、シェリーがそう言ってくれたなら良しとしよう……じゃあそろそろ行こうか」
「う、うん」
こうして私たちはパーティー会場に向かって足を踏み出すのだった。
レーナのせいで色々あったけど、結果的に私をただの婚約相手としてしか見ていないテッドではなく、私のために本気で怒ってくれるカインと婚約することが出来るようになった。
言い方は悪いけど、レーナと私の入れ替わりも本当に私たちの違いに気づいてくれる相手を見つけるためのふるいにはなったと思う。
そう考えると、今回の事件もあながち悪くはなかったと思うのだった。
前にうざいぐらい私にマウントをとってきたレーナもよほど失望したのか、部屋にこもりきりになってしまった。しかもおかげでと言っては何だが、それまでの元気を失ったためか私に「あれも代われ」「これも代われ」としつこく言ってくることがなくなった。そのため正直に言えばレーナが落ち込んでいるのは「大人しくなっていいな」と思ってしまう自分がいた。
そんな中、カインの家であるオールウェズ家から私に対して婚約の申し込みが来た。
その時落ち込んでいた父上は深く考えることもなく受けたらしい。こうして私とカインはあの時流れていた噂をなぞるように婚約することになったのであった。
それから一週間ほどして、改めて私とカインの婚約を発表するためのパーティーがオールウェズ家で開かれた。
本来私の家族はカインの家族の次に主賓となるはずだったが、居心地が悪いのか両親は会場の隅で小さくなって立っているだけだった。
そんな中、私は改めてカインに尋ねる。
あの事件の後、いくら私とカインが婚約するという噂が流れたとはいえ、まさかこんなに電撃婚約になるとは思わなかった。
普通婚約がなくなった場合、こんなに早く次が決まることはあまりない。もちろん、そもそも婚約がなくなること自体が普通ではないと言えばそうなのだが。
「でも何でこんなに急に婚約を申し込むという話になったの?」
カインはいつもと違って礼装をきっちりと着込んでいて新鮮だった。
これまでパーティーに出席することはあったが、今日は私たち自身が主役ということもあって余計に気合が入っている。
「実は元々父上はシェリーと婚約することを考えていたらしいんだ。しかしシアラー家に先を越されたらしくてね」
そう言ってカインは苦笑する。
こんなことになる前はテッドは温和な好青年というぐらいの印象しかなかったから、父上もシアラー家の家柄を見て婚約を決めたのだろう。
まさかオールウェズ家もそんなことを考えていたとは思いもしなかった。
「そうだったんだ」
「そのことは僕も後で知ったよ。それで、この前の事件の後僕とシェリーが婚約したっていう噂が流れただろう? それで父上はその噂に対する世間の好感度を調べたらしい」
「なるほど」
「それで好意的な声の方が多かったらしいからそれなら大丈夫だろうと申し込んだということらしい」
確かに噂では事実以上にテッドが悪者に、そしてカインが格好良くなっていたためそう思われるのも無理はない。
それで無気力になっていたうちの父が婚約を受けて成立したということか。
「そうだったんだ」
「でも正直なところ、僕もシェリーが婚約していたから口には出さなかったけどシェリーのことが好きだった」
「え?」
急に告白されて私は驚く。
もちろんカインが私に好意を抱いてくれているのは知っていたが、それはあくまで幼馴染としてのものだと思っていた。
カインもさらりと言ったはいいものの、自分が言ったことの内容に気づいたのか、次第に頬が赤くなっていく。
「だ、だから余計にテッドみたいなやつと婚約していることが許せなくて、あの時はつい本気で怒ってしまったんだ!」
「ありがとう。あの時、誰も私のために発言してくれる人がいなかったから嬉しかったんだ」
「そうか……実は他人の屋敷に上がり込んで激怒してしまって、今思い出すと少し恥ずかしいんだ」
そう言って彼は照れ隠しにか、頬をかく。
確かにあの時のカインは本気で怒っていたからそう思うのも無理はないのかもしれない。
「でも、あの時カインが本気だったことが伝わって来たからこそ嬉しかった」
「そうか、シェリーがそう言ってくれたなら良しとしよう……じゃあそろそろ行こうか」
「う、うん」
こうして私たちはパーティー会場に向かって足を踏み出すのだった。
レーナのせいで色々あったけど、結果的に私をただの婚約相手としてしか見ていないテッドではなく、私のために本気で怒ってくれるカインと婚約することが出来るようになった。
言い方は悪いけど、レーナと私の入れ替わりも本当に私たちの違いに気づいてくれる相手を見つけるためのふるいにはなったと思う。
そう考えると、今回の事件もあながち悪くはなかったと思うのだった。
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