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周囲の反応
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こうして私の周りからはシェリルもアーノルドも去っていき、周囲にいた人々もパーティーに戻っていくのかと思ったのだが、そうではなかった。
「あの、ラーナさん」
「一度お話してみたいと思っていたのです」
アーノルドとの話が終わると、周囲にいた他家の令嬢たちが次々と私に声をかけてくる。
「え、急にどうしました?」
私は戸惑いながら尋ねる。これまで私が他家に赴いても儀礼的な挨拶をされることはあっても、ここまで大勢に話しかけられるようなことはなかった。一体何があったのだろうか。
すると彼女らは一瞬顔を見合わせたが、やがて一人が言う。
「実は、前からラーナさんとはお話してみたかったのですが、その、シェリルさんのことが苦手で」
「お二人ともいつも一緒にいるのでなかなか話しかけるタイミングがなかったのです」
「そうだったのですね」
私は驚くとともに納得した。確かに私は他家の集まりに行くときシェリルとずっと一緒にいたような気がする。それは目を離すと彼女が他人に対して何をしでかすか分からないからだったが、そのせいで私に話しかけたいと思う人が話しかけづらくなっていたとは思わなかった。
「はい、シェリルさんは私たちに厳しいので」
「そうですけど、でもなぜそこまで私に……?」
「だってラーナさんは穏やかで心優しい方と評判ですし」
「そもそも公爵令嬢というだけで一度は話してみたい方ですわ」
「なるほど、それはすみませんでした?」
私が謝ることなのかどうか分からないのでつい疑問形になってしまう。
そもそも私がシェリルと一緒にいたところでシェリルの暴走を止められる訳でもなかったし、割り切って放置して勝手に彼女がしっぺ返しを受けるのを待つ方が良かったのかもしれない。
「いえ、ラーナさんが謝ることはありませんわ」
「それに私も前に使用人がシェリルさんに怒られていたところをとりなしていただいたので感謝していますの」
「普段はシェリルさんばかりが前に出ていますが、趣味とかございます?」
「ちょ、ちょっと皆さん、あまり一度に話しかけられると困ってしまいます」
言われてみれば話しかけてくる令嬢たちの中には見知った顔も多かった。それなのにあまり気づかなかったのは、これまでシェリルのことばかりに注意が向いていて全然周囲に意識が向いていなかったかもしれない。
本来この集まりはアーノルドの婚約者を決める集まりだったはずなのに、期せずして私が他家の方々と交流を深める場になった。
とはいえ私としても同年代のご令嬢の方々と話すのは楽しかったので、ついつい話し込んでしまうのだった。
「あの、ラーナさん」
「一度お話してみたいと思っていたのです」
アーノルドとの話が終わると、周囲にいた他家の令嬢たちが次々と私に声をかけてくる。
「え、急にどうしました?」
私は戸惑いながら尋ねる。これまで私が他家に赴いても儀礼的な挨拶をされることはあっても、ここまで大勢に話しかけられるようなことはなかった。一体何があったのだろうか。
すると彼女らは一瞬顔を見合わせたが、やがて一人が言う。
「実は、前からラーナさんとはお話してみたかったのですが、その、シェリルさんのことが苦手で」
「お二人ともいつも一緒にいるのでなかなか話しかけるタイミングがなかったのです」
「そうだったのですね」
私は驚くとともに納得した。確かに私は他家の集まりに行くときシェリルとずっと一緒にいたような気がする。それは目を離すと彼女が他人に対して何をしでかすか分からないからだったが、そのせいで私に話しかけたいと思う人が話しかけづらくなっていたとは思わなかった。
「はい、シェリルさんは私たちに厳しいので」
「そうですけど、でもなぜそこまで私に……?」
「だってラーナさんは穏やかで心優しい方と評判ですし」
「そもそも公爵令嬢というだけで一度は話してみたい方ですわ」
「なるほど、それはすみませんでした?」
私が謝ることなのかどうか分からないのでつい疑問形になってしまう。
そもそも私がシェリルと一緒にいたところでシェリルの暴走を止められる訳でもなかったし、割り切って放置して勝手に彼女がしっぺ返しを受けるのを待つ方が良かったのかもしれない。
「いえ、ラーナさんが謝ることはありませんわ」
「それに私も前に使用人がシェリルさんに怒られていたところをとりなしていただいたので感謝していますの」
「普段はシェリルさんばかりが前に出ていますが、趣味とかございます?」
「ちょ、ちょっと皆さん、あまり一度に話しかけられると困ってしまいます」
言われてみれば話しかけてくる令嬢たちの中には見知った顔も多かった。それなのにあまり気づかなかったのは、これまでシェリルのことばかりに注意が向いていて全然周囲に意識が向いていなかったかもしれない。
本来この集まりはアーノルドの婚約者を決める集まりだったはずなのに、期せずして私が他家の方々と交流を深める場になった。
とはいえ私としても同年代のご令嬢の方々と話すのは楽しかったので、ついつい話し込んでしまうのだった。
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