妹が行く先々で偉そうな態度をとるけど、それ大顰蹙ですよ

今川幸乃

文字の大きさ
9 / 10

周囲の反応

しおりを挟む
 こうして私の周りからはシェリルもアーノルドも去っていき、周囲にいた人々もパーティーに戻っていくのかと思ったのだが、そうではなかった。

「あの、ラーナさん」
「一度お話してみたいと思っていたのです」

 アーノルドとの話が終わると、周囲にいた他家の令嬢たちが次々と私に声をかけてくる。

「え、急にどうしました?」

 私は戸惑いながら尋ねる。これまで私が他家に赴いても儀礼的な挨拶をされることはあっても、ここまで大勢に話しかけられるようなことはなかった。一体何があったのだろうか。
 すると彼女らは一瞬顔を見合わせたが、やがて一人が言う。

「実は、前からラーナさんとはお話してみたかったのですが、その、シェリルさんのことが苦手で」
「お二人ともいつも一緒にいるのでなかなか話しかけるタイミングがなかったのです」
「そうだったのですね」

 私は驚くとともに納得した。確かに私は他家の集まりに行くときシェリルとずっと一緒にいたような気がする。それは目を離すと彼女が他人に対して何をしでかすか分からないからだったが、そのせいで私に話しかけたいと思う人が話しかけづらくなっていたとは思わなかった。

「はい、シェリルさんは私たちに厳しいので」
「そうですけど、でもなぜそこまで私に……?」
「だってラーナさんは穏やかで心優しい方と評判ですし」
「そもそも公爵令嬢というだけで一度は話してみたい方ですわ」
「なるほど、それはすみませんでした?」

 私が謝ることなのかどうか分からないのでつい疑問形になってしまう。
 そもそも私がシェリルと一緒にいたところでシェリルの暴走を止められる訳でもなかったし、割り切って放置して勝手に彼女がしっぺ返しを受けるのを待つ方が良かったのかもしれない。

「いえ、ラーナさんが謝ることはありませんわ」
「それに私も前に使用人がシェリルさんに怒られていたところをとりなしていただいたので感謝していますの」
「普段はシェリルさんばかりが前に出ていますが、趣味とかございます?」
「ちょ、ちょっと皆さん、あまり一度に話しかけられると困ってしまいます」

 言われてみれば話しかけてくる令嬢たちの中には見知った顔も多かった。それなのにあまり気づかなかったのは、これまでシェリルのことばかりに注意が向いていて全然周囲に意識が向いていなかったかもしれない。

 本来この集まりはアーノルドの婚約者を決める集まりだったはずなのに、期せずして私が他家の方々と交流を深める場になった。
 とはいえ私としても同年代のご令嬢の方々と話すのは楽しかったので、ついつい話し込んでしまうのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】 聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。 「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」 甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!? 追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。

病弱を演じていた性悪な姉は、仮病が原因で大変なことになってしまうようです

柚木ゆず
ファンタジー
 優秀で性格の良い妹と比較されるのが嫌で、比較をされなくなる上に心配をしてもらえるようになるから。大嫌いな妹を、召し使いのように扱き使えるから。一日中ゴロゴロできて、なんでも好きな物を買ってもらえるから。  ファデアリア男爵家の長女ジュリアはそんな理由で仮病を使い、可哀想な令嬢を演じて理想的な毎日を過ごしていました。  ですが、そんな幸せな日常は――。これまで彼女が吐いてきた嘘によって、一変してしまうことになるのでした。

殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~

和泉鷹央
恋愛
 忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。  彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。  本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。    この頃からだ。  姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。  あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。  それまではとても物わかりのよい子だったのに。  半年後――。  オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。  サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。  オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……  最後はハッピーエンドです。  別の投稿サイトでも掲載しています。

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず
恋愛
 今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。  お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?  ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――

格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう

柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」  最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。  ……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。  分かりました。  ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。

◆◆お別れなので「王位継承セット」をプレゼントしたら、妹カップルが玉座を手に入れました。きっと喜んでくれてますよね◆◆

ささい
恋愛
ん?おでかけ楽しみ? そうだね。うちの国は楽しいと思うよ。 君が練ってた棒はないけど。 魔術に棒は要らない。素手で十分? はは、さすがだね。 なのに棒を量産したいの? 棒を作るのは楽しいんだ。 そっか、いいよ。たくさん作って。飾ってもいいね。君の魔力は綺麗だし。 騎士団に渡して使わせるのも楽しそうだね。 使い方教えてくれるの? 向上心がある人が好き? うん、僕もがんばらないとね。 そういえば、王冠に『民の声ラジオ24h』みたいな機能つけてたよね。 ラジオ。遠く離れた場所にいる人の声を届けてくれる箱だよ。 そう、あれはなんで? 民の声を聞く素敵な王様になってほしいから? なるほど。素晴らしい機能だね。 僕? 僕には必要ないよ。心配してくれてありがとう。 君の祖国が素晴らしい国になるといいね。 ※他サイトにも掲載しております。

処理中です...