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さよなら王都
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この国、ライツ王国は国土があまり広くなく、特産品などもない上に人口も少ない小国です。
それでもそこそこの発展を遂げているのは先ほど私が述べたように聖女の加護があるおかげです。聖女というのは国民を代表して神に祈りを捧げる役目の人物です。“聖女”と呼ばれていますが厳密には必ずしも女性である必要はなく、魔力が多い人ほど適していると言われています。そして聖女の祈りが神に届くことで神は豊穣や天候の安定といった形で国を豊かにしてくださるのです。
私、イレーネは八歳のころ村にあった神殿で魔力がたくさんあることを見出されました。そのころちょうど先代聖女様は歳をとって引退を考えていたそうで、それに気づいた司祭様はすぐに私を聖女候補として王宮に報告しました。
その後あれよあれよという間に私の王宮行きが決まり、気が付くと私は王都の神殿で魔力の測定や偉い大司教様、そして国王陛下による面接などを受けてついに聖女になることが決定しました。
そう言えば殿下は私の聖女解任について国王陛下や大司教様の許可は得たのでしょうか。いくら何でも突然すぎるし、普通はそんなことを言い出せば周囲に止められると思うのですが。
まあ今更婚約を元に戻せと言われても困るのですが。
その後私はいつの間にか殿下の婚約者になっていました。国で一番の魔力を持つ聖女と、次代の国王になる王太子の組み合わせに疑問を抱く者は誰もおらず、殿下の人柄を知らなかった私もその当時は簡単に受け入れてしまいました。国の偉い人たちも王太子の人柄の悪さを出来るだけ隠そうとしていたのでしょう、その結果殿下は剣術の腕が立つ美男子、という評判だけが知れ渡っていたのでした。無知とは悲しいものです。
婚約したため、私たちは何度か会うようになりましたが、殿下は思っていたよりも自己顕示欲の強い方でした。常に自分が目立つこと、活躍することが最優先なのです。
ある時私は婚約者として殿下と並んで式典に参加することがありました。そこで殿下は素晴らしい剣舞を披露しました。実際、殿下は剣の腕だけは本物だったのです。
そしてその次に私が魔力をお披露目することになったのですが、そこで私は聖女として恥ずかしくないようにと張り切ってしまい、殿下を超える喝采を集めてしまったのです。私が「さすが聖女様」「これで王国も安泰だ」という評判を得られたのは良かったのですが、殿下の剣舞はすっかり忘れ去られてしまいました。
式典が終わった後、殿下は私を二人きりで呼び出して言いました。「僕より強い奴は気に入らない」と。実は過去に全く別の方に似たようなことを言われてそれを密かに気にしていた私はそれ以来殿下の言う通りにするように魔力を隠していたという訳です。式典の時もそうすればいいと言えばそうなのですが、実はその時でもまだ全力ではなかったのです。
さて、こういう経歴なので、聖女でなくなった私はただの普通の人に過ぎません。
「……追い出されてしまった以上、故郷の村でのんびり余生を送りましょうか」
王都はいいところだし知り合いも出来ましたが、留まっていては偉い大人に「やっぱり婚約を元に戻せ」などと言われてしまうかもしれません。だったら故郷の村で老母と静かに暮らした方がましです。
幸い聖女時代にもらった給料までは返せと言われなかったので、最低限の荷物と金貨だけは持ち帰ることが出来ます。慎ましくしていれば一生暮らせるだけのお金はあるでしょう。
そう考えて、私は出来るだけさっさと荷造りを済ませると急いで王都を出たのでした。
それでもそこそこの発展を遂げているのは先ほど私が述べたように聖女の加護があるおかげです。聖女というのは国民を代表して神に祈りを捧げる役目の人物です。“聖女”と呼ばれていますが厳密には必ずしも女性である必要はなく、魔力が多い人ほど適していると言われています。そして聖女の祈りが神に届くことで神は豊穣や天候の安定といった形で国を豊かにしてくださるのです。
私、イレーネは八歳のころ村にあった神殿で魔力がたくさんあることを見出されました。そのころちょうど先代聖女様は歳をとって引退を考えていたそうで、それに気づいた司祭様はすぐに私を聖女候補として王宮に報告しました。
その後あれよあれよという間に私の王宮行きが決まり、気が付くと私は王都の神殿で魔力の測定や偉い大司教様、そして国王陛下による面接などを受けてついに聖女になることが決定しました。
そう言えば殿下は私の聖女解任について国王陛下や大司教様の許可は得たのでしょうか。いくら何でも突然すぎるし、普通はそんなことを言い出せば周囲に止められると思うのですが。
まあ今更婚約を元に戻せと言われても困るのですが。
その後私はいつの間にか殿下の婚約者になっていました。国で一番の魔力を持つ聖女と、次代の国王になる王太子の組み合わせに疑問を抱く者は誰もおらず、殿下の人柄を知らなかった私もその当時は簡単に受け入れてしまいました。国の偉い人たちも王太子の人柄の悪さを出来るだけ隠そうとしていたのでしょう、その結果殿下は剣術の腕が立つ美男子、という評判だけが知れ渡っていたのでした。無知とは悲しいものです。
婚約したため、私たちは何度か会うようになりましたが、殿下は思っていたよりも自己顕示欲の強い方でした。常に自分が目立つこと、活躍することが最優先なのです。
ある時私は婚約者として殿下と並んで式典に参加することがありました。そこで殿下は素晴らしい剣舞を披露しました。実際、殿下は剣の腕だけは本物だったのです。
そしてその次に私が魔力をお披露目することになったのですが、そこで私は聖女として恥ずかしくないようにと張り切ってしまい、殿下を超える喝采を集めてしまったのです。私が「さすが聖女様」「これで王国も安泰だ」という評判を得られたのは良かったのですが、殿下の剣舞はすっかり忘れ去られてしまいました。
式典が終わった後、殿下は私を二人きりで呼び出して言いました。「僕より強い奴は気に入らない」と。実は過去に全く別の方に似たようなことを言われてそれを密かに気にしていた私はそれ以来殿下の言う通りにするように魔力を隠していたという訳です。式典の時もそうすればいいと言えばそうなのですが、実はその時でもまだ全力ではなかったのです。
さて、こういう経歴なので、聖女でなくなった私はただの普通の人に過ぎません。
「……追い出されてしまった以上、故郷の村でのんびり余生を送りましょうか」
王都はいいところだし知り合いも出来ましたが、留まっていては偉い大人に「やっぱり婚約を元に戻せ」などと言われてしまうかもしれません。だったら故郷の村で老母と静かに暮らした方がましです。
幸い聖女時代にもらった給料までは返せと言われなかったので、最低限の荷物と金貨だけは持ち帰ることが出来ます。慎ましくしていれば一生暮らせるだけのお金はあるでしょう。
そう考えて、私は出来るだけさっさと荷造りを済ませると急いで王都を出たのでした。
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