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Ⅱ
アルフの怒り
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「本当に大丈夫なの!? あれでもオルクは相当強いけど!」
オルクが去っていくと、心配のあまり私はアルフに尋ねてしまう。オルクは性格こそあれだが入学試験の時は剣術の実技で一位の成績を残している。彼が性格の割にモテるのは家柄だけでなくそういう理由もある。授業でも癪ではあるがいつも見事な剣技を披露していた。
が、それを聞いてもアルフは慌てなかった。
「大丈夫だ。考えてみてくれ、僕はプロの近衛騎士だ。あんな奴に負けると思うか?」
「確かに……でも剣術の成績がいいって聞いたことないけど」
「そりゃそうだ。そもそも僕は君たちよりいくつか年上だしきちんとした訓練も受けている。そんな僕が本気を出すのはずるいし、そもそも学生じゃないことがばれてしまう」
「なるほど」
言われてみればその通りだった。近衛騎士は王族や王宮を守護する最後の砦にして最強の盾である。そのため、兵士の中でも特に身体能力に優れた者が選抜されて厳しい訓練を受ける……という話を聞いたことがある。それに比べればオルクとの決闘など子供の遊びのようなものかもしれない。
「でもいいの? そこで本気を出してしまえば正体がばれたりしない?」
「大丈夫だ」
すると私の問いに彼は急に声をひそめる。そこで私は慌てて学園内で「正体」とか口にしてしまったことを後悔する。
「彼との実力差であればまぐれ勝ちに見せかけた方法で勝つことも出来る。もっとも、決闘で手抜きをしながら戦うのは相手がオルクといえども僕の良心は痛むが。とはいえ、それよりも僕はあいつがレミリアの腕を掴んだことが許せなかったんだ」
「え?」
急にアルフの表情が怒りに変わる。急な話題の転換に私は思わず首をかしげてしまう。
「言葉でのやりとりなら口を挟むつもりはなかった。そういうのはレミリアの口からはっきり言うのが筋だろうからね。でもあんな奴がレミリアの腕を掴んだとき、つい怒りが抑えきれなくなってしまった」
「ありがとう」
それを聞いて私は心からアルフに感謝する。今まで私に対してそこまでの態度をとってくれる人なんていなかった。家族はよくも悪くも放任主義であったし。
もしもあそこでアルフが間に入ってくれなければ無理矢理連れていかれるか、腹いせに暴力を振るわれていたかもしれない。
そんなことを話しているとクラスの男子たちが私たちの元へ集まってくる。私は女子には嫌われていたが、男子にはそこまででもなかった。もっとも、男子としゃべることもほぼなかったが。
「なあ、オルクとの決闘って本当か?」
「あいつ強いけど大丈夫なのか?」
「でも今のは胸糞悪かったから正直見てて気持ち良かった」
そう言って男子はアルフに好意的なことを言う。オルクは男子の中では評判が悪かったようだ。男子は女子と違ってオルクと授業や寮で絡むことも多いため、彼の性格の悪さが目に付くのかもしれない。そしてその割にモテているから評価も悪いのだろう。
今までここまでクラスメイトの注目を浴びることがなかったオルクは急にスポットライトを浴びて戸惑ってしまう。
「そ、そうだろうか? でも僕はレミリアのために精一杯戦おうと思う」
「おお~!」
アルフの言葉に男子たちは歓声を上げる。アルフとしては「手加減しても勝てる」とは言えない以上こういう言い方をしたのだろうが、結果としてとても男気のある言葉になった。
「頑張ってくれ」
「是非あいつに一泡吹かせてやってくれ」
こうしてしばらくの間オルクは男子たちの声援を受けたのだった。
オルクが去っていくと、心配のあまり私はアルフに尋ねてしまう。オルクは性格こそあれだが入学試験の時は剣術の実技で一位の成績を残している。彼が性格の割にモテるのは家柄だけでなくそういう理由もある。授業でも癪ではあるがいつも見事な剣技を披露していた。
が、それを聞いてもアルフは慌てなかった。
「大丈夫だ。考えてみてくれ、僕はプロの近衛騎士だ。あんな奴に負けると思うか?」
「確かに……でも剣術の成績がいいって聞いたことないけど」
「そりゃそうだ。そもそも僕は君たちよりいくつか年上だしきちんとした訓練も受けている。そんな僕が本気を出すのはずるいし、そもそも学生じゃないことがばれてしまう」
「なるほど」
言われてみればその通りだった。近衛騎士は王族や王宮を守護する最後の砦にして最強の盾である。そのため、兵士の中でも特に身体能力に優れた者が選抜されて厳しい訓練を受ける……という話を聞いたことがある。それに比べればオルクとの決闘など子供の遊びのようなものかもしれない。
「でもいいの? そこで本気を出してしまえば正体がばれたりしない?」
「大丈夫だ」
すると私の問いに彼は急に声をひそめる。そこで私は慌てて学園内で「正体」とか口にしてしまったことを後悔する。
「彼との実力差であればまぐれ勝ちに見せかけた方法で勝つことも出来る。もっとも、決闘で手抜きをしながら戦うのは相手がオルクといえども僕の良心は痛むが。とはいえ、それよりも僕はあいつがレミリアの腕を掴んだことが許せなかったんだ」
「え?」
急にアルフの表情が怒りに変わる。急な話題の転換に私は思わず首をかしげてしまう。
「言葉でのやりとりなら口を挟むつもりはなかった。そういうのはレミリアの口からはっきり言うのが筋だろうからね。でもあんな奴がレミリアの腕を掴んだとき、つい怒りが抑えきれなくなってしまった」
「ありがとう」
それを聞いて私は心からアルフに感謝する。今まで私に対してそこまでの態度をとってくれる人なんていなかった。家族はよくも悪くも放任主義であったし。
もしもあそこでアルフが間に入ってくれなければ無理矢理連れていかれるか、腹いせに暴力を振るわれていたかもしれない。
そんなことを話しているとクラスの男子たちが私たちの元へ集まってくる。私は女子には嫌われていたが、男子にはそこまででもなかった。もっとも、男子としゃべることもほぼなかったが。
「なあ、オルクとの決闘って本当か?」
「あいつ強いけど大丈夫なのか?」
「でも今のは胸糞悪かったから正直見てて気持ち良かった」
そう言って男子はアルフに好意的なことを言う。オルクは男子の中では評判が悪かったようだ。男子は女子と違ってオルクと授業や寮で絡むことも多いため、彼の性格の悪さが目に付くのかもしれない。そしてその割にモテているから評価も悪いのだろう。
今までここまでクラスメイトの注目を浴びることがなかったオルクは急にスポットライトを浴びて戸惑ってしまう。
「そ、そうだろうか? でも僕はレミリアのために精一杯戦おうと思う」
「おお~!」
アルフの言葉に男子たちは歓声を上げる。アルフとしては「手加減しても勝てる」とは言えない以上こういう言い方をしたのだろうが、結果としてとても男気のある言葉になった。
「頑張ってくれ」
「是非あいつに一泡吹かせてやってくれ」
こうしてしばらくの間オルクは男子たちの声援を受けたのだった。
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