学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃

文字の大きさ
27 / 41

心機一転

しおりを挟む
 さて、こうしてシルヴィア事件は解決した訳だが、当然ながらしばらくの間学園は騒然となった。何せ私たちとシルヴィアの戦いで緊急避難が行われた上、寮が半壊したのである。その衝撃で生徒たちは騒然とし、学園や騎士側は他にもレティシアと接触した者がいないか捜査が行われた。当然学園自体もしばらくの間休校となり、寮もしばらくの間再建のため立ち入り禁止となった。

 そのため私たちはしばらく暇になった。特に私はアルフも忙しくなってしまったため、学園から指定された宿に滞在しながら珍しく王都の観光を行うなど慣れない過ごし方をした。

 一週間ほどして、寮が一応補修されて戻ることが出来るようになった。破壊されたのはシルヴィアの部屋周辺なので、その周りに住んでいた生徒を空き部屋に移すなどでどうにかなったらしい。
 ちなみに後でアルフから聞いて話によるとこの時騎士団により寮の部屋が調査され、怪しげな物品がないか調べられたらしい。もっともこの時は怪しいものはなかったらしいが。

 そしてそれから三日ほどして学園自体も再開した。
 休み中に会っていた生徒たちもいたが、ほとんどの生徒たちは十日ぶりの再会となり、クラスの話題はシルヴィアの件で持ち切りになった。
 そして、その渦中にあった私は登校してくるなり、周りに事件について知りたがるクラスメイトたちで輪が出来た。

「レミリアさんはあの時シルヴィアと戦ったって言うけど本当!?」
「アルフ君って実は騎士だったの!?」
「寮が壊れたのはレミリアさんの魔法が強かったからって本当か!?」

 これまでずっとクラスでは孤立していた私が急に大人数のクラスメイトたちに囲まれる事態になり、少し戸惑ってしまう。

「ちょっと待って。皆で同時に話しかけられても答えられないから」
「じゃあまずはシルヴィアと戦った時のこと教えて?」

 そう言ったのはクラスで一番賑やかという印象があったリンダだった。明るい性格で、いつも彼女の周辺は盛り上がっているなという印象はあったが、実際に話すのは初めてかもしれない。

 今回のことについては大々的に起こってしまったということもあって特に口止めはされていなかったが、一点だけ、レティシアの存在だけは言わないように言われていた。シルヴィアのように彼女から力をもらおうとする生徒が続くことを危惧してのことらしい。
 確かに、もし間違った伝わり方をして「どんな人でも一瞬で大量の魔力を得られる手段をくれる人」みたいなイメージになってしまえば闇街に繰り出す生徒は続出するだろう。
 とはいえこれだけの生徒が集まっている以上噂が立つのを抑えるのは難しいと思うが。

「分かった。あの時はまずアルフがシルヴィアが闇の種子を使っている証拠を見つけて、その時騎士団が別件で出払っていたからアルフが一人で行くことになったから私もついていくことにしたの」
「嘘、すごい!」
「いや、それは行きがかりというか、ほら」

 私が曖昧に言うと、他の生徒たちも進級試験で起こったことを思い出して納得してくれたようだ。

「それでシルヴィアが闇の力を使って……」

 私はその時あった戦いのことをかいつまんで話す。女子も興味津々であったが、魔法での戦闘の話があったからか、意外にも男子に対する受けの方が良かった。

「……ということがあってどうにか私たちは勝ったって訳」
「すごい!」
「やっぱりシルヴィアは邪まな力を使ってたんだ!」
「俺もいつか近衛騎士になりてぇ」

 クラスメイトたちは口々に感想を漏らす。
 これまでエマや一部の女子のせいでクラス全員から冷たくされているような気がしていたが、案外向こうは私のことなど大して気にしていなかったのだろう。

「いいなあ。ねえ、どうやったら私たちもそんな風に魔法を使えるようになれると思う?」

 リンダも他の生徒と同じように目を輝かせていたが、ふと何気なく尋ねる。
 恐らくそんなに深い意味はなかったのだろうが、私はその問いを聞いて少し困った。もちろん練習あるのみ、と言えばそれまでだが、実際のところ誰もが練習すればすごい魔法が使えるようになるかと言われるとそんなことはない。やはり持って生まれた魔力量の差というものは大きい。

「えーっと……」

 私が返事に詰まっていると、ちょうどいいところに担任の教師が入ってくる。

「皆の者静粛に。これから今回の事態の説明などを行う。講堂に向かうように」

 こうして全校生徒は講堂に集められた。そして改めて学園の偉い人から今回の件の説明が行われる。レティシアの件は伏せられていたが、他はおおむね起こったことがそのまま説明されていた。また、アルフが生徒として潜入していた騎士だったことも明かされた。まだ噂を聞いていなかった一部の生徒からはどよめきが起こる。

「……ということがあったが、今回のことがあったため学園の警備兼武術の教師としてアルフには改めて我が校に来ていただくことになった」

 先生の言葉に私のクラスからはもっと大きなどよめきが上がる。私もそういう形になるのか、と声にはしなかったが驚いた。
 そして講堂の壇上にアルフが歩いて来る。その姿はついこの前までクラスメイトだったとは思えないほど堂々としていた。

「ついこの前までは生徒としてこの学園に在籍していて、皆を騙す形になっていたのは申し訳ない。これからは改めて職員として在籍させていただこうと思うのでよろしく」

 アルフが頭を下げると、その堂々とした振る舞いや精悍なたたずまいに割れんばかりの拍手が起こる。
 こうして私たちの新しい学園生活が始まったのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜

白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」  即位したばかりの国王が、宣言した。  真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。  だが、そこには大きな秘密があった。  王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。  この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。  そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。 第一部 貴族学園編  私の名前はレティシア。 政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。  だから、いとこの双子の姉ってことになってる。  この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。  私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。 第二部 魔法学校編  失ってしまったかけがえのない人。  復讐のために精霊王と契約する。  魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。  毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。  修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。 前半は、ほのぼのゆっくり進みます。 後半は、どろどろさくさくです。 小説家になろう様にも投稿してます。

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

処理中です...