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ブライアン襲来
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ブライアンとキャシーとの約束をドタキャン(?)した日、私は家でいつもより遅くまで眠っていた。予定が空いたから何かしようかとも思ったが、下手に出歩いて二人と遭遇してしまうのが一番気まずいということに気づき、家にいることにしたのだ。
いつもより遅めに起きてきた私は、いつもならすぐに気づいて朝食をとるのだがその日は読みかけの本を持って再びベッドに戻る。眠っている時の温かい布団の感触を感じたままする読書は最高だった。
が、不意に私の部屋のドアがノックされ、私のそんな至福の時間はすぐに終わりを迎えた。
「……何?」
「すみませんお嬢様、ブライアン様がいらしています」
「え!?」
メイドの声に私は思わずびくりとしてしまう。と同時に疑問が頭をよぎる。
なぜブライアンが? 彼は今日はキャシーとデートのはずでは?
もしや私がドタキャンしたのを体調が悪かったのではないかと勝手に邪推したのではないか。それでお見舞いに来てしまったということだろうか。
「私は今凄く体調が悪いから会えないと伝えて!」
「それが、彼は絶対に会うと息巻いていまして」
メイドが困ったように言ったときだった。
どすどすという足音とともに「カーラ! 今日は絶対に逃がさない!」というブライアンの声と「困りますブライアン様!」という我が家の執事の声が近づいてくる。
どうやら仮病作戦が通用する相手ではなかったようだ。
昔からこうと決めたことは絶対に曲げない彼であったが、この年になってもそれは変わっていなかったらしい。
このところずっと私に話そうとしていたことがあったようだが、休日に家に押し掛けるほどのことだったのだろうか。
もっとも、頑なにブライアンと二人きりになろうとしなかった私も私なので、諦めの溜め息をつく。
「分かった。それなら着替えるからそれを待ってと伝えておいて」
「分かった!」
が、返ってきたのはブライアンの声だった。そんな大きい声で言ったつもりもなかったんだけどどうやらもうそこまで来てしまっているらしい。
私はふと自室の窓を見る。窓から逃げ出すことも出来るだろうか。
が、そう思った時だった。
「もし逃げたとしても今日という今日は絶対に逃がさないからな!」
さすが幼馴染だけあって考えることは分かるらしい。
というか彼の台詞は幼馴染というよりはどちらかというと借金取りか刺客のものと言われた方がしっくりくるのではないか。
そう思った私は服を着替えると覚悟を決めてドアを開ける。
そこには息をきらしたブライアンが立っていた。そして目をぎらぎらさせて私を見つめる。
「ようやく捕まえた。今日という今日は二人きりで話させてもらおうか」
「それはいいけど……キャシーはどうなったの?」
最後の悪あがきという思いで私は尋ねる。
「悪いけど帰ってもらった」
「へ?」
彼の言葉に私は目が点になる。
いくら何でもそれはひどすぎないだろうか、と私が言おうとした時だった。
「なぜ頑なに俺とキャシーをくっつけようとするんだ?」
「それは二人が付き合っているからに決まっているでしょ」
この期に及んで何をそんな当然なことを尋ねるのだろうか、と思いつつ答える。
すると今度はなぜかブライアンの目が点になった。
「は?」
いつもより遅めに起きてきた私は、いつもならすぐに気づいて朝食をとるのだがその日は読みかけの本を持って再びベッドに戻る。眠っている時の温かい布団の感触を感じたままする読書は最高だった。
が、不意に私の部屋のドアがノックされ、私のそんな至福の時間はすぐに終わりを迎えた。
「……何?」
「すみませんお嬢様、ブライアン様がいらしています」
「え!?」
メイドの声に私は思わずびくりとしてしまう。と同時に疑問が頭をよぎる。
なぜブライアンが? 彼は今日はキャシーとデートのはずでは?
もしや私がドタキャンしたのを体調が悪かったのではないかと勝手に邪推したのではないか。それでお見舞いに来てしまったということだろうか。
「私は今凄く体調が悪いから会えないと伝えて!」
「それが、彼は絶対に会うと息巻いていまして」
メイドが困ったように言ったときだった。
どすどすという足音とともに「カーラ! 今日は絶対に逃がさない!」というブライアンの声と「困りますブライアン様!」という我が家の執事の声が近づいてくる。
どうやら仮病作戦が通用する相手ではなかったようだ。
昔からこうと決めたことは絶対に曲げない彼であったが、この年になってもそれは変わっていなかったらしい。
このところずっと私に話そうとしていたことがあったようだが、休日に家に押し掛けるほどのことだったのだろうか。
もっとも、頑なにブライアンと二人きりになろうとしなかった私も私なので、諦めの溜め息をつく。
「分かった。それなら着替えるからそれを待ってと伝えておいて」
「分かった!」
が、返ってきたのはブライアンの声だった。そんな大きい声で言ったつもりもなかったんだけどどうやらもうそこまで来てしまっているらしい。
私はふと自室の窓を見る。窓から逃げ出すことも出来るだろうか。
が、そう思った時だった。
「もし逃げたとしても今日という今日は絶対に逃がさないからな!」
さすが幼馴染だけあって考えることは分かるらしい。
というか彼の台詞は幼馴染というよりはどちらかというと借金取りか刺客のものと言われた方がしっくりくるのではないか。
そう思った私は服を着替えると覚悟を決めてドアを開ける。
そこには息をきらしたブライアンが立っていた。そして目をぎらぎらさせて私を見つめる。
「ようやく捕まえた。今日という今日は二人きりで話させてもらおうか」
「それはいいけど……キャシーはどうなったの?」
最後の悪あがきという思いで私は尋ねる。
「悪いけど帰ってもらった」
「へ?」
彼の言葉に私は目が点になる。
いくら何でもそれはひどすぎないだろうか、と私が言おうとした時だった。
「なぜ頑なに俺とキャシーをくっつけようとするんだ?」
「それは二人が付き合っているからに決まっているでしょ」
この期に及んで何をそんな当然なことを尋ねるのだろうか、と思いつつ答える。
すると今度はなぜかブライアンの目が点になった。
「は?」
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