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Ⅱ
イヴ視点 クリフの申し出
リアナと勉強会をした翌日のことである。たまたま私はいつもより教室に入ったのだが、すると待っていたかのようにクリフが私の元へ歩いてくる。
そして卑屈な笑みを浮かべて言った。
「なあイヴ、相談があるんだ」
「何、急に?」
いつもよりも真面目な表情をしているが、私は何となく嫌な予感がする。
リアナは子供のころのクリフを知っているせいか彼が更生してくれることを未だに期待しているようだが、正直なところ私はクリフのことを見限っていた。
おそらく子供のころのリアナにとってクリフがヒーローであったのは、子供であればクリフの性格は「無邪気」の一言で済んでしまうからだろう。しかし年齢を重ねるにつれてクリフの性格は無邪気から「軽薄」「考えなし」「我がまま」に少しずつ変わっていった。いや、変わらなかった、という方が適切だろうか?
また、リアナはクリフに対する好意が恋愛感情に変化したようだが、クリフの方は未だに幼馴染同士のような気分でいる。要するに彼はあまり成長していないのだ。だから成長するにつれ、リアナはクリフを追い越してしまったのだろう。
「確かイヴってリアナと仲良かっただろ?」
「いいけど、それが?」
「ほら、俺最近リアナと喧嘩しちゃってさ、謝ってるけどなかなかリアナは機嫌を治してくれないんだ。そろそろ試験が近いだろ? 俺はリアナに教えてもらえないと大変なことになるんだ。だから仲直りしたいんだけど、間に入ってくれないか?」
クリフの言葉に一瞬私は唖然としてしまう。この男は未だに自分の何が悪いのかをよく分かっていないらしい。
しかも試験が迫っているから仲直りしようなどと言ってくるところは悪い意味で正直だ。
やはり先ほどの私の推測は当たっていたのか、と内心溜め息をつく。
「一応聞くけど、それ本気でそう思ってるの?」
「……いや、俺も多少は悪かったと思うけど」
クリフは少し言いづらそうに言う。
彼は元々自分をそんなに悪いと思ってない上、自分の非を認めたがらない性格のせいでああいう態度をとっていたらしい。
どちらか一つならまだ改善の余地があるが、これではだめだ。
リアナが仲直りを望んでいる以上間に入って無理矢理仲直りさせることは出来るだろうが、そんなことをしてもまたリアナが不幸になるだけだろう。
そう思った私はクリフを見捨てることにした。
「多少しか悪くないと思ってる時点で仲直りは出来ないと思うよ」
「なあ、俺がエルマと話したのがそんなに悪いか? 別に他の女子とだってちょっと話すぐらいいいだろ」
「ちょっと話すぐらいならね。でもあなたはいつもリアナよりもエルマを優先しているし、聞いた話によると時にはリアナには嘘までついてエルマと会ったんでしょ? そんなの全然ちょっととは言わないと思うけど」
私が言うと、クリフは憮然とした表情で口をつぐむ。
やはり彼はリアナ以外の相手には、リアナにしていたように雑に反論することは出来ないらしい。やっぱりクリフはリアナに甘えている。
彼は私の意志が固いと思ったのか、諦めたように自分の席へ戻っていく。
すると入れ替わりにリアナが教室へ入ってきた。
「おはようリアナ」
「おはようイヴ。あれ、クリフと何か話していた?」
「ううん、別に」
今回はクリフの要求を断ったものの、とはいえ二人は婚約者だしこのままでは埒が明かない。リアナからクリフに婚約破棄することはないだろうし、今の雰囲気だとクリフが言いだすこともなさそうだ。
そう考えるとどこかで二人の関係に何かを判断を起こさなければ。
そんなことを考えたところで私はふと教室の真ん中男友達と話しているカーティスの姿が目に入る。確か彼はクリフとも仲が良かったはずだ。
こうして私はカーティスに相談することに決めた。
そして卑屈な笑みを浮かべて言った。
「なあイヴ、相談があるんだ」
「何、急に?」
いつもよりも真面目な表情をしているが、私は何となく嫌な予感がする。
リアナは子供のころのクリフを知っているせいか彼が更生してくれることを未だに期待しているようだが、正直なところ私はクリフのことを見限っていた。
おそらく子供のころのリアナにとってクリフがヒーローであったのは、子供であればクリフの性格は「無邪気」の一言で済んでしまうからだろう。しかし年齢を重ねるにつれてクリフの性格は無邪気から「軽薄」「考えなし」「我がまま」に少しずつ変わっていった。いや、変わらなかった、という方が適切だろうか?
また、リアナはクリフに対する好意が恋愛感情に変化したようだが、クリフの方は未だに幼馴染同士のような気分でいる。要するに彼はあまり成長していないのだ。だから成長するにつれ、リアナはクリフを追い越してしまったのだろう。
「確かイヴってリアナと仲良かっただろ?」
「いいけど、それが?」
「ほら、俺最近リアナと喧嘩しちゃってさ、謝ってるけどなかなかリアナは機嫌を治してくれないんだ。そろそろ試験が近いだろ? 俺はリアナに教えてもらえないと大変なことになるんだ。だから仲直りしたいんだけど、間に入ってくれないか?」
クリフの言葉に一瞬私は唖然としてしまう。この男は未だに自分の何が悪いのかをよく分かっていないらしい。
しかも試験が迫っているから仲直りしようなどと言ってくるところは悪い意味で正直だ。
やはり先ほどの私の推測は当たっていたのか、と内心溜め息をつく。
「一応聞くけど、それ本気でそう思ってるの?」
「……いや、俺も多少は悪かったと思うけど」
クリフは少し言いづらそうに言う。
彼は元々自分をそんなに悪いと思ってない上、自分の非を認めたがらない性格のせいでああいう態度をとっていたらしい。
どちらか一つならまだ改善の余地があるが、これではだめだ。
リアナが仲直りを望んでいる以上間に入って無理矢理仲直りさせることは出来るだろうが、そんなことをしてもまたリアナが不幸になるだけだろう。
そう思った私はクリフを見捨てることにした。
「多少しか悪くないと思ってる時点で仲直りは出来ないと思うよ」
「なあ、俺がエルマと話したのがそんなに悪いか? 別に他の女子とだってちょっと話すぐらいいいだろ」
「ちょっと話すぐらいならね。でもあなたはいつもリアナよりもエルマを優先しているし、聞いた話によると時にはリアナには嘘までついてエルマと会ったんでしょ? そんなの全然ちょっととは言わないと思うけど」
私が言うと、クリフは憮然とした表情で口をつぐむ。
やはり彼はリアナ以外の相手には、リアナにしていたように雑に反論することは出来ないらしい。やっぱりクリフはリアナに甘えている。
彼は私の意志が固いと思ったのか、諦めたように自分の席へ戻っていく。
すると入れ替わりにリアナが教室へ入ってきた。
「おはようリアナ」
「おはようイヴ。あれ、クリフと何か話していた?」
「ううん、別に」
今回はクリフの要求を断ったものの、とはいえ二人は婚約者だしこのままでは埒が明かない。リアナからクリフに婚約破棄することはないだろうし、今の雰囲気だとクリフが言いだすこともなさそうだ。
そう考えるとどこかで二人の関係に何かを判断を起こさなければ。
そんなことを考えたところで私はふと教室の真ん中男友達と話しているカーティスの姿が目に入る。確か彼はクリフとも仲が良かったはずだ。
こうして私はカーティスに相談することに決めた。
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