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 本日は2話更新しています。次は短いですが、お楽しみください。



 猫が住み着いてから3日が経過した。ポイントは変わらず1分に15DTP獲得している。猫はダンジョンを出る様子もなく、基本的に丸くなったまま眠っている。食事は必要ないらしいが、飢え死にされても困るので定期的に食事セットを部屋まで運んでいた。

 最初は威嚇されていたが餌付けのおかげか敵意がないことを理解したのか、俺が食事を持って部屋に入るとすり寄ってくるようになっていた。

 最初は食べてくれず腐ってしまうこともあったが、今では勢いよく食べてくれる。食事セットは腐るとダンジョンに吸収されるのか消えて無くなることもわかった。排泄物やゴミもいつの間にか消えていたので、たぶん人間や動物の死体も置いておけば消えてしまうと思われる。

 3日間で発見したことがいくつかある。一番大きな発見はコアだけのダンジョンだ。10時間ほど歩いた先で森の中と山の中に2つ発見した。どちらも初期の状態で主は人間の姿になって出て行ったと思われる。

 小説でよくあるコアに触れると自分のダンジョンに出来るのではと思ったが、主が生きているためか何の変化もなかった。なので壊してみることにした。

 これで復活できないが、守らなかった主が悪いのだ。

 破壊したことで手に入れたのは10万DTPだった。初期の1万DTPを使用していないとは考えずらい。中に誰もいなかったのでポイントが貯まっていたわけではなく、破壊ボーナス的なものだろう。

 もし人間が破壊したら何かいいことでもあるのだろうか? 10万DTPに近い能力が手に入る可能性がある。コアを破壊した者には要注意だ。

 この3日で25万DTP以上を獲得していた。

 まずは1万DTPを使用してコアの部屋を草原に変化させた。太陽が存在し、外の世界と時間は同じで太陽は沈む。草原は広大で端から端まで歩いてみたが5時間かかった。

 真ん中にコアが存在し、壊されないようにするため大木を設置する。大木に窪みと鳥居を作り、台座にコアを乗せる。まるでコアが祀られているように見せた。

 それでも壊そうとする輩がいるかもしれないので、狐の形をしたガーゴイルを2列で合計6体配置する。まるで神社だ。

 大木の後ろは森を設置した。最初は白樺の木を配置して、進んでいくとダークオークの木を設置していく。あるゲームで好きだった木材だ。

 ダークオークの木々を抜けると少し開けた場所に転移の魔法陣を設置する。一度行ったことのある場所ならどこにでも転移できる魔法陣だ。

 魔法陣を無視して進むと見えない壁で進むことはできないが、隠し扉が設置してありその先が俺の寝室になっている。

 草原エリアに入る扉の前に看板を設置する。
《この先に富はなく、我が眠る場所。富を望むならもう一つの道を探せ》
 入ってきた場合も考えて、コアを祭る大木の近くにも看板を設置する。
《敵意ある者に災いが降りかかる》

 それでも武器を構えたり、コアに近づく者がいれば狐姿のガーゴイル6体に襲われるように設定しておく。ガーゴイルが倒されることを考えるなら、もう一つの最終手段としてコアからドラゴンが召喚されるように設定しておく。
 先払いで5万DTPが必要だった。召喚されるドラゴンは最強クラスらしい。

 草原エリア、大木や木々、ガーゴイルや魔法陣の設置、ドラゴン保険を購入して残りが15万DTPだが、10万DTPはもう使用していた。

 5万でモンスター製造機、さらに5万でモンスター融合機だ。モンスター製造機は自分が想像した姿のモンスターを作ることができる。さらにDTPをつぎ込めば戦闘スキルを習得した状態で誕生させられる。

 融合機はモンスターとモンスターやモンスターの一部と重ね合わせたり、モンスターと武具、鉱石や毒など様々な物と融合させて新たなモンスターを生み出すことができる。使用するためにDTPは必要だ。

 人間が何を富とするのか、まずは宝石だろう。モンスターを倒すことで宝石が手に入るのなら、壊すにはもったいないダンジョンになると思われる。

 モンスターが倒された場合、再度召喚するのにDTPは必要になる。倒されにくいモンスターで対応さえわかれば倒せるモンスターと言えば、スライムだろうか。

 まず製造機で宝石と相性がいさそうな硬化スキルを持つスライムを3匹作り、エメラルドやルビー、サファイヤの原石と融合させていく。宝石の種類によって色は違うが、ジュエリースライムが誕生した。

 鑑定と看破を使って詳しく調べていく。
《ジュエリースライム》
 ダンジョンで生まれた新種。コアを破壊することで活動を停止する。コアが破壊されたことでゼリー状の体は硬化して宝石に代わる。吸収した宝石や年月により宝石の色合いが変わる。

 今のままではガラスの様な宝石になるようなので、スライムを配置する場所に宝石の原石が取れる洞窟を作った。原石はスライムに吸収されたり、誰かに掘られたりすることで時間をおいてから再生するように設定しておく。

 原石再生の際はDTPが必要で、スライムが倒されるとさらに再配置でDTPが必要だ。すぐに倒されないスライムを用意しておく方がいいと考え、硬化以外にも擬態スキルを追加しておく。

 擬態スキルを手にしたスライムは、壁に擬態しながら露出した原石を吸収していた。吸収には時間がかかるようで、原石が補充されてもDTPが枯渇することはなさそうだ。

 とりあえず3匹のスライムを宝石洞窟に配置しておく。スライムは元々分裂スキルを持っているので、増えすぎないよう注意が必要だ。

 色の濃さや分裂の具合で倒してしまい、残った宝石は取っておくことにしよう。

 今のダンジョンは、入り口に部屋が存在して左右に分かれ道がある。右は猫がいた部屋だ。今では草原エリアにいつの間にか入っており、大木の近くや大木の頂上で丸くなって眠っている。

 左右には看板を設置して、右側は《力試しの部屋。報酬 鉄装備1つ》左側は《富を求めしもの罠を解除し、力を示せ》と記載しておく。

 右側は定番のゴブリン3匹と2つ目の部屋は宝箱を設置した。出てくるのは鉄の装備類。剣や盾、兜や鎧など初心者冒険者にはうれしいご褒美だろ。

 宝箱は空になると消えて、その部屋に居る人間は入り口まで強制転移だ。次に出てくるのは、またゴブリンを倒した時で、ゴブリンは倒されてから5分で復活するように設定してある。

 左側は長い通路に落とし穴と毒針が飛んでくる罠を設置しておく。進んだ先の部屋は休憩所となり、綺麗な池とテントが張れるように平地を用意した。

 奥に進むにつれて狭い道になっており、扉と看板が現れる。看板には《力を示せ。示した者に富を与える。ただし、入れる人数は5名まで》と記載しておく。

 扉を開けると武装したオークが立っている。オークを倒すことで草原エリアに続く扉と看板、宝石洞窟に続く道が現れる仕様だ。さらにオークが使用していた武具の1つが手に入る。

 オークには炎を纏う魔剣、魔法耐性のある盾、飛び道具耐性のある兜、斬撃耐性のある鎧を着せている。1匹しか配置していないので5人もいれば勝てるだろうと予想している。

 右側で装備を整えればなおさらだろう。DTPを使って購入する武具は固定の能力が付与されているが、宝箱やドロップアイテムは固定の能力以外にも、たまに能力が付与されることがあるようだ。

 猫が草原エリアに入る前、オークを倒してしまったようでドロップアイテムとして残った盾に、魔法耐性以外にも稀に魔法反射という能力が付与されることがあった。

 5000DTPもかけたオークを倒してしまう猫は、どれほどの強さなのだろう。それ以上に稼がせていただいているので、文句は言うわけではないが。

 猫に怪我がなくてよかった。

 ダンジョンの改造に3日が経っていた。
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