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19. 何者であっても
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「や、まぁ…そうだ。…とりあえず、席に着こう。」
食堂が見えたので、話は食べながらという事になった。ラドも、この後仕事があるから時間が無くなってきているのだ。
「まずは食べよう。俺は時間が少ししかないが、ナターシャは、ゆっくり食べればいいからな。」
そう、ナターシャへと気遣うラド。ナターシャは、それに一つ頷いた。
「ナターシャ、それについては、済まないと思っている。俺が王太子だと、初めから言っていればナターシャはきっと、俺と気兼ねなく話してくれないと思ったんだ。」
「…。」
「何度も言おうか迷ったんだ。あの公園に行った時も。あの場所は癒しの場所ではあるが同時に、王族としての責務に、どちらが前か分からなくなった時に出向いて自分を鼓舞する場所でもあるんだ。遥か昔ではあるが、この地を守る為に亡くなっていった人達がいる。それを忘れない為に、その人達の魂に誓うんだ。俺が治める国となった時も今と変わらず平和で豊かな国としていくと。…でも、それをナターシャへ口に出して言う事は躊躇った。俺の中身を、見てくれているのに、肩書きを見てしまうんじゃないかって……済まない!」
ラドは、謝罪を繰り返し、頭を下げた。
「頭を上げて下さい!…ラド様は言ってくれなかったけれど、私も怖くて聞けなかったので同罪ですから!」
(それに、薄々気付いていたもの。ラド様が何者であっても、いつの間にか惹かれていたのは事実だわ。)
「…ナターシャ…今までと変わらず接してくれないか?」
「あ!……ええ。」
ナターシャは、知らず言葉遣いも丁寧な物言いへと変化していた。
その事にラドは距離が出来てしまったと感じて、やはり王太子という肩書きは面倒だと思った。
「ラド様が言うから、許可してくれたのだから、いいって事よね?では今までと同じように接しちゃうわよ?だったら…お願いがあるのだけれど……」
「ああ、咎めたりはしない。公の場では、言葉遣いは正さないといけないから気をつけろよ。それでお願いとはなんだ?ナターシャの言う事なら、俺は何でも聞くぞ!」
ラドはナターシャが元に戻してくれた為、安堵してそう言った。
「何でもって…ええと、本来私王太子妃の器じゃないのよ…それに、知識もないし。だから、教えて欲しいの。」
「あぁ、王太子妃教育ってやつだろ。教えたくてウズウズしている奴が山ほどいるから心配するな。それから、何度も言うが、ナターシャなら大丈夫だ!侯爵家で学んできたものはちゃんとものになっているから。俺と初対面の時も、ちゃんと挨拶出来ていたしな!」
「…そう?」
(ウズウズ?山ほど?お手柔らかにして欲しいけど…)
「あ、それから!イェレナの奴にはしばらく会わせないからそのつもりでいろよ!」
「え!?」
「ミロシュに聞いたんだが、まだミロシュとナターシャを結婚させる事を諦めてないらしくてな。俺らが正式に夫婦となるまで会わせてやるもんか!あのババァはいつもそうだ!いつも勝手に決めようとする!ミロシュもそのせいで好いた奴となかなか結婚出来ないのによ!」
(な、なんだか口が悪いような…)
「ラド様。イェレナ様をそんな風に仰らなくても…」
「仕方ないだろ!いきなりイェレナはナターシャとミロシュを結婚させるって言ってたと聞いたんだ。まぁ、それだからミロシュはあわよくばと思って俺に紹介したとも言ってたから、あいつのお陰と言えなくもないが…まだ諦めてないとは!」
「ミロシュ様は、お相手の事をまだイェレナ様に言われてないのですか?」
「あぁ…まだだと言っていた。」
「だからですって!ミロシュ様も『僕は結婚したい人がいます!』って言えば、イェレナ様もきっと認めて下さると思うわ。私、イェレナ様からハンカチの感想も聞きたいのになぁ…。」
「悪いが、まだ先だな。だが、大層喜んでいたと聞いたぞ。確かにミロシュも言えばいいんだが、何分、イェレナはワガママなんだ。どう出てこられるか恐ろしいんだろ。」
「そういうものかしら?」
(イェレナ様はきっと、悪い人ではないと思うのよ。王族気質なのじゃないかしら…。)
「そろそろか…俺は仕事だ。あー行きたくない!せっかくナターシャと気持ちが通じ合えたのに…」
そう言いながらもラドは仕事へと向かう。
「よし、ナターシャ!早く結婚しよう!そうすれば、同じ部屋でいつまでも一緒に過ごせるからな!」
今日もラド、改めラドヴァン王太子は、ナターシャへの想いが溢れている。
食堂が見えたので、話は食べながらという事になった。ラドも、この後仕事があるから時間が無くなってきているのだ。
「まずは食べよう。俺は時間が少ししかないが、ナターシャは、ゆっくり食べればいいからな。」
そう、ナターシャへと気遣うラド。ナターシャは、それに一つ頷いた。
「ナターシャ、それについては、済まないと思っている。俺が王太子だと、初めから言っていればナターシャはきっと、俺と気兼ねなく話してくれないと思ったんだ。」
「…。」
「何度も言おうか迷ったんだ。あの公園に行った時も。あの場所は癒しの場所ではあるが同時に、王族としての責務に、どちらが前か分からなくなった時に出向いて自分を鼓舞する場所でもあるんだ。遥か昔ではあるが、この地を守る為に亡くなっていった人達がいる。それを忘れない為に、その人達の魂に誓うんだ。俺が治める国となった時も今と変わらず平和で豊かな国としていくと。…でも、それをナターシャへ口に出して言う事は躊躇った。俺の中身を、見てくれているのに、肩書きを見てしまうんじゃないかって……済まない!」
ラドは、謝罪を繰り返し、頭を下げた。
「頭を上げて下さい!…ラド様は言ってくれなかったけれど、私も怖くて聞けなかったので同罪ですから!」
(それに、薄々気付いていたもの。ラド様が何者であっても、いつの間にか惹かれていたのは事実だわ。)
「…ナターシャ…今までと変わらず接してくれないか?」
「あ!……ええ。」
ナターシャは、知らず言葉遣いも丁寧な物言いへと変化していた。
その事にラドは距離が出来てしまったと感じて、やはり王太子という肩書きは面倒だと思った。
「ラド様が言うから、許可してくれたのだから、いいって事よね?では今までと同じように接しちゃうわよ?だったら…お願いがあるのだけれど……」
「ああ、咎めたりはしない。公の場では、言葉遣いは正さないといけないから気をつけろよ。それでお願いとはなんだ?ナターシャの言う事なら、俺は何でも聞くぞ!」
ラドはナターシャが元に戻してくれた為、安堵してそう言った。
「何でもって…ええと、本来私王太子妃の器じゃないのよ…それに、知識もないし。だから、教えて欲しいの。」
「あぁ、王太子妃教育ってやつだろ。教えたくてウズウズしている奴が山ほどいるから心配するな。それから、何度も言うが、ナターシャなら大丈夫だ!侯爵家で学んできたものはちゃんとものになっているから。俺と初対面の時も、ちゃんと挨拶出来ていたしな!」
「…そう?」
(ウズウズ?山ほど?お手柔らかにして欲しいけど…)
「あ、それから!イェレナの奴にはしばらく会わせないからそのつもりでいろよ!」
「え!?」
「ミロシュに聞いたんだが、まだミロシュとナターシャを結婚させる事を諦めてないらしくてな。俺らが正式に夫婦となるまで会わせてやるもんか!あのババァはいつもそうだ!いつも勝手に決めようとする!ミロシュもそのせいで好いた奴となかなか結婚出来ないのによ!」
(な、なんだか口が悪いような…)
「ラド様。イェレナ様をそんな風に仰らなくても…」
「仕方ないだろ!いきなりイェレナはナターシャとミロシュを結婚させるって言ってたと聞いたんだ。まぁ、それだからミロシュはあわよくばと思って俺に紹介したとも言ってたから、あいつのお陰と言えなくもないが…まだ諦めてないとは!」
「ミロシュ様は、お相手の事をまだイェレナ様に言われてないのですか?」
「あぁ…まだだと言っていた。」
「だからですって!ミロシュ様も『僕は結婚したい人がいます!』って言えば、イェレナ様もきっと認めて下さると思うわ。私、イェレナ様からハンカチの感想も聞きたいのになぁ…。」
「悪いが、まだ先だな。だが、大層喜んでいたと聞いたぞ。確かにミロシュも言えばいいんだが、何分、イェレナはワガママなんだ。どう出てこられるか恐ろしいんだろ。」
「そういうものかしら?」
(イェレナ様はきっと、悪い人ではないと思うのよ。王族気質なのじゃないかしら…。)
「そろそろか…俺は仕事だ。あー行きたくない!せっかくナターシャと気持ちが通じ合えたのに…」
そう言いながらもラドは仕事へと向かう。
「よし、ナターシャ!早く結婚しよう!そうすれば、同じ部屋でいつまでも一緒に過ごせるからな!」
今日もラド、改めラドヴァン王太子は、ナターシャへの想いが溢れている。
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