【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる

文字の大きさ
13 / 28

13. お礼に

しおりを挟む
 あれから一週間。

 毎日ディヴィスさんは売れ残り野菜を元に考えて惣菜パンを作ってくれる。
見たこともないだろうに、私の未熟な説明だけで素材と合うものを作っているディヴィスさんには本当に感服する。

 だって、私は日本にいた頃、パンなんてパン屋で購入していただけ。
自分で作った事なんてないもの。
だから、どんなパンがあったか説明しただけ。
素材とか、作り方とかまでは全く知らないから。

 でも、それが職人なのかしら。毎日楽しそうにやっているわ。



 私も、調理場が空いた時間にディヴィスさんにお願いしてお菓子を作らせてもらう事にした。小学生位の頃、クッキーをよく作っていたから、それを作ってクスファーさんとダグラスさんに持って行こうと思ったのだ。

 ディヴィスさんに頼めば、その方が美味しいだろうけれど、なんとなく私が何かしたいと思ったのだ。
だからといって、私はこの国のお金を持っていない。
だから結果的に、材料はディヴィスさんにもらう事になってしまうけれど、お願いしたらディヴィスさんもマルアさんも快諾してくれたのだ。ありがたい。

 あ、ちなみに二人が私にお給料をくれないのは初めにそう取り決めをしたから。
私が、『ただで居候させてもらって、食事まで頂いているのに給料までもらえません!どうか、私に払う予定のお金は生まれてくる赤ちゃんへ使って下さい!!
』と言ったのだ。

 でも、確かにお金がないと、家を借りるにもお金が要るし、どうしようかなとも考えていた。
このまま二人の赤ちゃんが産まれたら私、邪魔だよなーって。

 だから少し、それも相談しがてらお礼のクッキーを持って行こうとしたのだ。


 クッキーが完成したので、騎士団へと出掛ける。
夕方の販売は、四の鐘が鳴ってから。だからそれまでは時間がある。
問題は、居るかどうかだ。初めて訪問した時も、『僕らがちょうど居て良かったね。本来なら王宮で…』とか言っていたから、二人は王都の騎士団に居るわけではないのかもしれない。

 私は、店のカウンターから毎日外を眺めていて慣れてきたので今日は一人で騎士団の建物へと来た。

「あのー、クスファーさんとダグラスさんに会いに来たのですけど居ますか?」

「はぁ?何しに来た?」

 この前の人とは違って、今日の受付はずいぶんと恐そうな人ね。
口元には黒い髭が囲むように丸く生えている。
だみ声で、本当に騎士団の人?荒くれ者みたいよ。

「以前のお礼と、相談に来ました。」

「約束は?」

 …あなた受付でしょ?もっと丁寧に接客出来ないのかしら?

「してません。してないと会えないのですか?」

「は!むしろしてなくてよく会えると思ったな!!それはなんだ?手土産か?いるんだよなーそういうの!ちょっとカッコイイヤツが助けたからってほいほいと好きになる奴が!」

 この世界は紙が貴重なのか、パン屋にはあまりないのよね。
ビニール袋みたいなのもラップもしかり。
新聞は分けてもらえるみたいでたくさんあったから、新聞に作ったクッキーを包んできたのだけど良く分かったわね。
まぁ、たくさん持ってきたからこの人にも渡しますか。

「あ、遅くなってごめんなさい。あなたも、受付お疲れさまです。お口に合うかわからないけれどどうぞ。」

 と、その中の包み紙を一つ、渡した。
するとなぜか口調が変わりだみ声だったのが気持ち優しくなったわ。
これが賄賂というものの威力ね!

「えっ!?くれんのか?やー悪い悪い!団長と副団長に会いたいって言うからどんなファンかと思ったが、あんたイイヤツだな!!残念だが今二階で仕事中でね。引き継ぎ…あ、いや、会議だな!うん!長引くと夕方までかかるかもなぁ。」

 そうなんだ…。じゃあ今日は会えないかもしれないのね。っていうか、今すごい事を聞いたような…?

「団長と副団長?」

「え?そのお二人に会いに来たんだろ?まぁ、だから普段は王宮騎士団にいて、毎日ここに来るわけじゃないから、今日ここにいるのはお前さん幸運だけどねー。けど会えるかだよな。いつ終わるか…。」

 まぁ!トップとナンバーツーだったの!?どっちがどっちかなんて…うん、多分クスファーさんが団長よね。
態度が腕を組んでいたり、脚を組んで座っていたり気位が高そうだったもの…。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう

ムラサメ
恋愛
​漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。 死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。 しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。 向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。 一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

氷の騎士と陽だまりの薬師令嬢 ~呪われた最強騎士様を、没落貴族の私がこっそり全力で癒します!~

放浪人
恋愛
薬師として細々と暮らす没落貴族の令嬢リリア。ある夜、彼女は森で深手を負い倒れていた騎士団副団長アレクシスを偶然助ける。彼は「氷の騎士」と噂されるほど冷徹で近寄りがたい男だったが、リリアの作る薬とささやかな治癒魔法だけが、彼を蝕む古傷の痛みを和らげることができた。 「……お前の薬だけが、頼りだ」 秘密の治療を続けるうち、リリアはアレクシスの不器用な優しさや孤独に触れ、次第に惹かれていく。しかし、彼の立場を狙う政敵や、リリアの才能を妬む者の妨害が二人を襲う。身分違いの恋、迫りくる危機。リリアは愛する人を守るため、薬師としての知識と勇気を武器に立ち向かうことを決意する。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

妹に命じられて辺境伯へ嫁いだら王都で魔王が復活しました(完)

みかん畑
恋愛
家族から才能がないと思われ、蔑まれていた姉が辺境で溺愛されたりするお話です。 2/21完結

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

処理中です...