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27. 結婚式

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 そして半年が経ちました。

 私とクスファーさんとの仲も少しずつ深まっていきました。
クスファーさん、ではなくクスファーと遠慮なく呼びかけられるほどに。

 私は、お義母様主導の元、侯爵夫人になる為のさまざまなお勉強をさせてもらってだいぶ身に付いてきたと思っている。

 侯爵家でお義母様主催のお茶会を開いて下さり、私のお披露目をして下さいました。
そしてお義母様の仲がよろしい方々ーーー主に伯爵以上のご婦人方ーーーが娘を伴って紹介して下さり、縁を繋いで下さりました。
皆様、私を自分の娘のようにいろいろとご指南下さる心優しい方々で。
その方達主催のお茶会も招待していただき、着々と貴族への道を歩んでいっております。

 そしてゆくゆくは私主催のお茶会を開けるよう、作法なども少しずつ学ばせていただきました。


 そして透き通った青い空の下、今日は待ちに待った結婚式。

「リン!素晴らしい…カラスの濡れた羽のように美しい髪に、輝くような純白のドレス、まるで妖精のようだ!あぁ、結婚式なんて止めて、今すぐ部屋に籠もりたい!」

 領地の教会で、親族だけの結婚式。

 外には領民が溢れるほどに集まっている。

 私は、控え室からクスファーの腕を取り、親族が集まっている司祭様の前まで向かおうとした時に言われた。

「クスファー。あなたも煌めくような金色の髪に白いタキシード、とても素敵よ。けれど、早く皆様に結婚を認めてもらいましょ?」

 そう私が言うと、クスファーはふて腐れ、でもすぐに考えを改めたらしく言った。

「………そうだな!リンを見せびらかし、早く結婚を認めてもらって部屋に籠もろう!」

「クスファー様。夜はお屋敷でお披露目会がございます。ワガママはお止めくださいませ。」

 クスファーが言った言葉にすぐさま言い返したのは、私の侍女になったサブァ。サブァは、クスファーが幼い頃からいたそうで、クスファーは頭が上がらないみたい。

「そんなの分かってるさ…本当にサブァは…。よし!じゃあリン、行くか!」

 そう言って、クスファーは私の絡めた手に自身の逆の手を添えて私を見て、言った。
そして、一歩踏み出そうとしていたのに深呼吸したクスファーは、また私に視線を合わせ、呪文のように滑らかに唱和した。

「リン。改めて言うよ。今日のこの日を迎えられた事、本当に嬉しく思う。君がこの世界に来て後悔の無いよう、幸せな人生だと胸を張って言ってもらえるよう君に生涯尽くすよ。愛している。さぁ、共に人生を踏み出そう。」

 そう言って、私の足元を見て歩みを促した。
招待客が待つ、その場所へと。

「ええ、ありがとうクスファー。私もこの世界へ来てあなたに会えてよかった。人生まだまだこれから。楽しい事、苦しい事一緒に、分かち合いましょうね。」


 私はいつの間にか日本からこのシラグリン国へと来てしまった。だけれど、とても素敵な旦那様を見つける事が出来たわ。

 私はこれからも、クスファーの隣で生きていきます。

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