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18歳 誕生日に…
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廊下で、ばったりお義母様やエレンに会ったときはいろいろな嫌な言葉を投げかけられます。初めは悲しかったのですが、最近は諦めました。
そんな時はたいてい、食事は私の好きな物が出てきます。それが私の心を慰めてくれます。
きっと、私についている侍女のガーベラや、他の者達が料理長へ知らせてくれるのでしょう。あの二人はやたらと声が大きいので、何処に居ても聞こえるからです。
「あらお義姉様。最近益々日焼けしてますねぇー。私の腕、見て!白くて綺麗でしょう?ウフフ。この新しく買ってもらったドレスにぴったりでしょう?」
…はぁ。領地の見回りがあるから日焼けは仕方ないのよ。それよりも、派手なドレス。今はまだ昼なのに、夜会用のドレスなんて着てどうしたのかしら?
…まさか、私に見せつける為に着ていたとか?
あーモヤモヤしてくるわ。でも今日の夕食が楽しみね!
ーーーそして私は18歳になりました。
今年も家族からは祝ってもらっていません。
普段は廊下で会うと、あること無いこといろいろと言ってくるのに。
でも、今日はもう寝るだけとなった時、お父様に執務室へ来るように言われました。何だろう、さすがに誕生祝でもくれるのかしらと少しソワソワとしながら執務室の部屋の前に立ち、ガーベラが扉をノックしました。
「お父様、アイリスです。」
「入れ。」
「失礼します。」
お父様が部屋の奥の机に向かって座っています。ちょうど対面になります。
「お前に、婚約の話が来た。」
いきなり、そう言われました。誕生日の話ではなかったのは分かってはいても少し残念だけど、えっ私に婚約!?
「相手は、格上の侯爵様だ。」
えっ!侯爵様?
「お前はまだ、社交界にデビューしていなかったな。だけどそれが余計に拍車をかけ、いろんな所から声は掛かっていたんだ。侯爵様なんて上等だ。良くやった。」
「えと…お父様、お相手の名前を伺っても?」
確かこの国には侯爵様って2人しかいなかったような。チャラいと噂の方と、堅物で噂の方。社交界に出ない私に、タヤックがわかりやすくそう、説明してくれたのよね。どちらかしら。
そういえば、『顔が整っているからっていい人とは限りません!男性と知り合う時は慎重に!!』って口酸っぱく言われたわね。
「ブロウラック=ユーズラス侯爵様だ。」
バンッ!
とそこへ、いきなり扉が開いて、お義母様とエレンがやってきた。
えっ!確認もせずいきなり入ってくるって礼儀としてどうなの!?
「お義姉様!侯爵様なんてズルいですぅ。ねぇお父様、私じゃダメなの?」
とエレンが話し出す。この子はこの伯爵家に来たけれど、礼儀作法を覚えていない様子なのよね。確か、社交界デビューは今年するそうだけど大丈夫なのかしら。
「エレン、お前はこの領地で婿を取ればいいじゃないか。そのため、次男か三男を見繕ってやる。」
そ、そうだったのですね。私も将来の事を考えていたわけじゃなかったですが、この領地がどうなるのか心配ではありましたのよ。毎年、収穫が出来たり少なくなったりして目を掛けていたのですから。けれど、まぁ確かにお父様とお義母様と一緒に暮らすのはもう、嫌ですわね。跡を継ぐため長女だからと頑張らなくてよかったのですね。
「えー確かにそれも魅力的だけどぉ、でも侯爵様でしょう?確か、ブロウラック様って金髪で碧眼のカッコいい方よねぇ?私のがお似合いだと思うのー。お義姉様は髪色も…ねぇお母様?」
「そうねぇ!あなたは私に似て赤い髪で情熱的でとてもきれいよ。アイリスには髪色もどんどんくすんできているし、少し持ったいないかもしれないわね。ねぇあなた?」
「う、うむ…。」
あら、エレン盗み聞きは淑女としてどうなの…。それにしても格上の方だからか食い気味ね。
だけれど、侯爵様から声が掛かったのかしら?私あてじゃなくて伯爵家に、だったら私かエレンかどちらでもいいのかもしれないけど、どうなのかしら?
そんな時はたいてい、食事は私の好きな物が出てきます。それが私の心を慰めてくれます。
きっと、私についている侍女のガーベラや、他の者達が料理長へ知らせてくれるのでしょう。あの二人はやたらと声が大きいので、何処に居ても聞こえるからです。
「あらお義姉様。最近益々日焼けしてますねぇー。私の腕、見て!白くて綺麗でしょう?ウフフ。この新しく買ってもらったドレスにぴったりでしょう?」
…はぁ。領地の見回りがあるから日焼けは仕方ないのよ。それよりも、派手なドレス。今はまだ昼なのに、夜会用のドレスなんて着てどうしたのかしら?
…まさか、私に見せつける為に着ていたとか?
あーモヤモヤしてくるわ。でも今日の夕食が楽しみね!
ーーーそして私は18歳になりました。
今年も家族からは祝ってもらっていません。
普段は廊下で会うと、あること無いこといろいろと言ってくるのに。
でも、今日はもう寝るだけとなった時、お父様に執務室へ来るように言われました。何だろう、さすがに誕生祝でもくれるのかしらと少しソワソワとしながら執務室の部屋の前に立ち、ガーベラが扉をノックしました。
「お父様、アイリスです。」
「入れ。」
「失礼します。」
お父様が部屋の奥の机に向かって座っています。ちょうど対面になります。
「お前に、婚約の話が来た。」
いきなり、そう言われました。誕生日の話ではなかったのは分かってはいても少し残念だけど、えっ私に婚約!?
「相手は、格上の侯爵様だ。」
えっ!侯爵様?
「お前はまだ、社交界にデビューしていなかったな。だけどそれが余計に拍車をかけ、いろんな所から声は掛かっていたんだ。侯爵様なんて上等だ。良くやった。」
「えと…お父様、お相手の名前を伺っても?」
確かこの国には侯爵様って2人しかいなかったような。チャラいと噂の方と、堅物で噂の方。社交界に出ない私に、タヤックがわかりやすくそう、説明してくれたのよね。どちらかしら。
そういえば、『顔が整っているからっていい人とは限りません!男性と知り合う時は慎重に!!』って口酸っぱく言われたわね。
「ブロウラック=ユーズラス侯爵様だ。」
バンッ!
とそこへ、いきなり扉が開いて、お義母様とエレンがやってきた。
えっ!確認もせずいきなり入ってくるって礼儀としてどうなの!?
「お義姉様!侯爵様なんてズルいですぅ。ねぇお父様、私じゃダメなの?」
とエレンが話し出す。この子はこの伯爵家に来たけれど、礼儀作法を覚えていない様子なのよね。確か、社交界デビューは今年するそうだけど大丈夫なのかしら。
「エレン、お前はこの領地で婿を取ればいいじゃないか。そのため、次男か三男を見繕ってやる。」
そ、そうだったのですね。私も将来の事を考えていたわけじゃなかったですが、この領地がどうなるのか心配ではありましたのよ。毎年、収穫が出来たり少なくなったりして目を掛けていたのですから。けれど、まぁ確かにお父様とお義母様と一緒に暮らすのはもう、嫌ですわね。跡を継ぐため長女だからと頑張らなくてよかったのですね。
「えー確かにそれも魅力的だけどぉ、でも侯爵様でしょう?確か、ブロウラック様って金髪で碧眼のカッコいい方よねぇ?私のがお似合いだと思うのー。お義姉様は髪色も…ねぇお母様?」
「そうねぇ!あなたは私に似て赤い髪で情熱的でとてもきれいよ。アイリスには髪色もどんどんくすんできているし、少し持ったいないかもしれないわね。ねぇあなた?」
「う、うむ…。」
あら、エレン盗み聞きは淑女としてどうなの…。それにしても格上の方だからか食い気味ね。
だけれど、侯爵様から声が掛かったのかしら?私あてじゃなくて伯爵家に、だったら私かエレンかどちらでもいいのかもしれないけど、どうなのかしら?
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