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いざ、出発

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侯爵様がいらした次の日。
朝、お父様に時間をいただいて執務室へ入った。
相変わらず、執務室の机は何も置いてないわね。いつも何をしているのかしら。


「何だ。」

「はい、お父様。エレンと侯爵様の婚約が決まったのよね。」

「あ、あぁ…。何だ?不満か?」

「いいえ。そうではないわ。エレンがとっても喜んでいるもの。…それで、私は必要ないかと思うので、家を出ようかと思うのだけれど許可をいただけますか?」

「何だって!?」
お父様がものすごく驚いているわ。しかも大きな声。それにびっくりして私は少し後ろに下がってしまう。

「いえ、だって今までもそうでしたけれど私、この家に必要ないかと思いまして。今までありがとうございました。それでは。」

「ま、まて!お前も婚約の話がたくさん来ているのだぞ!」

「あらそうでしたか…。けれど、エレンが侯爵様とご結婚なんてこれ以上ないお話ですわよね。私まで結婚となると、費用も嵩みますわ。私の結婚費用の分エレンに掛けれるから、宜しいのではなくて?」

「う、うむ…だがしかし…。」

「これ以上他の貴族様とつながりが持ちたいのですか?この伯爵家の繁栄のためには分からなくもありませんが、エレンが素晴らしい方とご結婚なさるのですもの。いいじゃありませんか。」

「ま、まぁな…。」

ガチャッ!
あらまたお二人共確認もなく入って来て…。本当に侯爵家に嫁ぐって大丈夫なのかしら。

「まぁお義姉様!私の結婚式の為に、お金を回そうとしてくれてるのね?そりゃぁ、侯爵様との結婚が私とになって、お義姉様はこの家に居づらいわよね!残念だけれど、出て行った方がいいかもしれないわね!」

「エレン!」

「あらお父様!だってそうでしょう?結婚式にはお義姉様が出席したら、きっといろんな人から言われるわよ。お義姉様の方が適齢期なのに、妹の私の方が先に結婚するのねって!侯爵様との結婚なんだもの。きっと盛大な式になるわ!!」

「そうよあなた!アイリスが出て行くならいいじゃないの、好きにさせれば。でも、お金は持たせられないわよ。エレンの結婚費用が必要ですから、あなたのお金なんてこれっぽっちも出してあげられないわ!」

「分かっております。皆様、お世話になりました。」
淑女たるもの、どんな思いであっても挨拶はしないといけないものね。

「ええ!最後だけは、素晴らしい考えでしたわね!エレンにお金を回してくれるとは。さあ、さっさと出て行きなさい!」
「お義姉様、お先に結婚してごめんなさいねぇ-!侯爵様とっても素敵だったのに、私の旦那様になってごめんなさ-い!出て行くってその後どうするのか知らないけれど、気をつけてねー!」
お義母様とエレンは満面の笑みで私に言った。

「アイリス…さすがに無一文では生活も出来んだろう。少し位は…」
あら、お父様。意外にも私の心配をして下さるのかしら?

「お父様、ありがとうございます。けれど、大丈夫です。それでは、失礼致します。」




はー終わった!やった!やったわ!
執務室を出ると、ガーベラが待っていてくれた。そして、

「お疲れ様でした。さぁ、こちらへ。」
ガーベラが早足で進んで行く。急いでいるわね。あの人達の気が変わられても困るものね。やはりお父様が言っていたように、私の婚約話が他にもあるみたいだし。
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