【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。

まりぃべる

文字の大きさ
6 / 21

6. キャシーの部屋

 お父様との話を終え、キャシーと話をしようと彼女の部屋へ向かった。


「キャシー?ちょっといいかしら?」

「なぁに?お姉様。」

 私は、ノックして部屋へ入って行くと、キャシーは窓際でロッキングチェアに座りながら縫い物をしていた。

 キャシーは、手先が器用でよく、縫いぐるみを作っている。
部屋にも溢れんばかりにいろいろなサイズの縫いぐるみがある。
置けないものは、孤児院に寄付したりもしていた。これがかなりの好評だ。

 それに、販売もしている。

 うちボールドウィン伯爵家と取り引きのある衣裳屋がキャシーの部屋にドレスの採寸などをしに来た時にそれを一目見て『店頭に置きたい』と言われ、部屋に置いておくだけというのもと思って小さい手に乗るほどの熊と兎を二体譲ったらしい。

 すると店に来たお客も、店頭に飾ってあったぬいぐるみを見て売って欲しいという声があったのだとか。
それからはお父様の承諾を得て月に数体、作って販売もしている。

 今日は、手に乗るほどの熊のぬいぐるみを縫っていた。

「キャシー、忙しいのにごめんなさいね。」

「いいえ、大丈夫ですわお姉様。なんでしょうか。」

「昨日お父様が言っていた、ルシウス様の事です。キャシー、本当にいいの?ルシウス様は、とても美丈夫と評判であるし、いい方なのではないかしら?」

「お姉様。だから昨日も言いましたでしょう?お姉様のがお似合いだと。私は、ルシウス様とは結婚いたしませんわ。」

「そう。意思は固そうね。じゃぁボールドウィン家を継いでくれるの?」

「お父様から聞きました。お姉様がどこかへ嫁いだ時は、ボールドウィン家の後継をどうするのかと。自分でも分かっているの、領主は向いてないと。だから、お姉様に子どもが出来たら、跡取りとしてお願いしたいわ。もちろん、私が嫁げたとしたら、私の子どもでもいいのだけれど、私、まだ結婚したくないのよ。ぬいぐるみを縫うの、結婚したらやめないといけなくなるかもしれないでしょう?まだ続けたいわ。」

「そうだったの…。じゃぁ好きな人がいるわけでもないのね。」

「いないわよ。さぁ、この話は終わりにしてもいいでしょう?お姉様、ルシウス様と結婚したらどう?お姉様は自分から相手を見つけるなんて無理じゃない。ま、合わない人だったなら断ればいいと思うし。だってまだ正式な打診ではないのでしょう?」

 よく分かってるわね…。確かに自分で相手を見つけるなんて、難しいのよ。

「…じゃあ、私がルシウス様と結婚してもいいのね?」

「何度も確認しなくても大丈夫!お幸せにね、お姉様!」

 そう言うと、キャシーは本当に話はおしまいとでも言うように、手元のぬいぐるみをまた縫い始めた。

 私も、キャシーの部屋を出て、今日の調べ物をするために書庫へ向かった。
途中、侍女のタバッサに、お父様にルシウス様との婚約の話を進めるようお願いする言付けを頼んだ。
感想 22

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄?勘当?私を嘲笑う人達は私が不幸になる事を望んでいましたが、残念ながら不幸になるのは貴方達ですよ♪

山葵
恋愛
「シンシア、君との婚約は破棄させてもらう。君の代わりにマリアーナと婚約する。これはジラルダ侯爵も了承している。姉妹での婚約者の交代、慰謝料は無しだ。」 「マリアーナとランバルド殿下が婚約するのだ。お前は不要、勘当とする。」 「国王陛下は承諾されているのですか?本当に良いのですか?」 「別に姉から妹に婚約者が変わっただけでジラルダ侯爵家との縁が切れたわけではない。父上も承諾するさっ。」 「お前がジラルダ侯爵家に居る事が、婿入りされるランバルド殿下を不快にするのだ。」 そう言うとお父様、いえジラルダ侯爵は、除籍届けと婚約解消届け、そしてマリアーナとランバルド殿下の婚約届けにサインした。 私を嘲笑って喜んでいる4人の声が可笑しくて笑いを堪えた。 さぁて貴方達はいつまで笑っていられるのかしらね♪

【完結】ハーレム構成員とその婚約者

里音
恋愛
わたくしには見目麗しい人気者の婚約者がいます。 彼は婚約者のわたくしに素っ気ない態度です。 そんな彼が途中編入の令嬢を生徒会としてお世話することになりました。 異例の事でその彼女のお世話をしている生徒会は彼女の美貌もあいまって見るからに彼女のハーレム構成員のようだと噂されています。 わたくしの婚約者様も彼女に惹かれているのかもしれません。最近お二人で行動する事も多いのですから。 婚約者が彼女のハーレム構成員だと言われたり、彼は彼女に夢中だと噂されたり、2人っきりなのを遠くから見て嫉妬はするし傷つきはします。でもわたくしは彼が大好きなのです。彼をこんな醜い感情で煩わせたくありません。 なのでわたくしはいつものように笑顔で「お会いできて嬉しいです。」と伝えています。 周りには憐れな、ハーレム構成員の婚約者だと思われていようとも。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 話の一コマを切り取るような形にしたかったのですが、終わりがモヤモヤと…力不足です。 コメントは賛否両論受け付けますがメンタル弱いのでお返事はできないかもしれません。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

〈完結〉姉と母の本当の思いを知った時、私達は父を捨てて旅に出ることを決めました。

江戸川ばた散歩
恋愛
「私」男爵令嬢ベリンダには三人のきょうだいがいる。だが母は年の離れた一番上の姉ローズにだけ冷たい。 幼いながらもそれに気付いていた私は、誕生日の晩、両親の言い争いを聞く。 しばらくして、ローズは誕生日によばれた菓子職人と駆け落ちしてしまう。 それから全寮制の学校に通うこともあり、家族はあまり集わなくなる。 母は離れで暮らす様になり、気鬱にもなる。 そしてローズが出ていった歳にベリンダがなった頃、突然ローズから手紙が来る。 そこにはベリンダがずっと持っていた疑問の答えがあった。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

あなたのことを忘れない日はなかった。

仏白目
恋愛
ノウス子爵家には2人の娘がいる しっかり者の20歳の長女サエラが入婿をとり子爵家を継いだ、 相手はトーリー伯爵家の三男、ウィルテル20歳 学園では同級生だつた とはいえ恋愛結婚ではなく、立派な政略結婚お互いに恋心はまだ存在していないが、お互いに夫婦として仲良くやって行けると思っていた。 結婚するまでは・・・ ノウス子爵家で一緒に生活する様になると ウィルテルはサエラの妹のリリアンに気があるようで・・・ *作者ご都合主義の世界観でのフィクションでございます。