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27. エレナの気持ち
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「え!?キャ、キャルリ様!?」
エレナがキャルリの元へ行くと引き寄せられ、ギュッと胸へ抱き込まれた。その間に、ダダダダと走る音がして、オオイノの声だろう大きな鳴き声も聞こえたので、慌てて離して欲しい旨を込めてそう言うと、やっと腕を緩めてくれたので振り返る。
と、ジェオルジェの姿はすでに無く、オオイノは鳴き声を上げ遠くへとドタドタと地響きをさせて走って行った。
「ジェオルジェ!?」
エレナも追おうとしたが、キャルリが腕を引いて声を上げる。
「エレナちゃん!エレナちゃんが行ったら逆にジェオルジェを危険に晒す事になるわ。気が散ってしまうものね。
ジェオルジェは大丈夫よ、とりあえず待ちましょう。」
「おい、お前らは加勢しろ!追え!
祈りも忘れるな!」
「「「はい!!」」」
キャルリがエレナを諭した時、隣にいたオーラルタスも、警備隊に指示を出した。すると立ち上がって声を上げていた
数人の警備隊はすぐに走り出した。
中央に寝かされているオオイノの傍には、先ほどまでは周りで囲むように座っていた残りの三人が近寄り、座って手を合わせ初めた。
「エレナさん、怖がらせて済まないね。でもこれは良くある事だ。
あの野生動物はオオイノの子供だ。敵を打ちに親が来たのだと思う。家族が殺られたら、敵を打ちにくる野生動物は良くいるんだ。」
「ごめんなさい、エレナちゃん。私が連れてきたばっかりに怖い思いをさせてしまったわね。」
「タイミングが悪かったね。今日は本当だったら体力作りだけにしようとまっすぐ走り難いこの辺りで訓練していたんだ。そこに、あのオオイノの子供が突進してきたんだよ。だから仕方なく駆除をしたのだよ。」
そのように話してくれるオーラルタスとキャルリだったが、エレナはジェオルジェが自分の代わりに囮になったと思ってはらはらと涙を流し初めた。
(どうしよう…帰ってこなかったら…私を庇ってくれたの?あんな大きな体の野生動物…噛まれたりしたら……!
オーラルタス様みたいに、頑丈な鎧を着ていたら大丈夫かもしれないけれど、防御しきれていない普通の服だし…)
「エレナちゃん!
大丈夫よ、ここは剣を振り回すには木がたくさん生えているから無理な場所だから、もう少し広い場所に行っただけなのよ。」
「泣くほど怖かったんだね、済まなかったね。」
キャルリがエレナの頭をポンポンと撫でてくれ、オーラルタスもエレナへと視線を移したあと、遠くを見遣った。
すると、人の叫び声が聞こえた後、ギャーっという一層大きな鳴き声が聞こえ、ドッシーンという音と共にさらに大きな地響きがした。
「終わったな。
私は見に行くよ。」
「ええ。
やったわよ、エレナちゃん!どうする?ここにいる?」
「…え?あ、い、行きます!」
エレナは怖かったが、何よりもジェオルジェの事が心配になり咄嗟にそう答えた。
キャルリは一つ頷き、駆け出しそうになるエレナの腕を捕まえて自身に絡ませ、優しく声をかけた。
「エレナちゃん、怖かったでしょう。本当にごめんなさい。
けれどね、平穏は何かの犠牲の上に成り立っているのよ。
野生動物が倒されるのなんて見た事も無かったでしょう。でもねそれは、ここで命を張って守ってくれる人達がいるからなのよ。
彼らも、無闇に命を取る事はしないの。普段は、私達人間が使っている街道沿いよりも奥深い森に追いやる事もしているのよ。わざと大きな音を立てて脅かしたりしてね。
…でも、オオイノは真っ直ぐにしか走れないの。止まっていれば、方向転換はするのだけど。だから、命を奪うしかない時もあるの。その後は、すぐに最低十分は祈りを捧げるのよ。奪ってしまったのだもの。それが終わったら、皆で頂くの。命を無駄にしない為にもね。」
「はい。初めて拝見したのでとても驚きました…。あんな大きな動物、見た事なかったです。」
(そうよね、警備隊の人達はあんな大きな野生動物に命を掛けて挑んでくれているのね。ルウサドイの街やアンドレイ邸が平和なのは、彼らが戦ってくれているからなんだわ。
ジェオルジェも一ヶ月に一度、こちらでそれに参加していたのよね。
私、少し前までは〝終の山〟の事を無視して、領主様はちゃんと仕事をしているのかって思ったけど、他のいろいろな事をやっているのよね。)
エレナは、キャルリの言葉からいろいろと考えていた。そのおかげでオオイノと戦った場所には、余分な事を考えずにすぐに着いた。
「!!」
「エレナ!」
そこは木々が鬱蒼と茂った場所ではなく、木が生えている間隔が広がり少しだけ開けた場所であった。
中央には横向きに倒れたオオイノがいて、その周りを取り囲んですでに座って手を合わせて祈っている人もいた。
一人、仰向けになって倒れた者がいて、その人物が先ほど叫び声をあげたのだと見て取れた。その横には、一人しゃがみ込んで手当てをしている。腕を怪我したのか、その辺りから出血していた。
ジェオルジェは、エレナの姿を確認するとすぐに駆け寄り抱きしめた。
「あぁ良かった!エレナが無事で。エレナに何かあれば、俺は……!」
ぎゅーっと、痛いくらいに抱きしめられたエレナもまた、ジェオルジェの温もりを感じて安心した。
ジェオルジェが生きている、それだけで何も要らないとさえ思った。先ほどの叫び声は、もしかしたらジェオルジェが傷つけられて発したのかと思ったのだ。
実際には、後を追った仲間が、オオイノに近寄り過ぎて蹴られてすっ飛ばされたのだったが。
「私こそよ!ジェオルジェがあんな大きな動物に向かって行って…怪我をしたらどうしようかと思ったの。ジェオルジェ、大丈夫?」
「あぁ、俺は何ともない。
一人、あそこで怪我をしてしまった奴がいるが、軽症だろう。腰と背中も打っているが、暫く静養すればじきに良くなる。」
「良かった…本当に良かった!」
「泣かないで、エレナ。大丈夫だよ。」
そう言って、ジェオルジェは手を緩め、はらはらと涙を流しているエレナの顔を覗き込んだ。
「ジェオルジェ、ありがとう。助けてくれて。でももうあんな事はしないで!」
「ええ!?」
「だって、心配になるもの!」
「心配してくれるのか?ありがとう。でも大丈夫だよ、俺はこれでも訓練しているからね。」
「それでもよ!領主様だからこの領地を守らないといけないのは分かるのだけど、でも…」
エレナは何と言葉にしていいのか分からなかった。領主だから仕事はしなければならないだろう、とも理解はしている。しかし、ジェオルジェが死んでしまったら、その事を一瞬でも思い、もう二度とそんな気持ちになりたくないと思ったのだった。
「エレナ、ありがとう。心配してくれて嬉しいよ。確かにエレナを悲しませたくない。だから俺は、ちゃんと戻ってくるよ。その為にはもっと精進しないとな。」
「ジェオルジェ…」
「なぁ、エレナ。俺、さっきエレナがオオイノに食われたらって思って無我夢中だったんだ。エレナが居なくなったら生きていけないと思ったんだよ。
…エレナ、俺と結婚してくれないか?」
「!?」
「エレナにしたら、急な話かもしれない。でも、今言っただろう?エレナが居なくなったら生きていけないって。
俺は、エレナと会った時から毎日が楽しいと思っていたんだ。エレナともっと一緒にいたい、話がしたいって。
本当はまだまだ言うつもりは無かったんだけど、さっきエレナが危険に晒された時に思ったんだよ。今言わないとって。
だから、考えて欲しい。」
(ジェオルジェ…会った時から?
私も、もっと一緒にいたいとか、話がしたいとは思っていたわ。
それに私も、ジェオルジェが視界からオオイノと消えた時、もう二度と会えなくなったらそんなの絶対に嫌だと思ったわ。胸が張り裂けそうになったもの。だから…)
「ええ!」
「!」
エレナは、ジェオルジェが顔を覗き込んで話してくれていたが、その胸に飛び込んでジェオルジェの背中へ手を回した。
ジェオルジェはいきなりの事で驚き、しかし優しく抱き留める。
「私も、ジェオルジェが居なくなったら嫌だと思ったの。分からないけれど、これが好きって気持ちなのかもしれない。
一緒にいて楽しい、もっと話がしたいって私も同じ気持ちだったわ。」
「エレナ…!」
「でもね、私、この世界は良く分からないけれど、いいのかなぁ?」
「いいよ、そんなの。二人の気持ちが大切だと思わないかい?」
「そう?」
二人がやっと気持ちを伝え合い、仲睦まじく話しているのを、周りは温かく見守っていた。
エレナがキャルリの元へ行くと引き寄せられ、ギュッと胸へ抱き込まれた。その間に、ダダダダと走る音がして、オオイノの声だろう大きな鳴き声も聞こえたので、慌てて離して欲しい旨を込めてそう言うと、やっと腕を緩めてくれたので振り返る。
と、ジェオルジェの姿はすでに無く、オオイノは鳴き声を上げ遠くへとドタドタと地響きをさせて走って行った。
「ジェオルジェ!?」
エレナも追おうとしたが、キャルリが腕を引いて声を上げる。
「エレナちゃん!エレナちゃんが行ったら逆にジェオルジェを危険に晒す事になるわ。気が散ってしまうものね。
ジェオルジェは大丈夫よ、とりあえず待ちましょう。」
「おい、お前らは加勢しろ!追え!
祈りも忘れるな!」
「「「はい!!」」」
キャルリがエレナを諭した時、隣にいたオーラルタスも、警備隊に指示を出した。すると立ち上がって声を上げていた
数人の警備隊はすぐに走り出した。
中央に寝かされているオオイノの傍には、先ほどまでは周りで囲むように座っていた残りの三人が近寄り、座って手を合わせ初めた。
「エレナさん、怖がらせて済まないね。でもこれは良くある事だ。
あの野生動物はオオイノの子供だ。敵を打ちに親が来たのだと思う。家族が殺られたら、敵を打ちにくる野生動物は良くいるんだ。」
「ごめんなさい、エレナちゃん。私が連れてきたばっかりに怖い思いをさせてしまったわね。」
「タイミングが悪かったね。今日は本当だったら体力作りだけにしようとまっすぐ走り難いこの辺りで訓練していたんだ。そこに、あのオオイノの子供が突進してきたんだよ。だから仕方なく駆除をしたのだよ。」
そのように話してくれるオーラルタスとキャルリだったが、エレナはジェオルジェが自分の代わりに囮になったと思ってはらはらと涙を流し初めた。
(どうしよう…帰ってこなかったら…私を庇ってくれたの?あんな大きな体の野生動物…噛まれたりしたら……!
オーラルタス様みたいに、頑丈な鎧を着ていたら大丈夫かもしれないけれど、防御しきれていない普通の服だし…)
「エレナちゃん!
大丈夫よ、ここは剣を振り回すには木がたくさん生えているから無理な場所だから、もう少し広い場所に行っただけなのよ。」
「泣くほど怖かったんだね、済まなかったね。」
キャルリがエレナの頭をポンポンと撫でてくれ、オーラルタスもエレナへと視線を移したあと、遠くを見遣った。
すると、人の叫び声が聞こえた後、ギャーっという一層大きな鳴き声が聞こえ、ドッシーンという音と共にさらに大きな地響きがした。
「終わったな。
私は見に行くよ。」
「ええ。
やったわよ、エレナちゃん!どうする?ここにいる?」
「…え?あ、い、行きます!」
エレナは怖かったが、何よりもジェオルジェの事が心配になり咄嗟にそう答えた。
キャルリは一つ頷き、駆け出しそうになるエレナの腕を捕まえて自身に絡ませ、優しく声をかけた。
「エレナちゃん、怖かったでしょう。本当にごめんなさい。
けれどね、平穏は何かの犠牲の上に成り立っているのよ。
野生動物が倒されるのなんて見た事も無かったでしょう。でもねそれは、ここで命を張って守ってくれる人達がいるからなのよ。
彼らも、無闇に命を取る事はしないの。普段は、私達人間が使っている街道沿いよりも奥深い森に追いやる事もしているのよ。わざと大きな音を立てて脅かしたりしてね。
…でも、オオイノは真っ直ぐにしか走れないの。止まっていれば、方向転換はするのだけど。だから、命を奪うしかない時もあるの。その後は、すぐに最低十分は祈りを捧げるのよ。奪ってしまったのだもの。それが終わったら、皆で頂くの。命を無駄にしない為にもね。」
「はい。初めて拝見したのでとても驚きました…。あんな大きな動物、見た事なかったです。」
(そうよね、警備隊の人達はあんな大きな野生動物に命を掛けて挑んでくれているのね。ルウサドイの街やアンドレイ邸が平和なのは、彼らが戦ってくれているからなんだわ。
ジェオルジェも一ヶ月に一度、こちらでそれに参加していたのよね。
私、少し前までは〝終の山〟の事を無視して、領主様はちゃんと仕事をしているのかって思ったけど、他のいろいろな事をやっているのよね。)
エレナは、キャルリの言葉からいろいろと考えていた。そのおかげでオオイノと戦った場所には、余分な事を考えずにすぐに着いた。
「!!」
「エレナ!」
そこは木々が鬱蒼と茂った場所ではなく、木が生えている間隔が広がり少しだけ開けた場所であった。
中央には横向きに倒れたオオイノがいて、その周りを取り囲んですでに座って手を合わせて祈っている人もいた。
一人、仰向けになって倒れた者がいて、その人物が先ほど叫び声をあげたのだと見て取れた。その横には、一人しゃがみ込んで手当てをしている。腕を怪我したのか、その辺りから出血していた。
ジェオルジェは、エレナの姿を確認するとすぐに駆け寄り抱きしめた。
「あぁ良かった!エレナが無事で。エレナに何かあれば、俺は……!」
ぎゅーっと、痛いくらいに抱きしめられたエレナもまた、ジェオルジェの温もりを感じて安心した。
ジェオルジェが生きている、それだけで何も要らないとさえ思った。先ほどの叫び声は、もしかしたらジェオルジェが傷つけられて発したのかと思ったのだ。
実際には、後を追った仲間が、オオイノに近寄り過ぎて蹴られてすっ飛ばされたのだったが。
「私こそよ!ジェオルジェがあんな大きな動物に向かって行って…怪我をしたらどうしようかと思ったの。ジェオルジェ、大丈夫?」
「あぁ、俺は何ともない。
一人、あそこで怪我をしてしまった奴がいるが、軽症だろう。腰と背中も打っているが、暫く静養すればじきに良くなる。」
「良かった…本当に良かった!」
「泣かないで、エレナ。大丈夫だよ。」
そう言って、ジェオルジェは手を緩め、はらはらと涙を流しているエレナの顔を覗き込んだ。
「ジェオルジェ、ありがとう。助けてくれて。でももうあんな事はしないで!」
「ええ!?」
「だって、心配になるもの!」
「心配してくれるのか?ありがとう。でも大丈夫だよ、俺はこれでも訓練しているからね。」
「それでもよ!領主様だからこの領地を守らないといけないのは分かるのだけど、でも…」
エレナは何と言葉にしていいのか分からなかった。領主だから仕事はしなければならないだろう、とも理解はしている。しかし、ジェオルジェが死んでしまったら、その事を一瞬でも思い、もう二度とそんな気持ちになりたくないと思ったのだった。
「エレナ、ありがとう。心配してくれて嬉しいよ。確かにエレナを悲しませたくない。だから俺は、ちゃんと戻ってくるよ。その為にはもっと精進しないとな。」
「ジェオルジェ…」
「なぁ、エレナ。俺、さっきエレナがオオイノに食われたらって思って無我夢中だったんだ。エレナが居なくなったら生きていけないと思ったんだよ。
…エレナ、俺と結婚してくれないか?」
「!?」
「エレナにしたら、急な話かもしれない。でも、今言っただろう?エレナが居なくなったら生きていけないって。
俺は、エレナと会った時から毎日が楽しいと思っていたんだ。エレナともっと一緒にいたい、話がしたいって。
本当はまだまだ言うつもりは無かったんだけど、さっきエレナが危険に晒された時に思ったんだよ。今言わないとって。
だから、考えて欲しい。」
(ジェオルジェ…会った時から?
私も、もっと一緒にいたいとか、話がしたいとは思っていたわ。
それに私も、ジェオルジェが視界からオオイノと消えた時、もう二度と会えなくなったらそんなの絶対に嫌だと思ったわ。胸が張り裂けそうになったもの。だから…)
「ええ!」
「!」
エレナは、ジェオルジェが顔を覗き込んで話してくれていたが、その胸に飛び込んでジェオルジェの背中へ手を回した。
ジェオルジェはいきなりの事で驚き、しかし優しく抱き留める。
「私も、ジェオルジェが居なくなったら嫌だと思ったの。分からないけれど、これが好きって気持ちなのかもしれない。
一緒にいて楽しい、もっと話がしたいって私も同じ気持ちだったわ。」
「エレナ…!」
「でもね、私、この世界は良く分からないけれど、いいのかなぁ?」
「いいよ、そんなの。二人の気持ちが大切だと思わないかい?」
「そう?」
二人がやっと気持ちを伝え合い、仲睦まじく話しているのを、周りは温かく見守っていた。
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