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21. 種明かし
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ランナルが兵士と去って行くと、ビルギッタはシェスティンへと優しく言葉を掛ける。
「この会はね、ランナルがあなたに会う為に企画したのよ。」
「?」
ランナルの姿を目で追っていたシェスティンは、どういう事かと慌ててビルギッタの方を向いた。
「シェスティンが、どういう名目だったら参加してくれるかって悩んでいたもの。それで、丁度良く遺跡から歴史的価値のあるものが発掘されたので、それの報告会を兼ねれば、シェスティンも興味を持って参加してくれるのではないかって閃いたそうよ。」
遺跡は、西の外れの港街の一角にあった。手付かずだった小高い場所を、広げようと手を加えた時にいろいろと発掘されたのだ。初めは壁に描かれた絵が発見され、周りを掘ってみると食器のようなものや、建物の土台まで出てきた。さらに調査をすると、リュックセレ国では今は使われていないコインが発見されたのだ。
「壁画はさすがに持って来れないけど、コインなら持ち運びしやすいからこれを披露しようって。
なぜシェスティンに会いたかったかって、それを渡したかったのよ。」
ビルギッタは、シェスティンの耳元にあるイヤリングを指差した。それは、小さなエメラルドグリーンの宝石がついた、主張し過ぎない大きさのイヤリングだった。
「センスあるわね。シェスティンだったらこういうのが好みだと思ったのではないかしらね。」
大き過ぎないそれは、シェスティンも確かに好みだと思った。
「でも…あ!」
「どうしたの?」
「…今さらだけれど、私の名前……」
「え?ウフフフ、本当に、今さらだわ!でもいいのよ、それがシェスティンらしいもの。
あのね、ごめんなさいね。一回目の校外学習で会った時に一目見て分かったの。フレドリカじゃない、って。」
「どうして…」
「あぁ。正確には、いつもと違うなと思ったの。でも、私はフレドリカと仲良かったわけではないからそんなの別に大した事ではないの。だったら、準備学校ではいたのに、基礎学校に通わなくなったシェスティンじゃないかしらと思ったのよ。それだったら私、とても嬉しいと思ったのよ?だって、準備学校で一緒に遊びたくて良く話し掛けていた子が、目の前にいるのだものね!」
「…」
「だけれど、本当の名前を呼べないのが少し淋しく思ったのよ?フレドリカは、私にとってはあまり友達にはなりたくない人物だったもの。対して、シェスティンは思った通り、親友とも言えるべき人物だと思ったもの。」
「ビルギッタ…」
「でも、これからはちゃんとシェスティンって呼ぶからね!
でも、残念だけれど次からの校外授業はシェスティンは登校出来ないと思うの。あぁ違うのよ。学校からお咎めがあるとかではないのよ?だって、学校だって見て見ぬ振りをしていたと思うのよね。他の人でもたまに、替え玉を出席させていたもの。学校は、それでもいいみたいよ。貴族の子供を預かっているのですもの。問題行動が無ければ、大抵の事は目を瞑るのですって。
ウフフフ。見てよ、あれ。きっと、ロルフが動き出すのよ。ロルフが動いてくれないと、ランナルが動けないって言っていたのよ。ただ、さすがに今日動くとは思ってなかったのだけれどね。」
「どういう事…?」
「ああするって事は、ロルフは、きっとフレドリカと結婚するでしょうね。」
「え!?」
「ちょっと、シェスティンもう少し声を抑えてね?あなたの気持ちも分からないでも無いけれど。
それで、それに向けて準備をし出すと思うのよ。だから…あら。主役の登場ね。」
ビルギッタとシェスティンは話していると、入り口近くの舞台に立つ人物が見えた。
真っ赤なマントを後ろに引きずるように羽織った、金髪を短く切り揃えたシェスティンの父アロルドと同じ年頃の男性だ。
「バッティル国王陛下ね!全く、真っ赤なマントなんて派手よね。あ、見て!その後ろ!」
バッティル国王陛下は、このリュックセレ国の陛下である。
後ろには、同じく金髪で、先ほどここで話をしていたランナルがいた。髪を後ろに撫でつけ、雰囲気が先ほどとはガラリと変わっている。そして、片手に収まるほどの箱を持って歩いてきた。
「!!」
「あそこに立つと、遠い存在のように感じるわよね。でも、今までここで話していた、私達と同じ空間にいた単なる普通の男なのよ。だから、余所余所しくしないであげてね、シェスティン。」
「ビルギッタ…私、ランナルって名前がわが国の国王陛下の一人息子と同じ名前だと思ったのよ?でも…」
「そうね。ランナルも上手く躱していたわよね。だってきっと、それで『はい、王子です』って言ったら、シェスティンが今までのように話せなくなると思ったのではないかしら。でも、ランナルはランナルよ。シェスティンと一緒に過ごした時間は、紛れもない楽しい時間だったのではないかしら。」
「…」
(確かにそうだわ。王子かもしれないとも思ったけれど、私は考えないようにしていた。だって、考えてしまったら距離を置かなければならないと思ったから。でも…私はランナルと過ごす時間を、無くしたくなかったのよ。)
「そのイヤリングも、ランナルからの気持ちなのよ?だから、避けたりしないであげてほしいわ。シェスティンの気持ちに正直にね!」
「私の…」
パチパチパチパチ
ビルギッタがシェスティンへ諭すように話していると、周りから大きな拍手が聞こえ始める。
バッティルが、ランナルが持っている箱にコインが入っていると言って、それの説明をしていたのだ。その箱は透明であったので、その箱の中の台座に置かれたコインは、おとなしく収まっているのが近くへ行けば良く見える。その為、見に来たい人は順に見に来るようにと言っていて、瞬く間に列を成していた。
「あぁ、ごめんなさいね。シェスティンは興味があって、コインの説明もきっと聞きたかったかもしれないわね。でも、ランナルにお願いすればきっと発掘場所にも連れて行ってくれるかもしれないわよ。」
ビルギッタが言ったその言葉は、シェスティンには半分ほどしか耳に入ってこなかった。それほど、ランナルが王子だったのだと衝撃を受けていたのだった。
「この会はね、ランナルがあなたに会う為に企画したのよ。」
「?」
ランナルの姿を目で追っていたシェスティンは、どういう事かと慌ててビルギッタの方を向いた。
「シェスティンが、どういう名目だったら参加してくれるかって悩んでいたもの。それで、丁度良く遺跡から歴史的価値のあるものが発掘されたので、それの報告会を兼ねれば、シェスティンも興味を持って参加してくれるのではないかって閃いたそうよ。」
遺跡は、西の外れの港街の一角にあった。手付かずだった小高い場所を、広げようと手を加えた時にいろいろと発掘されたのだ。初めは壁に描かれた絵が発見され、周りを掘ってみると食器のようなものや、建物の土台まで出てきた。さらに調査をすると、リュックセレ国では今は使われていないコインが発見されたのだ。
「壁画はさすがに持って来れないけど、コインなら持ち運びしやすいからこれを披露しようって。
なぜシェスティンに会いたかったかって、それを渡したかったのよ。」
ビルギッタは、シェスティンの耳元にあるイヤリングを指差した。それは、小さなエメラルドグリーンの宝石がついた、主張し過ぎない大きさのイヤリングだった。
「センスあるわね。シェスティンだったらこういうのが好みだと思ったのではないかしらね。」
大き過ぎないそれは、シェスティンも確かに好みだと思った。
「でも…あ!」
「どうしたの?」
「…今さらだけれど、私の名前……」
「え?ウフフフ、本当に、今さらだわ!でもいいのよ、それがシェスティンらしいもの。
あのね、ごめんなさいね。一回目の校外学習で会った時に一目見て分かったの。フレドリカじゃない、って。」
「どうして…」
「あぁ。正確には、いつもと違うなと思ったの。でも、私はフレドリカと仲良かったわけではないからそんなの別に大した事ではないの。だったら、準備学校ではいたのに、基礎学校に通わなくなったシェスティンじゃないかしらと思ったのよ。それだったら私、とても嬉しいと思ったのよ?だって、準備学校で一緒に遊びたくて良く話し掛けていた子が、目の前にいるのだものね!」
「…」
「だけれど、本当の名前を呼べないのが少し淋しく思ったのよ?フレドリカは、私にとってはあまり友達にはなりたくない人物だったもの。対して、シェスティンは思った通り、親友とも言えるべき人物だと思ったもの。」
「ビルギッタ…」
「でも、これからはちゃんとシェスティンって呼ぶからね!
でも、残念だけれど次からの校外授業はシェスティンは登校出来ないと思うの。あぁ違うのよ。学校からお咎めがあるとかではないのよ?だって、学校だって見て見ぬ振りをしていたと思うのよね。他の人でもたまに、替え玉を出席させていたもの。学校は、それでもいいみたいよ。貴族の子供を預かっているのですもの。問題行動が無ければ、大抵の事は目を瞑るのですって。
ウフフフ。見てよ、あれ。きっと、ロルフが動き出すのよ。ロルフが動いてくれないと、ランナルが動けないって言っていたのよ。ただ、さすがに今日動くとは思ってなかったのだけれどね。」
「どういう事…?」
「ああするって事は、ロルフは、きっとフレドリカと結婚するでしょうね。」
「え!?」
「ちょっと、シェスティンもう少し声を抑えてね?あなたの気持ちも分からないでも無いけれど。
それで、それに向けて準備をし出すと思うのよ。だから…あら。主役の登場ね。」
ビルギッタとシェスティンは話していると、入り口近くの舞台に立つ人物が見えた。
真っ赤なマントを後ろに引きずるように羽織った、金髪を短く切り揃えたシェスティンの父アロルドと同じ年頃の男性だ。
「バッティル国王陛下ね!全く、真っ赤なマントなんて派手よね。あ、見て!その後ろ!」
バッティル国王陛下は、このリュックセレ国の陛下である。
後ろには、同じく金髪で、先ほどここで話をしていたランナルがいた。髪を後ろに撫でつけ、雰囲気が先ほどとはガラリと変わっている。そして、片手に収まるほどの箱を持って歩いてきた。
「!!」
「あそこに立つと、遠い存在のように感じるわよね。でも、今までここで話していた、私達と同じ空間にいた単なる普通の男なのよ。だから、余所余所しくしないであげてね、シェスティン。」
「ビルギッタ…私、ランナルって名前がわが国の国王陛下の一人息子と同じ名前だと思ったのよ?でも…」
「そうね。ランナルも上手く躱していたわよね。だってきっと、それで『はい、王子です』って言ったら、シェスティンが今までのように話せなくなると思ったのではないかしら。でも、ランナルはランナルよ。シェスティンと一緒に過ごした時間は、紛れもない楽しい時間だったのではないかしら。」
「…」
(確かにそうだわ。王子かもしれないとも思ったけれど、私は考えないようにしていた。だって、考えてしまったら距離を置かなければならないと思ったから。でも…私はランナルと過ごす時間を、無くしたくなかったのよ。)
「そのイヤリングも、ランナルからの気持ちなのよ?だから、避けたりしないであげてほしいわ。シェスティンの気持ちに正直にね!」
「私の…」
パチパチパチパチ
ビルギッタがシェスティンへ諭すように話していると、周りから大きな拍手が聞こえ始める。
バッティルが、ランナルが持っている箱にコインが入っていると言って、それの説明をしていたのだ。その箱は透明であったので、その箱の中の台座に置かれたコインは、おとなしく収まっているのが近くへ行けば良く見える。その為、見に来たい人は順に見に来るようにと言っていて、瞬く間に列を成していた。
「あぁ、ごめんなさいね。シェスティンは興味があって、コインの説明もきっと聞きたかったかもしれないわね。でも、ランナルにお願いすればきっと発掘場所にも連れて行ってくれるかもしれないわよ。」
ビルギッタが言ったその言葉は、シェスティンには半分ほどしか耳に入ってこなかった。それほど、ランナルが王子だったのだと衝撃を受けていたのだった。
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