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12 再会
(思ったよりも時間掛かったわね…)
アウロラはあれから、怪我をした女の子の手当てを母親と一緒に行い、ホテルへと戻って来た。
二人には何度もお礼を言われ、名前を聞かれたが特にアウロラは答える事もなく戻って来たのだった。
(別に私、特別な事はしていないし。)
アウロラにとってみたら、怪我を見たら手当てをする事は当然で、比べるのは失礼かもしれないが領地で世話している馬と同列であったのだ。
それよりも早くドレスを脱ぎ、ゆったりとしたワンピースに着替えたいと思った。そうする事で、ビリエルと過ごして感じた鬱々とした気持ちを切り替えたかったのかもしれない。
足も、ビリエルに引っ張って早歩きをさせられたため踵に靴擦れが出来ていたのだ。普通に歩いていればこんな風にはなっていなかったが、なんせ強引に歩かされたために余計な力が加わったからだ。
気付けばお腹も空いている。時間は、昼の十二時を過ぎていた。
(あら…?)
客室へ行こうとホテルのロビーを横切ると、奥のラウンジのソファに座った男性に目がいった。新聞を広げて読んでいたのか、ガサガサとそれを閉じる音に引かれるようにアウロラは目を向けただけだったのだが、その人物は昨夜と、先ほど歌劇場の前で声を掛けてくれた人だった。輝くような金髪と整った顔立ちは遠目でも目を引き、見間違うはずもない。そのため、アウロラは改めてお礼を言おうとそちらに近づいた。
「!君は…」
それに気づいた彼は、アウロラを見て声を上げ、それに応えるようにアウロラは微笑むと口を開いた。
「こんにちは。いきなり来て済みません。見掛けたものですから。
先ほども昨日も気を配ってくださいましてありがとうございました。本当に助かりました。」
「いやいや、私は特に何もしていませんよ。
…お一人ですか?」
「あ、はい。いろいろありまして…本当にご迷惑お掛けいたしました。」
「迷惑を掛けられたのは、君だろう?ええと…失礼。自己紹介をしてもいいだろうか。少しだけ、時間はありますか?」
「あ、はい勿論です。」
「ありがとう。ではこちらにどうぞ。」
アウロラも、お礼を言いたかったと思ったため、彼の正面に座るように促されて素直に従った。早く部屋に戻りたいと思うのも忘れてしまうくらいに。
改めて正面に座って彼を見ると、とても落ち着いているように感じ、アウロラよりも幾つか年上に見えた。
「では改めまして。
私はランナル=ステンホルム。昨日は持っていた林檎を、半ば押し付けるように渡してしまって済まなかったね。」
(やっぱり!あの瑞々しい林檎は、ステンホルム産のものだったのね!)
父のシーグルドも、知っていたかのように高級品だと言っていた。
夕食を終えてからその内の一つを皆で切り分け味わったのだ。
「いえ!ずっと欲しかったものだったので!とても美味しかったです!
あ…私、アウロラ=フランソンと申します。」
アウロラは、自己紹介よりも林檎の味の感想を先に言ってしまったため、少し顔を赤らめた。
でもそれに気を悪くするでもなく、ランナルは優しく笑みを浮かべて言葉を返した。
「うん、よろしく、アウロラ嬢。
ところで…美味しかったと褒めてもらえるのは嬉しいけれど、ずっと、とは?」
「あ…はい。ステンホルムで作られる林檎は、王宮御用達といわれるだけあってとても瑞々しく、それでいてほんのりと甘く頬が落ちるほどに美味しいと言われておりますから。小さい頃より、食してみたいと思っておりました。」
「へぇ…それは嬉しいね。
でも、食べた事はあっただろう?食卓に出されるのでは?」
「いえ!…えっと、いろいろとありまして、うちでは出されませんでした。」
あの弓当て会では結局、アウロラの番になって的に当てる前に中止になってしまった。だからアウロラだけ、的に当てる事も無く終わっている。だからその時林檎を賞品にともらう事が出来なかった。
そしてそれ以来アウロラは、あの猪が自分目掛けて来た時の事を思い出してしまうため、弓を手にする事もなくなった。
それをアウロラが口に出さずとも家族はなんとなく感じ取っているから、弓当て会の事はそれ以来使用人含めフランソン領の誰も口にする事も無かったし、それを連想させるステンホルム産の林檎を食卓に出される事もなかったとアウロラは記憶している。もちろん、高級林檎であるからそれ以前も特に食卓に上がる事も無かった。
「え?…そう…」
「あ!いえ、素敵な林檎だとは存じてましたし、家族ももちろん知っています!味も美味しいと評判ですし。
食卓に上がらないのは、その…私個人の問題で…」
「ふむ…
それは…もしも違っていたら申し訳ないが。八年前の弓当て会が原因、とか?」
「!」
「不躾に申し訳ない…私も出場していたんだ、親に言われてね。」
(まさか、この方も出場されてたなんて…)
「言いたくなければ口にしなくていいのだが、アウロラ嬢も…」
そう続けようとしたが、アウロラが下を向いてしまったため、ランナルは言葉を一度切り、少しして違う話を切り出した。
「私の話を聞いてくれるかい?」
そう言われたため、何のことだろうとアウロラは顔を上げ、ランナルを見つめた。
「ありがとう。
弓当て会で、小さいながらにとても勇敢で優秀な選手がいたんだ。で、次の時に会えるかと期待して次の年の弓当て会の見学に行ったんだが、姿がなくてね。とても残念だと思ったんだよ。
でも、八年前の弓当て会は驚く事件があったからね、子供の参加者が減った事もあり仕方ないとは思ったんだけどね。」
そう言って、一呼吸置いたあとまた話し出す。
「アウロラ嬢は女の子だったからなおさら怖かったよね。
当時十二歳だった私でさえ足が竦んで、逃げなければならないのにすぐには動けなかった。
だけど…隣にいた、私より頭一つ小さな子が、皆が逃げ出す中、被害を出さないように考えて行動した勇敢な姿を見て自分が情けなくなってね。
あれは、私も出来るって事を見せつけたかったのかもしれない。」
ランナルはそう続け、何も言葉を繋げる事が出来ないアウロラに微笑んだ。
「必死だった。手が震えそうになったけれど、果敢にも素早く動いた君を置いて逃げるなんて出来なかった。
アウロラ嬢、君が無事で本当に良かった。」
(この方が、あの時の…!)
アウロラは、あの時自分の代わりに猪を倒してくれた彼をとても素晴らしい弓使いだと、尊敬と、しかし少しの悔しさを胸にずっと抱いていた。自分の弓の腕は兄スティーグよりも優れていたからと驕っていたと気づいたのだ。
その時も助けてくれていたのだ。だが、アウロラはその彼の顔をはっきり覚えてはいなかった。さまざまな入り混じった思いに蓋をしたかったのだろう。
けれど、そこでふと気づいた。ビリエルは出場したのはスティーグだと思っていたのにどうしてランナルには自分だとばれてしまったのかと。
「どうして、私だと…?」
「あぁ、それは…」
ランナルがアウロラの問いに答えようとした時、近づいてくる可愛い声が聞こえた。
アウロラはあれから、怪我をした女の子の手当てを母親と一緒に行い、ホテルへと戻って来た。
二人には何度もお礼を言われ、名前を聞かれたが特にアウロラは答える事もなく戻って来たのだった。
(別に私、特別な事はしていないし。)
アウロラにとってみたら、怪我を見たら手当てをする事は当然で、比べるのは失礼かもしれないが領地で世話している馬と同列であったのだ。
それよりも早くドレスを脱ぎ、ゆったりとしたワンピースに着替えたいと思った。そうする事で、ビリエルと過ごして感じた鬱々とした気持ちを切り替えたかったのかもしれない。
足も、ビリエルに引っ張って早歩きをさせられたため踵に靴擦れが出来ていたのだ。普通に歩いていればこんな風にはなっていなかったが、なんせ強引に歩かされたために余計な力が加わったからだ。
気付けばお腹も空いている。時間は、昼の十二時を過ぎていた。
(あら…?)
客室へ行こうとホテルのロビーを横切ると、奥のラウンジのソファに座った男性に目がいった。新聞を広げて読んでいたのか、ガサガサとそれを閉じる音に引かれるようにアウロラは目を向けただけだったのだが、その人物は昨夜と、先ほど歌劇場の前で声を掛けてくれた人だった。輝くような金髪と整った顔立ちは遠目でも目を引き、見間違うはずもない。そのため、アウロラは改めてお礼を言おうとそちらに近づいた。
「!君は…」
それに気づいた彼は、アウロラを見て声を上げ、それに応えるようにアウロラは微笑むと口を開いた。
「こんにちは。いきなり来て済みません。見掛けたものですから。
先ほども昨日も気を配ってくださいましてありがとうございました。本当に助かりました。」
「いやいや、私は特に何もしていませんよ。
…お一人ですか?」
「あ、はい。いろいろありまして…本当にご迷惑お掛けいたしました。」
「迷惑を掛けられたのは、君だろう?ええと…失礼。自己紹介をしてもいいだろうか。少しだけ、時間はありますか?」
「あ、はい勿論です。」
「ありがとう。ではこちらにどうぞ。」
アウロラも、お礼を言いたかったと思ったため、彼の正面に座るように促されて素直に従った。早く部屋に戻りたいと思うのも忘れてしまうくらいに。
改めて正面に座って彼を見ると、とても落ち着いているように感じ、アウロラよりも幾つか年上に見えた。
「では改めまして。
私はランナル=ステンホルム。昨日は持っていた林檎を、半ば押し付けるように渡してしまって済まなかったね。」
(やっぱり!あの瑞々しい林檎は、ステンホルム産のものだったのね!)
父のシーグルドも、知っていたかのように高級品だと言っていた。
夕食を終えてからその内の一つを皆で切り分け味わったのだ。
「いえ!ずっと欲しかったものだったので!とても美味しかったです!
あ…私、アウロラ=フランソンと申します。」
アウロラは、自己紹介よりも林檎の味の感想を先に言ってしまったため、少し顔を赤らめた。
でもそれに気を悪くするでもなく、ランナルは優しく笑みを浮かべて言葉を返した。
「うん、よろしく、アウロラ嬢。
ところで…美味しかったと褒めてもらえるのは嬉しいけれど、ずっと、とは?」
「あ…はい。ステンホルムで作られる林檎は、王宮御用達といわれるだけあってとても瑞々しく、それでいてほんのりと甘く頬が落ちるほどに美味しいと言われておりますから。小さい頃より、食してみたいと思っておりました。」
「へぇ…それは嬉しいね。
でも、食べた事はあっただろう?食卓に出されるのでは?」
「いえ!…えっと、いろいろとありまして、うちでは出されませんでした。」
あの弓当て会では結局、アウロラの番になって的に当てる前に中止になってしまった。だからアウロラだけ、的に当てる事も無く終わっている。だからその時林檎を賞品にともらう事が出来なかった。
そしてそれ以来アウロラは、あの猪が自分目掛けて来た時の事を思い出してしまうため、弓を手にする事もなくなった。
それをアウロラが口に出さずとも家族はなんとなく感じ取っているから、弓当て会の事はそれ以来使用人含めフランソン領の誰も口にする事も無かったし、それを連想させるステンホルム産の林檎を食卓に出される事もなかったとアウロラは記憶している。もちろん、高級林檎であるからそれ以前も特に食卓に上がる事も無かった。
「え?…そう…」
「あ!いえ、素敵な林檎だとは存じてましたし、家族ももちろん知っています!味も美味しいと評判ですし。
食卓に上がらないのは、その…私個人の問題で…」
「ふむ…
それは…もしも違っていたら申し訳ないが。八年前の弓当て会が原因、とか?」
「!」
「不躾に申し訳ない…私も出場していたんだ、親に言われてね。」
(まさか、この方も出場されてたなんて…)
「言いたくなければ口にしなくていいのだが、アウロラ嬢も…」
そう続けようとしたが、アウロラが下を向いてしまったため、ランナルは言葉を一度切り、少しして違う話を切り出した。
「私の話を聞いてくれるかい?」
そう言われたため、何のことだろうとアウロラは顔を上げ、ランナルを見つめた。
「ありがとう。
弓当て会で、小さいながらにとても勇敢で優秀な選手がいたんだ。で、次の時に会えるかと期待して次の年の弓当て会の見学に行ったんだが、姿がなくてね。とても残念だと思ったんだよ。
でも、八年前の弓当て会は驚く事件があったからね、子供の参加者が減った事もあり仕方ないとは思ったんだけどね。」
そう言って、一呼吸置いたあとまた話し出す。
「アウロラ嬢は女の子だったからなおさら怖かったよね。
当時十二歳だった私でさえ足が竦んで、逃げなければならないのにすぐには動けなかった。
だけど…隣にいた、私より頭一つ小さな子が、皆が逃げ出す中、被害を出さないように考えて行動した勇敢な姿を見て自分が情けなくなってね。
あれは、私も出来るって事を見せつけたかったのかもしれない。」
ランナルはそう続け、何も言葉を繋げる事が出来ないアウロラに微笑んだ。
「必死だった。手が震えそうになったけれど、果敢にも素早く動いた君を置いて逃げるなんて出来なかった。
アウロラ嬢、君が無事で本当に良かった。」
(この方が、あの時の…!)
アウロラは、あの時自分の代わりに猪を倒してくれた彼をとても素晴らしい弓使いだと、尊敬と、しかし少しの悔しさを胸にずっと抱いていた。自分の弓の腕は兄スティーグよりも優れていたからと驕っていたと気づいたのだ。
その時も助けてくれていたのだ。だが、アウロラはその彼の顔をはっきり覚えてはいなかった。さまざまな入り混じった思いに蓋をしたかったのだろう。
けれど、そこでふと気づいた。ビリエルは出場したのはスティーグだと思っていたのにどうしてランナルには自分だとばれてしまったのかと。
「どうして、私だと…?」
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