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10. 翌日 朝食と集落へ
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翌朝。
日が昇る前。皆が少しずつ起きて準備をしているような音で私も目が覚めた。
インサはまだ寝ている。
でも、私は体を起こして天幕から外に出ると、すでに簡易的なかまどに火が焚かれ朝食の準備をしていた。
「おはようございます。」
見ると、ルドが何やら鍋を煮立たせていた。
「そちらはスープですか?」
「ええ、一番手っ取り早く栄養が取れますからね。体も温まりますから。」
そう言って鍋をクルクルと回していた。私もそれくらいなら手伝えるかしら。そう思い、ルドに言おうかとした所で、
「おはようございます。すみません、まだ途中で。」
と、後ろから声を掛けてきたのはアルヤン副団長だった。
革袋に何か入れているみたいで、革袋がモゾモゾと動いていた。中はなんだろうか、またここで解体でもするのか少し怖い気もするが聞いてみる。
「いいえ!私も何か手伝うわ。アルヤン副団長、それは?」
「あぁ、少し先に川がありましてそこで獲ってきました川魚です。焼くまで少し時間が掛かりますが、これも食べましょう。」
川魚ね。なら昨日のような、恐ろしい解体現場にならなくて済むからよかった。…美味しかったから、あぁいうのにも慣れていかないといけないのでしょうけれど。私にやってと言われたらどうしよう…。
「エルヴィーラは、じゃあまずインサを起こしてから川で顔を洗って来て下さい。とても冷たくて、さっぱりしますよ。」
そう、ルドからにっこりと微笑まれながら言われて確かに顔を洗いたいと思い、インサを起こしに戻った。
☆★
朝食を獲って片付けをし、出発をする。
また、ルドと一緒に私は馬に乗りカポカポと常歩で進んで行く。
「そろそろ慣れましたか?」
後ろからルドにそう話し掛けられ、
「ええと、何がです?」
と聞いた。慣れた、とは?
「馬ですよ。落馬したと言われたので、今は常歩であるいてますが、もう少し速くしても大丈夫ですか?」
あぁ、そういう事。もしかして、私の事を考慮してくれたのかしら。それだったらなんだか申し訳ない。だって本当は落馬なんてしていないもの。
でも、私の以前は、乗馬教室に通ったとはいえ、基本しかやっていないと思うからゆっくりと歩く速さにしてくれて良かった。この速さに慣れたといえば慣れたから、少し速くしても大丈夫だろうと思った。
「考慮してくれたの?ありがとうございます。えぇ、もう少しならきっと。」
「そうですか、思ったよりも馬に慣れて下さって良かったです。落馬して強く体を打ち付けたら、それだけでもう怖くなり馬に近づけない人もいますから。」
そ、そうよね…普通は怖いわよね。怪しんだりはしていないわよね!?
どう言えば正解なのか分からなくて私は、上手く言葉を繋げなかった。
でも、そんな事ルドは気にしていないみたいで、
「では明日通る渓谷では、場合によっては少し駆歩にします。崖の上には獣が現れる可能性があるので、見つからなければ常歩で行きますが、見つかってしまったら一気に駆け抜けるかもしれません。」
「はい。」
獣…。私は気になり続けて聞いた。
「それは、凶暴なのですか?」
「そうですね。ヘルムグマと呼ばれるクマなのですが、体長は約三メートルあるので力があって目を付けられると厄介なのです。ただ、体が大きい為、あまり足は速くないので駆歩でしたら馬に軍配が上がりますから。」
なるほど…。それで馬に慣れたかと聞いたのね。
「あ、見えてきましたね。今日は早いですがあの集落で野営地とさせてもらいましょう。」
言われて見れば、家らしき物がぽつぽつと立っているのが見える。
周りはいつの間にか、麦のような、穂が長く伸びた畑が広がっており、その向こうに小さな集落が見え始めた。
しかし、家と言っていいのか、納屋なのか悩むほどの掘っ立て小屋で。
デューレンケルン辺境伯の屋敷とは全く違っていて、風が吹いたら倒れるんじゃないかと失礼ながら思ってしまった。
「長老に挨拶してきます。」
その集落までくると、馬から降ろしてくれ、隊員の皆も集落の入り口で待機する。ルドとアルヤン副団長が集落へと入って行き、少し進んだ先の家に声を掛けた。
「こんにちはー!」
家から年配の男性が出て来て何やら話し、また中へと入って行った。そして、ルドとアルヤン副団長はこちらを向いて手を振り、
「来て下さーい!」
と言った。
どうやら許可をもらったようで、私達は集落へとお邪魔した。
ルドと私が乗ってきた馬と、アルヤン副団長とインサが乗ってきた馬は他の隊員が手綱を引き連れて行ってくれる。
どうやら、奥に開けた場所があるから、そこを借り、昨日のように野営地とするようだ。
確かに、ここの人達の家に泊めてと言うのも忍びないと思ってしまった。
「さぁ、ここを今日は野営地としよう。」
ルドは今日もまた、そう言った。
日が昇る前。皆が少しずつ起きて準備をしているような音で私も目が覚めた。
インサはまだ寝ている。
でも、私は体を起こして天幕から外に出ると、すでに簡易的なかまどに火が焚かれ朝食の準備をしていた。
「おはようございます。」
見ると、ルドが何やら鍋を煮立たせていた。
「そちらはスープですか?」
「ええ、一番手っ取り早く栄養が取れますからね。体も温まりますから。」
そう言って鍋をクルクルと回していた。私もそれくらいなら手伝えるかしら。そう思い、ルドに言おうかとした所で、
「おはようございます。すみません、まだ途中で。」
と、後ろから声を掛けてきたのはアルヤン副団長だった。
革袋に何か入れているみたいで、革袋がモゾモゾと動いていた。中はなんだろうか、またここで解体でもするのか少し怖い気もするが聞いてみる。
「いいえ!私も何か手伝うわ。アルヤン副団長、それは?」
「あぁ、少し先に川がありましてそこで獲ってきました川魚です。焼くまで少し時間が掛かりますが、これも食べましょう。」
川魚ね。なら昨日のような、恐ろしい解体現場にならなくて済むからよかった。…美味しかったから、あぁいうのにも慣れていかないといけないのでしょうけれど。私にやってと言われたらどうしよう…。
「エルヴィーラは、じゃあまずインサを起こしてから川で顔を洗って来て下さい。とても冷たくて、さっぱりしますよ。」
そう、ルドからにっこりと微笑まれながら言われて確かに顔を洗いたいと思い、インサを起こしに戻った。
☆★
朝食を獲って片付けをし、出発をする。
また、ルドと一緒に私は馬に乗りカポカポと常歩で進んで行く。
「そろそろ慣れましたか?」
後ろからルドにそう話し掛けられ、
「ええと、何がです?」
と聞いた。慣れた、とは?
「馬ですよ。落馬したと言われたので、今は常歩であるいてますが、もう少し速くしても大丈夫ですか?」
あぁ、そういう事。もしかして、私の事を考慮してくれたのかしら。それだったらなんだか申し訳ない。だって本当は落馬なんてしていないもの。
でも、私の以前は、乗馬教室に通ったとはいえ、基本しかやっていないと思うからゆっくりと歩く速さにしてくれて良かった。この速さに慣れたといえば慣れたから、少し速くしても大丈夫だろうと思った。
「考慮してくれたの?ありがとうございます。えぇ、もう少しならきっと。」
「そうですか、思ったよりも馬に慣れて下さって良かったです。落馬して強く体を打ち付けたら、それだけでもう怖くなり馬に近づけない人もいますから。」
そ、そうよね…普通は怖いわよね。怪しんだりはしていないわよね!?
どう言えば正解なのか分からなくて私は、上手く言葉を繋げなかった。
でも、そんな事ルドは気にしていないみたいで、
「では明日通る渓谷では、場合によっては少し駆歩にします。崖の上には獣が現れる可能性があるので、見つからなければ常歩で行きますが、見つかってしまったら一気に駆け抜けるかもしれません。」
「はい。」
獣…。私は気になり続けて聞いた。
「それは、凶暴なのですか?」
「そうですね。ヘルムグマと呼ばれるクマなのですが、体長は約三メートルあるので力があって目を付けられると厄介なのです。ただ、体が大きい為、あまり足は速くないので駆歩でしたら馬に軍配が上がりますから。」
なるほど…。それで馬に慣れたかと聞いたのね。
「あ、見えてきましたね。今日は早いですがあの集落で野営地とさせてもらいましょう。」
言われて見れば、家らしき物がぽつぽつと立っているのが見える。
周りはいつの間にか、麦のような、穂が長く伸びた畑が広がっており、その向こうに小さな集落が見え始めた。
しかし、家と言っていいのか、納屋なのか悩むほどの掘っ立て小屋で。
デューレンケルン辺境伯の屋敷とは全く違っていて、風が吹いたら倒れるんじゃないかと失礼ながら思ってしまった。
「長老に挨拶してきます。」
その集落までくると、馬から降ろしてくれ、隊員の皆も集落の入り口で待機する。ルドとアルヤン副団長が集落へと入って行き、少し進んだ先の家に声を掛けた。
「こんにちはー!」
家から年配の男性が出て来て何やら話し、また中へと入って行った。そして、ルドとアルヤン副団長はこちらを向いて手を振り、
「来て下さーい!」
と言った。
どうやら許可をもらったようで、私達は集落へとお邪魔した。
ルドと私が乗ってきた馬と、アルヤン副団長とインサが乗ってきた馬は他の隊員が手綱を引き連れて行ってくれる。
どうやら、奥に開けた場所があるから、そこを借り、昨日のように野営地とするようだ。
確かに、ここの人達の家に泊めてと言うのも忍びないと思ってしまった。
「さぁ、ここを今日は野営地としよう。」
ルドは今日もまた、そう言った。
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