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19. 第二王子・ユリウス
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俺はユリウス。このクレンヴィス国の第二王子だ。
俺は、王族だ。
生まれた頃から周りにいる人々は俺に媚びへつらっていた。
大人でさえ、子供の俺にヘコヘコと低い腰で接して来ていた。
だからだろうか。俺は特別な人間だと思うようになった。
兄上は、とても素晴らしい人であったし、兄上の役に立つよう勉学はそれなりに積み、体力も付けた。
騎士団長と、手合わせの時間も設けてもらっていた。
それまで、王宮でのガーデンパーティーは、開始直後の初めの挨拶だけは幼い頃から参加していたが、十歳になるまではその挨拶しかいられず退場していた。
十歳になり俺の初めてのお披露目ガーデンパーティーは、こぞって皆が挨拶に来た。
顔には、貴族の仮面を貼り付けて。
少し慣れて来た頃のガーデンパーティーに、兄上の親友であり唯一心を開ける存在だというカイヴィン=ツェルテッティン伯爵令息の妹が参加してきた。
カイヴィン殿が、兄上と俺と、兄上の婚約者であるウェンディ=ケラリス侯爵令嬢の元へ妹を連れて来て紹介してきた。
「僕の可愛い妹の、アイネルだよ。今日やっと、デビューなんだ。これからいろいろとよろしくお願いするよ。アイネル。こちらが、ロイル第一王子。そしてこちらが、ウェンディ=ケラリス侯爵令嬢。そしてこちらが、第二王子のユリウス様だよ。アイネルと同じ年齢で十歳だね。」
「皆様、よろしくお願いいたします。まだまだ未熟者ですので、ご指導頂きたく存じます。」
と、アイネルは緊張していた顔で、俺らに挨拶を述べ、ふわりと花開くような初々しい笑顔を見せてくれた。
………!俺は、その表情に落ちた。何に、って恋にだ!
初々しい、緊張した顔つきだったのに、所作はずいぶんと学んだのだろう、完璧だった。
そしてあの可愛い表情!カイヴィン殿が『可愛い妹』と言うのも、嘘じゃないんだなと実感せざるを得なかった。
だが、アイネルはその挨拶の後あろう事か俺にではなく、ウェンディに話し掛けたのだ!
なぜ俺に話し掛けて来ない?他の令嬢だったら、押しのけてでも媚びを売ろうとしてくるのに。
ウェンディが俺に話を振ってきて、アイネルが俺の顔を見て言ったのだ。
「第二王子様も、これからよろしくお願いいたします。」
なぜ俺の名前を呼ばない?そんな素っ気ない一線を画すような言い方をする?
俺はなぜかイライラとし、一歩前へ出て同じ位の身長のアイネルの肩を押して、
「おい、俺と話したくないのかよ?」
と言った。
すると、いきなり返事を聞く前にものすごい突風が吹き荒れた。
「わ…!」
「きゃ…!!」
皆が目を瞑り、顔を腕や手のひらで覆い、突風が止むのを待った。
次に目を開けると、すぐ傍に居たはずのアイネルが地面に倒れていた。
「キャーッ!どうなされたの?どなたか…え、衛兵!ちょっと来て!!」
と、ウェンディの声に俺は我に返った。
「お、おい…アイネル?」
そう言うと、ウェンディは俺の方を向き、
「ユリウス!あなた後で覚えておきなさい!」
と言われた。
それからはあれよあれよという間にガーデンパーティーはお開きになった。
俺は、兄上に呼ばれ部屋へ行くと、ウェンディと、妹の2歳下のクソ生意気なイザベラまでいた。なぜか兄上は渋い顔つきで、ウェンディとイザベラは俺を睨みつけていた。
「ユリウス兄様!女性に手を上げたって本当なの?」
「何であんな事をしたのかしら!?自分に靡かない女性がいてイラついたの?あなたそれでも王族!?」
イザベラとウェンディ二人が同時に食い掛かって来た。
「や………まぁ、それについては何というか…。」
俺は、後悔していた。
俺は、王族だ。
生まれた頃から周りにいる人々は俺に媚びへつらっていた。
大人でさえ、子供の俺にヘコヘコと低い腰で接して来ていた。
だからだろうか。俺は特別な人間だと思うようになった。
兄上は、とても素晴らしい人であったし、兄上の役に立つよう勉学はそれなりに積み、体力も付けた。
騎士団長と、手合わせの時間も設けてもらっていた。
それまで、王宮でのガーデンパーティーは、開始直後の初めの挨拶だけは幼い頃から参加していたが、十歳になるまではその挨拶しかいられず退場していた。
十歳になり俺の初めてのお披露目ガーデンパーティーは、こぞって皆が挨拶に来た。
顔には、貴族の仮面を貼り付けて。
少し慣れて来た頃のガーデンパーティーに、兄上の親友であり唯一心を開ける存在だというカイヴィン=ツェルテッティン伯爵令息の妹が参加してきた。
カイヴィン殿が、兄上と俺と、兄上の婚約者であるウェンディ=ケラリス侯爵令嬢の元へ妹を連れて来て紹介してきた。
「僕の可愛い妹の、アイネルだよ。今日やっと、デビューなんだ。これからいろいろとよろしくお願いするよ。アイネル。こちらが、ロイル第一王子。そしてこちらが、ウェンディ=ケラリス侯爵令嬢。そしてこちらが、第二王子のユリウス様だよ。アイネルと同じ年齢で十歳だね。」
「皆様、よろしくお願いいたします。まだまだ未熟者ですので、ご指導頂きたく存じます。」
と、アイネルは緊張していた顔で、俺らに挨拶を述べ、ふわりと花開くような初々しい笑顔を見せてくれた。
………!俺は、その表情に落ちた。何に、って恋にだ!
初々しい、緊張した顔つきだったのに、所作はずいぶんと学んだのだろう、完璧だった。
そしてあの可愛い表情!カイヴィン殿が『可愛い妹』と言うのも、嘘じゃないんだなと実感せざるを得なかった。
だが、アイネルはその挨拶の後あろう事か俺にではなく、ウェンディに話し掛けたのだ!
なぜ俺に話し掛けて来ない?他の令嬢だったら、押しのけてでも媚びを売ろうとしてくるのに。
ウェンディが俺に話を振ってきて、アイネルが俺の顔を見て言ったのだ。
「第二王子様も、これからよろしくお願いいたします。」
なぜ俺の名前を呼ばない?そんな素っ気ない一線を画すような言い方をする?
俺はなぜかイライラとし、一歩前へ出て同じ位の身長のアイネルの肩を押して、
「おい、俺と話したくないのかよ?」
と言った。
すると、いきなり返事を聞く前にものすごい突風が吹き荒れた。
「わ…!」
「きゃ…!!」
皆が目を瞑り、顔を腕や手のひらで覆い、突風が止むのを待った。
次に目を開けると、すぐ傍に居たはずのアイネルが地面に倒れていた。
「キャーッ!どうなされたの?どなたか…え、衛兵!ちょっと来て!!」
と、ウェンディの声に俺は我に返った。
「お、おい…アイネル?」
そう言うと、ウェンディは俺の方を向き、
「ユリウス!あなた後で覚えておきなさい!」
と言われた。
それからはあれよあれよという間にガーデンパーティーはお開きになった。
俺は、兄上に呼ばれ部屋へ行くと、ウェンディと、妹の2歳下のクソ生意気なイザベラまでいた。なぜか兄上は渋い顔つきで、ウェンディとイザベラは俺を睨みつけていた。
「ユリウス兄様!女性に手を上げたって本当なの?」
「何であんな事をしたのかしら!?自分に靡かない女性がいてイラついたの?あなたそれでも王族!?」
イザベラとウェンディ二人が同時に食い掛かって来た。
「や………まぁ、それについては何というか…。」
俺は、後悔していた。
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