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21. デート
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お父様とお母様に、照れながらユリウス様との事を話すととても喜んでくれた。
お父様は、口を大きく開けたまましばらく動かなかったから大丈夫かしらと思ったけれど、お母様が『大丈夫。ヘンツは相手が誰であってもきっとああよ。まぁ、王族だから私も驚きましたけれどね。けれど、アイネルが嬉しいなら良かったわ。』と言ってくれたから大丈夫よね。
ユリウス様とは、あれから週に一度は王宮に呼ばれ、庭園や、応接室でお茶会をしている。
なんと、ユリウス様はローズティーやカモミールティーも飲んでくれていたらしく、『アイネルは素晴らしいな!!』と褒めて下さった。
ローズ化粧水も付けてくれているらしい。
なんだか、家族以外で使ってくれていると聞くのは本当に嬉しいわ。
領地の皆も生活の一部として活用してくれているけれど、領民というひいき目があるのかもしれないもの。
「ねぇ、アイネルの領地に行ってもいい?バラ園があるんだろ?アイネルと一緒にデートしたいな。」
そう言ってくれたのだ。
デート…!きっと護衛などもいて二人きりではないのでしょうけれど、とても嬉しく感じる自分に少し驚いたわ。
次の会う予定の日。
ユリウス様は、ツェルテッティン伯爵領の屋敷まで来て、そこからは一緒に歩いて行くこととなった。
「やぁ。すがすがしい天気で良かった。お、アイネル。その姿もとても可愛いね。」
今日は、歩くので少し砕けた格好をする事にした。
私はワンピース。ユリウス様も、柔らかい素材のズボンとシャツだ。
バラ園には、ドレスで来る貴族もいる。けれどもやはり、歩きにくそうだった。だから、ユリウス様に言うと、『うん、じゃあ庶民に紛れられるような服にしよう。』と言ってくれたのだ。
「すごい…想像していたのより、かなり綺麗に手入れされているね。広いし。それに、なんだか皆、楽しそうだね!」
ユリウス様はそう褒めて下さった。
私達は、屋敷に出る前に料理長から受け取ったお弁当を、近くのベンチに座って食べる事とした。
「へー、すごいね!これもアイネルの知識かな?今までに無かったけれど、その領地でその場で特産品を販売するの、良い考えだね!王立公園みたいで、管理されているし。」
そうやって褒めて下さった。なんだか終始褒めて下さるのはくすぐったいのですけれど。
「ねぇ、アイネル。俺はね、アイネルの気持ちさえ良ければいつでも結婚したいと思っているんだよ。だけれど、兄上もまだ結婚出来ていないだろう?兄上がしないと俺らも出来ないんだよね…。」
と少し哀しそうに言われた。
…結婚かぁ。
なんだか会う度に私もいろいろな話をして、緊張もするけれどとても有意義な時間を過ごさせてもらっていて、ユリウス様に会える日を心待ちにしていたわ。
結婚するなら、いつも一緒にいられるのよね。
けれど、そうね。そういえば、ロイル様とウェンディ様との婚約発表は五年位前でしたわよね。
今十八歳ですから、充分結婚出来る年齢ですけれど…聞いていいかしら?言えないなら言えないと言ってくれるわよね。
「ロイル様とウェンディ様の結婚は、何か理由があってまだされないのですか?」
「うん…。」
何か言い淀んでいる様子で、視線が宙を泳いでいるわ。
「あ、すみません。気軽に話せませんよね。」
「い、いや?違うんだよ。…アイネルは知っているかな、ここクレンヴィス国は庶民の間で流行病があってね。いや、恥ずかしいけれど流行病なのかも実際よくわからないんだけれど。それが収まって欲しいと思っているけれどなかなかね…。」
えっ!?そうでしたの??流行病が…。
「そうでしたの…全く知りませんでした…。すみません無知で…。」
「いやいや、知らなくて当然だよ!ごめんね、王族のくせになかなか原因も不明だし抑え込められなくて。国民の苦しみを緩和してあげられなくて王族だけ幸せになっていいものかと思ってね…。でも、ここを見ているとそんな事とは無縁に感じるね。」
「そうですね…。私に秘密にしていたのか、領民と接していてもそんな話はしてこなかったものですから知りませんでした。病気になっている人もあまりおりませんし。」
「そうなのか…ツェルテッティン伯爵領と他の地域では何か生活の違いとかがあるのか?アイネルの知識で特別何かやっている?」
「いいえ?私が何かなんて…あ!もしかして…。あれぐらいしか…。」
「何?」
「五年前に、お屋敷の庭園にあったイモを領民達で掘り返してもらった事があるんです。その時、掘ったイモを蒸かして食べてもらう時に皆、土まみれの手でたらいに汲んだ水でゆすぐだけで食べようとしていたので、慌てて水場に連れていって、洗い流してもらったのです。たらいには、汚れが残っています。それなのに皆そこで洗おうとしていたのです。それもあって…。あちらを見て下さい。いろいろな所に水場を作って、手を洗えるようにしています。ここだけでなくて、新しく作った畑や、既存のブドウ畑やトウモロコシ畑の近くにも。…でも、そんな事他の領地でもやられていますよね…。」
「それだ!!」
お父様は、口を大きく開けたまましばらく動かなかったから大丈夫かしらと思ったけれど、お母様が『大丈夫。ヘンツは相手が誰であってもきっとああよ。まぁ、王族だから私も驚きましたけれどね。けれど、アイネルが嬉しいなら良かったわ。』と言ってくれたから大丈夫よね。
ユリウス様とは、あれから週に一度は王宮に呼ばれ、庭園や、応接室でお茶会をしている。
なんと、ユリウス様はローズティーやカモミールティーも飲んでくれていたらしく、『アイネルは素晴らしいな!!』と褒めて下さった。
ローズ化粧水も付けてくれているらしい。
なんだか、家族以外で使ってくれていると聞くのは本当に嬉しいわ。
領地の皆も生活の一部として活用してくれているけれど、領民というひいき目があるのかもしれないもの。
「ねぇ、アイネルの領地に行ってもいい?バラ園があるんだろ?アイネルと一緒にデートしたいな。」
そう言ってくれたのだ。
デート…!きっと護衛などもいて二人きりではないのでしょうけれど、とても嬉しく感じる自分に少し驚いたわ。
次の会う予定の日。
ユリウス様は、ツェルテッティン伯爵領の屋敷まで来て、そこからは一緒に歩いて行くこととなった。
「やぁ。すがすがしい天気で良かった。お、アイネル。その姿もとても可愛いね。」
今日は、歩くので少し砕けた格好をする事にした。
私はワンピース。ユリウス様も、柔らかい素材のズボンとシャツだ。
バラ園には、ドレスで来る貴族もいる。けれどもやはり、歩きにくそうだった。だから、ユリウス様に言うと、『うん、じゃあ庶民に紛れられるような服にしよう。』と言ってくれたのだ。
「すごい…想像していたのより、かなり綺麗に手入れされているね。広いし。それに、なんだか皆、楽しそうだね!」
ユリウス様はそう褒めて下さった。
私達は、屋敷に出る前に料理長から受け取ったお弁当を、近くのベンチに座って食べる事とした。
「へー、すごいね!これもアイネルの知識かな?今までに無かったけれど、その領地でその場で特産品を販売するの、良い考えだね!王立公園みたいで、管理されているし。」
そうやって褒めて下さった。なんだか終始褒めて下さるのはくすぐったいのですけれど。
「ねぇ、アイネル。俺はね、アイネルの気持ちさえ良ければいつでも結婚したいと思っているんだよ。だけれど、兄上もまだ結婚出来ていないだろう?兄上がしないと俺らも出来ないんだよね…。」
と少し哀しそうに言われた。
…結婚かぁ。
なんだか会う度に私もいろいろな話をして、緊張もするけれどとても有意義な時間を過ごさせてもらっていて、ユリウス様に会える日を心待ちにしていたわ。
結婚するなら、いつも一緒にいられるのよね。
けれど、そうね。そういえば、ロイル様とウェンディ様との婚約発表は五年位前でしたわよね。
今十八歳ですから、充分結婚出来る年齢ですけれど…聞いていいかしら?言えないなら言えないと言ってくれるわよね。
「ロイル様とウェンディ様の結婚は、何か理由があってまだされないのですか?」
「うん…。」
何か言い淀んでいる様子で、視線が宙を泳いでいるわ。
「あ、すみません。気軽に話せませんよね。」
「い、いや?違うんだよ。…アイネルは知っているかな、ここクレンヴィス国は庶民の間で流行病があってね。いや、恥ずかしいけれど流行病なのかも実際よくわからないんだけれど。それが収まって欲しいと思っているけれどなかなかね…。」
えっ!?そうでしたの??流行病が…。
「そうでしたの…全く知りませんでした…。すみません無知で…。」
「いやいや、知らなくて当然だよ!ごめんね、王族のくせになかなか原因も不明だし抑え込められなくて。国民の苦しみを緩和してあげられなくて王族だけ幸せになっていいものかと思ってね…。でも、ここを見ているとそんな事とは無縁に感じるね。」
「そうですね…。私に秘密にしていたのか、領民と接していてもそんな話はしてこなかったものですから知りませんでした。病気になっている人もあまりおりませんし。」
「そうなのか…ツェルテッティン伯爵領と他の地域では何か生活の違いとかがあるのか?アイネルの知識で特別何かやっている?」
「いいえ?私が何かなんて…あ!もしかして…。あれぐらいしか…。」
「何?」
「五年前に、お屋敷の庭園にあったイモを領民達で掘り返してもらった事があるんです。その時、掘ったイモを蒸かして食べてもらう時に皆、土まみれの手でたらいに汲んだ水でゆすぐだけで食べようとしていたので、慌てて水場に連れていって、洗い流してもらったのです。たらいには、汚れが残っています。それなのに皆そこで洗おうとしていたのです。それもあって…。あちらを見て下さい。いろいろな所に水場を作って、手を洗えるようにしています。ここだけでなくて、新しく作った畑や、既存のブドウ畑やトウモロコシ畑の近くにも。…でも、そんな事他の領地でもやられていますよね…。」
「それだ!!」
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