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1. 結婚の話
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私、スティナ=ソランデル。
昨日で二十歳になった私は夕食の後、部屋で本を読んでいると、執事のホーカンが『旦那様がお呼びです』と言いに来た為、執務室へと急いだ。
コンコンコンコン
「スティナです。お呼びですか?」
「あぁ。入って来なさい。」
お父様であるバルント=ソランデルはここソランデル伯爵領の領主です。
お父様は、私がその部屋へ入った時、まだ正面の机に向かっていたのですが書類を置いて、斜めにある布製のソファに私を促しました。
お父様も私の対面に座ると、ふーっと一つ息を吐いて、私の顔を真っ直ぐに見て言ったのです。
「スティナ。三ヶ月後に、結婚式が決まったよ。お相手は、アンセルム=ベンディクス様だ。知っているか?」
「え!……お名前は、存じ上げております。」
私はいきなりの事で、はしたなくも大きな声を上げてしまいました。でもその事をお父様は特に咎めたりもせず、私の返答を待って下さいました。
お母様が幼い頃に亡くなってしまったからか、お父様はいつもこうやって優しく穏やかに見守って下さっているの。
ソランデル伯爵領はとても小さな領地で、スラグネス国の北西に位置しており、冬は外へ出られないほど雪も積もって寒くなります。その為、冬ごもりの名にふさわしく暇を持て余さないように図書室には書物が図書館と言っても過言ではない程にそれはもう壁一面にたくさんあるのです。
私は、小さな頃よりそれを読み漁っていたし、貴族の娘でありますから、他の貴族の方々の事も多少は勉強をしておりました。
ですから、アンセルム=ベンディクス様の事も、公爵家の嫡男で、現在は悪獣討伐軍のトップだという事は存じ上げております。
長年軍に所属しているからか、とても背が高く体格もしっかりとされていて社交界でもとても人気があると言われているそうです。
年齢は、私よりも三歳年上の二十三歳でしたかしら。
ただ、私は社交界に参加していませんから、あまりはっきりとはどのようなお顔であったか存じ上げませんし、ましてやお話をした事もありません。
アンセルム様のお父様であるエルランド様が、今のオロフ国王陛下の弟君、なのですから住む世界が違うと思っておりました。
「そうか…知っているか。幸せになりなさい。」
「はい…あの、私は公爵家に嫁ぐ、という事ですよね?」
お相手は嫡男の方であるし、うちには私の下に一歳違いの弟がいるので弟フランシスがソランデル領を継ぐものね。
「そうだ。だから、これから公爵夫人として学ぶべき事がたくさんあるから大変だとは思うが…望まれた結婚なのだ。頑張りなさい。」
「分かりました。」
望まれた…政略結婚という事よね。お互いに得るものがあるという事かしら。まぁ、私も貴族の娘だもの。いつかこうなるとは思っていたけれど、いざ、そうなると淋しく感じるものね。
「近い内に先生が来て下さる。暫く滞在してもらうから、公爵夫人になる為にいろいろと教えてもらいなさい。」
「はい。」
「ウエディングドレスは、あちらが贈って下さるそうだ。だから、スティナは勉強を頑張りなさい。まぁ、と言ってもスティナは勤勉だから、そこまで教えられなくても身に付いていると思うから心配するな。」
心配するなと言われても、心配しかないですわよ、お父様。
会った事も無い人と結婚…貴族だから仕方ないけれど、不安だわ。せめて、家族としての愛情くらいはお互いに湧いて、それなりに上手くやっていけるといいのですけれど。
私はそう思いながら、お父様の顔を見つめた。
昨日で二十歳になった私は夕食の後、部屋で本を読んでいると、執事のホーカンが『旦那様がお呼びです』と言いに来た為、執務室へと急いだ。
コンコンコンコン
「スティナです。お呼びですか?」
「あぁ。入って来なさい。」
お父様であるバルント=ソランデルはここソランデル伯爵領の領主です。
お父様は、私がその部屋へ入った時、まだ正面の机に向かっていたのですが書類を置いて、斜めにある布製のソファに私を促しました。
お父様も私の対面に座ると、ふーっと一つ息を吐いて、私の顔を真っ直ぐに見て言ったのです。
「スティナ。三ヶ月後に、結婚式が決まったよ。お相手は、アンセルム=ベンディクス様だ。知っているか?」
「え!……お名前は、存じ上げております。」
私はいきなりの事で、はしたなくも大きな声を上げてしまいました。でもその事をお父様は特に咎めたりもせず、私の返答を待って下さいました。
お母様が幼い頃に亡くなってしまったからか、お父様はいつもこうやって優しく穏やかに見守って下さっているの。
ソランデル伯爵領はとても小さな領地で、スラグネス国の北西に位置しており、冬は外へ出られないほど雪も積もって寒くなります。その為、冬ごもりの名にふさわしく暇を持て余さないように図書室には書物が図書館と言っても過言ではない程にそれはもう壁一面にたくさんあるのです。
私は、小さな頃よりそれを読み漁っていたし、貴族の娘でありますから、他の貴族の方々の事も多少は勉強をしておりました。
ですから、アンセルム=ベンディクス様の事も、公爵家の嫡男で、現在は悪獣討伐軍のトップだという事は存じ上げております。
長年軍に所属しているからか、とても背が高く体格もしっかりとされていて社交界でもとても人気があると言われているそうです。
年齢は、私よりも三歳年上の二十三歳でしたかしら。
ただ、私は社交界に参加していませんから、あまりはっきりとはどのようなお顔であったか存じ上げませんし、ましてやお話をした事もありません。
アンセルム様のお父様であるエルランド様が、今のオロフ国王陛下の弟君、なのですから住む世界が違うと思っておりました。
「そうか…知っているか。幸せになりなさい。」
「はい…あの、私は公爵家に嫁ぐ、という事ですよね?」
お相手は嫡男の方であるし、うちには私の下に一歳違いの弟がいるので弟フランシスがソランデル領を継ぐものね。
「そうだ。だから、これから公爵夫人として学ぶべき事がたくさんあるから大変だとは思うが…望まれた結婚なのだ。頑張りなさい。」
「分かりました。」
望まれた…政略結婚という事よね。お互いに得るものがあるという事かしら。まぁ、私も貴族の娘だもの。いつかこうなるとは思っていたけれど、いざ、そうなると淋しく感じるものね。
「近い内に先生が来て下さる。暫く滞在してもらうから、公爵夫人になる為にいろいろと教えてもらいなさい。」
「はい。」
「ウエディングドレスは、あちらが贈って下さるそうだ。だから、スティナは勉強を頑張りなさい。まぁ、と言ってもスティナは勤勉だから、そこまで教えられなくても身に付いていると思うから心配するな。」
心配するなと言われても、心配しかないですわよ、お父様。
会った事も無い人と結婚…貴族だから仕方ないけれど、不安だわ。せめて、家族としての愛情くらいはお互いに湧いて、それなりに上手くやっていけるといいのですけれど。
私はそう思いながら、お父様の顔を見つめた。
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