【完結】「別れようって言っただけなのに。」そう言われましてももう遅いですよ。

まりぃべる

文字の大きさ
2 / 4

2. え?

しおりを挟む
「そうですか………。分かりました。クラヴィズ様、それではすべて無かった事にという事でよろしいですか。お父様にご報告させていただきますね。」

 思っていたより、感情の籠もらない声が出てしまいましたが大丈夫ですよね?やっと欲しいお言葉をいただきましたわ。けれど、クラヴィズ様から言われたのですもの。お咎めはないですよね?

「は!?」

「え??」

 えと…なぜ、クラヴィズ様は驚いているのでしょう。目は見開いて口がポカンと開いておりますけれど。
それを見た私も驚いてしまいまして、淑女らしくない声を出してしまいましたわ。

「やぁ。朝から賑やかだね。クラヴィズにレティシア嬢。ちょっといいかな?」

 今まで、時が止まったかのように皆様私達に注目しておりましたけれど、近くにおられたのか、いつの間にか声を掛けられました。

「オルブライト様!」

「オルブライト?いきなりなんだ!」

 彼は、クラヴィズ様と同じ学年で、オルブライト=ライレリス様です。現国王陛下の妹君がお母様の、公爵令息で二男ですわ。この学院の憧れの的。私も秘かに素敵な方と思っておりました。
肩まで伸びた真っ直ぐな金の髪はサラサラで、顔も整っており男性なのが勿体ないくらい美しい人です。

 賑やか…うるさいって事ですよね。確かに目立っておりますもの。恥ずかしさはありますが、同時に大勢の方々が目撃者となってくださいますよね。

「クラヴィズ、今の言葉に二言は無いよね?大勢の生徒達が目撃者となるよ。レティシア嬢とは、婚約解消…いや、クラヴィズの最近の行動を見ていると婚約破棄でもおかしくないよね。」

 そう言って、オルブライト様は私の隣に立って下さいました。

「な、な、なにを言っている!?俺は、別れようと言っただけであって、婚約を止めるとは言っていない!」

 ん?どういう意味かしら?

「クラヴィズ?何を言っているのかよく分からないんだが説明してくれる?君は、さっきレティシア嬢に対し、別れようと言ったよね?それなのに婚約続行なのか?それって、虫が良すぎるんじゃないのかい?」

 オルブライト様も思わず、顔を顰めて言って下さいましたわ。それはそうですわよね。別れようってせっかく言って下さったのに、婚約解消しないなんて意味が分かりませんわ。

「そんな事ないさ!まだ、レティシアの卒業まであと一年半あるんだ。だから一度別れて、お互い経験を積み上げて、レティシアの卒業を機に結婚しようって事だ!」

 えと…経験ってどんな…?クラヴィズ様の言う経験って…?

 このライルヴィア国では、男女のお付き合いの人数は少なければ少ないほど紳士淑女とされております。それなのにそんなもの必要ですの?

「はっ!何をほざいている!?それはレティシア嬢に対する侮辱じゃないのか!?聞いたか諸君!これは紛れもなく、レティシア嬢に対する冒涜じゃないか?」

 そう、オルブライト様が周りの人々に向かって言うと、傍にいた人々がうんうんと頷いたり、近くの人と話したりし出した。
その呟きはやがて大きくなり、『そうよね、ありえないわ。』『別れるのにあと一年半待てって何?』『どういうつもりなのかしら?』など、オルブライト様に同意的な意見が聞こえてきた。

「な、な、な、何だと?何もおかしい事などないではないか!この侯爵令息である俺が、一年半後には結婚してやると言っているんだ!有難いと思う以外無いだろうが!!」

 ………いっそ清々しいほどの高圧的な態度ですわね。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】ちょっと待ってくれー!!彼女は俺の婚約者だ

山葵
恋愛
「まったくお前はいつも小言ばかり…男の俺を立てる事を知らないのか?俺がミスしそうなら黙ってフォローするのが婚約者のお前の務めだろう!?伯爵令嬢ごときが次期公爵の俺に嫁げるんだぞ!?ああーもう良い、お前との婚約は解消だ!」 「婚約破棄という事で宜しいですか?承りました」 学園の食堂で俺は婚約者シャロン・リバンナに婚約を解消すると言った。 シャロンは、困り俺に許しを請うだろうと思っての発言だった。 まさか了承するなんて…!!

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

夫は運命の相手ではありませんでした…もう関わりたくないので、私は喜んで離縁します─。

coco
恋愛
夫は、私の運命の相手ではなかった。 彼の本当の相手は…別に居るのだ。 もう夫に関わりたくないので、私は喜んで離縁します─。

〖完結〗私は旦那様には必要ないようですので国へ帰ります。

藍川みいな
恋愛
辺境伯のセバス・ブライト侯爵に嫁いだミーシャは優秀な聖女だった。セバスに嫁いで3年、セバスは愛人を次から次へと作り、やりたい放題だった。 そんなセバスに我慢の限界を迎え、離縁する事を決意したミーシャ。 私がいなければ、あなたはおしまいです。 国境を無事に守れていたのは、聖女ミーシャのおかげだった。ミーシャが守るのをやめた時、セバスは破滅する事になる…。 設定はゆるゆるです。 本編8話で完結になります。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

裏切りは許さない…今まで私を騙し利用していた夫を、捨てる事にしました─。

coco
恋愛
家を空け、仕事に勤しむ夫。 だが、そんな夫の裏切りを知る事になった私は─?

婚約破棄は十年前になされたでしょう?

こうやさい
恋愛
 王太子殿下は最愛の婚約者に向かい、求婚をした。  婚約者の返事は……。  「殿下ざまぁを書きたかったのにだんだんとかわいそうになってくる現象に名前をつけたい」「同情」「(ぽん)」的な話です(謎)。  ツンデレって冷静に考えるとうっとうしいだけって話かつまり。  本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

処理中です...