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20. 挨拶に来た侯爵令嬢
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アルフォンシーナは、ヴァルフレードとダンスを合計三曲も続けて踊ってしまった。本来であれば、踊る時には二曲までは同じパートナーと続けて踊る事もあるが、なかなか三曲も踊る人はいなかったのだ。
かといって、別に踊ってはいけないというルールもない。
(見せつけるにはちょうどいいか。)
ヴァルフレードはそんな風にさえ思っていた。
けれどさすがにお互い、少し休憩しようという事になり、ダンスフロアから壁際へと移動する。
ヴァルフレードが、近くの給仕にドリンクの入ったグラスを取りに行った僅かな時であった。
「ちょっと!そこのあなた!誰なの!?」
(え?ええと…なぜ、自分の名前も名乗らないのに、私に聞いてくるのかしら。私からしたら、自己紹介せずにいきなり話し掛けてくるあなたこそ誰?と聞きたいけれど、そういう雰囲気でもないわね。)
いきなり話し掛けてきた、黄色い髪をクルクルと縦に巻いた、自分と同じ程の背丈の少女を見やるアルフォンシーナ。しかし、やはり睨むように見た為に、いきなり話し掛けた少女は若干負けそうになるが尚も勇んで話し掛けてくる。
「ちょっと、聞いてる!?私はね、モデスタよ!つい最近、ジョイア侯爵家の養女となったのよ!知らなかったけど、父ちゃ…じゃなかったわ!お父様が侯爵様だったの!どう?すごいでしょ!!」
どうだ!と言わんばかりに手に腰を充てて話し掛けてくるモデスタは、聞いてもいないのに自分の境遇を話してきた。
(自己紹介、しているつもりなのかしら。)
つい最近、養女になったからこの子を学校で見た事が無かったのだと思い、自己紹介されたのならとアルフォンシーナも自分の名前を告げる。
「…私は、アルフォンシーナ=ソルディーニです。」
「ソルディーニ?えーと、爵位は?」
(養女になったのよね?社交界に出られるのに、勉強されていないのかしら。)
「伯爵家ですが、何か?」
「はっ!伯爵家ね!だったら、侯爵家の私の方が地位は上よ!あなた、どうしてヴァルフレード様と一緒にいるのよ!私がヴァルフレード様の隣に居るはずなのに!!」
(…?意味が分からないわ。)
「ごめんなさい。あなたのおっしゃる意味が分かりませんわ。説明して下さる?」
「なによその言い方!貴族の言葉って面倒よね!もっと分かりやすく言いなさいよ!だから!私、ヴァルフレード様と結婚するの!」
「…え?」
「ヴァルフレード様は今まで、誰のエスコートもしていなかったと聞くわ!それなのに、今日あんたを連れてるんだもの。どうせ、あんたが誑かしたんでしょ!?私のがほら、いい女なんだし、侯爵家で釣り合いも取れるもの。今日の所は許してあげるわ!だから、その代わりヴァルフレード様に私を紹介しなさい!え?その翠色の宝石…有名なやつでしょ!?軍人様になる方が多いアンドレイニ家に伝わる、馬の尻尾のような針状に見える煌めきがあるやつ!なんであんたが付けてるの!?奪ったの!?私にちょうだいよ!!」
(…うーん、どう突っ込んだらいいのか分からないわ。)
アルフォンシーナは、言葉が通じないこの勢い勇んで一方的にまくし立てるこのモデスタをどう扱おうか困っていた。
(紹介してどうするのよ。結婚?ヴァルフレードと?
ジョイア侯爵家って、確かご子息がお一人いらした気がしたのだけれど、どうされたのかしら?)
「何をしている」
グラスを持ったヴァルフレードが、モデスタの後ろから声を掛ける。聞いた事のないような冷たい一段とトーンを落としたヴァルフレードの声に、一瞬アルフォンシーナは誰だか分からなかった。
「きゃあ!ヴァルフレード様!!」
途端に、モデスタは甲高い声を上げ、両手を胸の前で組んでヴァルフレードの顔を見上げている。
「誰だ。何をしていた。」
再び、ヴァルフレードのその声に、アルフォンシーナは答えようとしたが視線はモデスタを射抜かんばかりに睨んでいるし、口を開こうかと思ったが、その前にモデスタが話し出した。
「ヴァルフレード様!!覚えています?私、モデスタです!ほら、数年前ですが王都で、助けていただいた!」
「知らん。どけ。邪魔だ。」
モデスタは、ヴァルフレードが国防軍に入り始めの頃は地方の見回りをしたり、王都の見回りを順番にしていた。その時の事を言っているのだろうとヴァルフレードは思ったが、毎日の事であるし、数年前にたった一度助けた民の事など一々覚えてはいなかった。
元々、ヴァルフレードは国防軍に入っている事もあり体躯がかなり大きいのだ。いつもはにこやかな笑みを浮かべている為に怖がられてはいないが、今はその笑顔はない。周りに居るものでさえ、恐ろしいと感じて、その場をどう抑えようかと手出し出来ずにいた。
しかし、勇敢というか鈍感なのか、モデスタはここぞとばかりにヴァルフレードへと会話を繰り広げる。
「そんな!私、ヴァルフレード様と結婚したいのです!私、今までは庶民として市井で暮らしていたけど、侯爵家に養女に入ったの!知らなかったけどお父様が侯爵様だったのよ。だから、伯爵家のその女より、私の方が釣り合いが取れるし、ヴァルフレード様も嬉しいでしょ?」
「…なんだと?」
「ふ、フレード!もういいわ。あっちで飲みましょう。取って来てくれてありがとう。ね?」
アルフォンシーナは怖いと思ったが、自分が収めなければきっとこの場は収まらないと思い、そう促した。だが、ヴァルフレードにすれば、愛する人を貶されたように聞こえ、聞き捨てならないと一層殺気立った。
「ちょっと!せっかくヴァルフレード様と話せているのに、逃げるの?独占しないでよ、私だってヴァルフレード様と話したいわ。せっかく、同じ立場になれたのだもの!!」
「おい、さっきから…」
「やぁやぁ!えーと、君、モデスタ嬢?ちょっといいかな。あっちに行こうか!」
これ以上はヤバいと周りの者達はさすがに動き出す。
軽い感じで割り込んできたのは、サムエレだ。ブルニルタも隣にいた。
「そうね、モデスタさん。こっちにいらして?」
「だ、誰よあんた達!?」
「いいからいう事聞きなさい!あなたの未来はすでに無いに等しいのよ!」
ブルニルタがモデスタの腕を持ったと同時に耳元でこっそりとそう話す。
「ど、どういう事よ!聞いてた?私、やっとヴァルフレード様と話せたのに」
「いいから!ちょっと別室に来なさい。ジョイア侯爵家ももう終わりね。」
「え?どういう事よ!」
「うるさいわね、黙りなさい!」
ブルニルタは耳元で話すのに対し、モデスタはぎゃんぎゃんと話している。とりあえず、別室へと無理矢理腕を引っ張って連れていった。
「やぁ、アルフォンシーナ。びっくりしただろう?まぁ、余興と思ってあとはヴァルフレードと仲良くやりたまえ。では!
あ、ヴァルフレード殿。可愛い我が義妹を怖がらせないようにね!」
サムエレは余興という言葉をわざと大きな声で周りにも聞こえるように言って、ブルニルタの方へと急いで追っかけていった。
「…ごめん。怖がらせてしまったか。」
「え、いえ…はい。」
ヴァルフレードは、サムエレにそう言われてはっと我に返り、尻尾が下がった子犬のようにアルフォンシーナへと問いかける。その声は、とても弱々しかった。
自分に向けられていないとは思っても、刺すようにモデスタを見つめていたので、アルフォンシーナは怖かったのも事実だ。けれど、それも自分の為にやってくれたのだろうとアルフォンシーナは優しい声を出す。
「ヴァルフレード、先ほども言ったけれど、飲み物ありがとう。外で飲みたいわ。」
「あぁ。」
先ほどまでの張り詰めたような雰囲気とは打って変わり、アルフォンシーナがヴァルフレードの腕へと手を添えた事で、一気に甘い雰囲気を纏った二人は、二人の世界へと消えていった。
かといって、別に踊ってはいけないというルールもない。
(見せつけるにはちょうどいいか。)
ヴァルフレードはそんな風にさえ思っていた。
けれどさすがにお互い、少し休憩しようという事になり、ダンスフロアから壁際へと移動する。
ヴァルフレードが、近くの給仕にドリンクの入ったグラスを取りに行った僅かな時であった。
「ちょっと!そこのあなた!誰なの!?」
(え?ええと…なぜ、自分の名前も名乗らないのに、私に聞いてくるのかしら。私からしたら、自己紹介せずにいきなり話し掛けてくるあなたこそ誰?と聞きたいけれど、そういう雰囲気でもないわね。)
いきなり話し掛けてきた、黄色い髪をクルクルと縦に巻いた、自分と同じ程の背丈の少女を見やるアルフォンシーナ。しかし、やはり睨むように見た為に、いきなり話し掛けた少女は若干負けそうになるが尚も勇んで話し掛けてくる。
「ちょっと、聞いてる!?私はね、モデスタよ!つい最近、ジョイア侯爵家の養女となったのよ!知らなかったけど、父ちゃ…じゃなかったわ!お父様が侯爵様だったの!どう?すごいでしょ!!」
どうだ!と言わんばかりに手に腰を充てて話し掛けてくるモデスタは、聞いてもいないのに自分の境遇を話してきた。
(自己紹介、しているつもりなのかしら。)
つい最近、養女になったからこの子を学校で見た事が無かったのだと思い、自己紹介されたのならとアルフォンシーナも自分の名前を告げる。
「…私は、アルフォンシーナ=ソルディーニです。」
「ソルディーニ?えーと、爵位は?」
(養女になったのよね?社交界に出られるのに、勉強されていないのかしら。)
「伯爵家ですが、何か?」
「はっ!伯爵家ね!だったら、侯爵家の私の方が地位は上よ!あなた、どうしてヴァルフレード様と一緒にいるのよ!私がヴァルフレード様の隣に居るはずなのに!!」
(…?意味が分からないわ。)
「ごめんなさい。あなたのおっしゃる意味が分かりませんわ。説明して下さる?」
「なによその言い方!貴族の言葉って面倒よね!もっと分かりやすく言いなさいよ!だから!私、ヴァルフレード様と結婚するの!」
「…え?」
「ヴァルフレード様は今まで、誰のエスコートもしていなかったと聞くわ!それなのに、今日あんたを連れてるんだもの。どうせ、あんたが誑かしたんでしょ!?私のがほら、いい女なんだし、侯爵家で釣り合いも取れるもの。今日の所は許してあげるわ!だから、その代わりヴァルフレード様に私を紹介しなさい!え?その翠色の宝石…有名なやつでしょ!?軍人様になる方が多いアンドレイニ家に伝わる、馬の尻尾のような針状に見える煌めきがあるやつ!なんであんたが付けてるの!?奪ったの!?私にちょうだいよ!!」
(…うーん、どう突っ込んだらいいのか分からないわ。)
アルフォンシーナは、言葉が通じないこの勢い勇んで一方的にまくし立てるこのモデスタをどう扱おうか困っていた。
(紹介してどうするのよ。結婚?ヴァルフレードと?
ジョイア侯爵家って、確かご子息がお一人いらした気がしたのだけれど、どうされたのかしら?)
「何をしている」
グラスを持ったヴァルフレードが、モデスタの後ろから声を掛ける。聞いた事のないような冷たい一段とトーンを落としたヴァルフレードの声に、一瞬アルフォンシーナは誰だか分からなかった。
「きゃあ!ヴァルフレード様!!」
途端に、モデスタは甲高い声を上げ、両手を胸の前で組んでヴァルフレードの顔を見上げている。
「誰だ。何をしていた。」
再び、ヴァルフレードのその声に、アルフォンシーナは答えようとしたが視線はモデスタを射抜かんばかりに睨んでいるし、口を開こうかと思ったが、その前にモデスタが話し出した。
「ヴァルフレード様!!覚えています?私、モデスタです!ほら、数年前ですが王都で、助けていただいた!」
「知らん。どけ。邪魔だ。」
モデスタは、ヴァルフレードが国防軍に入り始めの頃は地方の見回りをしたり、王都の見回りを順番にしていた。その時の事を言っているのだろうとヴァルフレードは思ったが、毎日の事であるし、数年前にたった一度助けた民の事など一々覚えてはいなかった。
元々、ヴァルフレードは国防軍に入っている事もあり体躯がかなり大きいのだ。いつもはにこやかな笑みを浮かべている為に怖がられてはいないが、今はその笑顔はない。周りに居るものでさえ、恐ろしいと感じて、その場をどう抑えようかと手出し出来ずにいた。
しかし、勇敢というか鈍感なのか、モデスタはここぞとばかりにヴァルフレードへと会話を繰り広げる。
「そんな!私、ヴァルフレード様と結婚したいのです!私、今までは庶民として市井で暮らしていたけど、侯爵家に養女に入ったの!知らなかったけどお父様が侯爵様だったのよ。だから、伯爵家のその女より、私の方が釣り合いが取れるし、ヴァルフレード様も嬉しいでしょ?」
「…なんだと?」
「ふ、フレード!もういいわ。あっちで飲みましょう。取って来てくれてありがとう。ね?」
アルフォンシーナは怖いと思ったが、自分が収めなければきっとこの場は収まらないと思い、そう促した。だが、ヴァルフレードにすれば、愛する人を貶されたように聞こえ、聞き捨てならないと一層殺気立った。
「ちょっと!せっかくヴァルフレード様と話せているのに、逃げるの?独占しないでよ、私だってヴァルフレード様と話したいわ。せっかく、同じ立場になれたのだもの!!」
「おい、さっきから…」
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「そうね、モデスタさん。こっちにいらして?」
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「いいからいう事聞きなさい!あなたの未来はすでに無いに等しいのよ!」
ブルニルタがモデスタの腕を持ったと同時に耳元でこっそりとそう話す。
「ど、どういう事よ!聞いてた?私、やっとヴァルフレード様と話せたのに」
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「…ごめん。怖がらせてしまったか。」
「え、いえ…はい。」
ヴァルフレードは、サムエレにそう言われてはっと我に返り、尻尾が下がった子犬のようにアルフォンシーナへと問いかける。その声は、とても弱々しかった。
自分に向けられていないとは思っても、刺すようにモデスタを見つめていたので、アルフォンシーナは怖かったのも事実だ。けれど、それも自分の為にやってくれたのだろうとアルフォンシーナは優しい声を出す。
「ヴァルフレード、先ほども言ったけれど、飲み物ありがとう。外で飲みたいわ。」
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