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私、宇野更紗。中学一年。
私の中学では、市の二つの小学校区から通っている。
小学校では部活が無かったけれど、中学になって初めて、部活に入った。
体を動かす事が好きだったけれど、私は部活説明会の時に聞いた、吹奏楽部の演奏に感動し、吹奏楽部に入部した。
吹奏楽部は、文化部ではあるけれど一曲演奏するのにかなりの体力がいるみたいで入部したての一ヶ月はずっと校外を走っていた。
幸いにも私は、他の子よりも体力があるようでだいぶ余裕を持って走る事が出来た。
でもただ走るだけでは、なかなか時間が過ぎないしつまらなかった。
だからと言って、部員と話をしながら走るのも怒られてしまう。
だから、他の部活を見ながら走る事にした。
吹奏楽部が走るのは、学校の外周。
走る間、サッカー部に野球部、テニス部とバレー部が見える。
他の部活の新入部員は、初めの二週間ほどは一緒に校外を走っていたのに、いつの間にか先輩達に混じって練習をし出していた。
(いいなぁ。私も早く楽器に触りたいなぁ………。)
そう思いながら走っていると、野球のボールが校外へと転がってきていた。
(あ。無くなると良くないよね。)
私は、そのボールを取ろうとすると、野球部のユニホームを着た人が学校のフェンス越しにこちらを見て声を掛けて来た。
「お、ありがとう!ここから通してくれる?」
そう指を指して言った場所は、なるほど下の方に野球ボールが入る位の小さな穴が空いていた。
ここに穴が空いているから出ていくんじゃないかしら?と思ったけれど、とりあえずそこからボールを押し込んだ。
「どうぞ。」
「ありがとう!助かったよ。」
そう言って、笑顔を見せ帽子を取りペコリとお辞儀をしてくれた姿がとても格好良く見えた。
(背が高く、ユニホームを着ていたから二年生か三年生だわ。)
私達一年生はまだ体育用ジャージを着て練習しているから。
それから私は、野球部の所を通るとまたボールが無いか探すようになった。その先輩がいないかと、探すようになった。
でもそう簡単には、ボールが校外に出ている事はなかった。
ボールがあっても、野球部員がこちらを見てはいなくて。
わざわざ声を掛けるのも恥ずかしくて、ボールを見つけた時はフェンスの穴からグランドへと押し込むだけに留めた。
先輩がいると、走る姿も少しだけ気合いを入れてみたりした。見られているわけは無いのに。
そうして一ヶ月が過ぎ、やっと走るだけの部活から、自分が選んだ楽器のパート毎に分かれて練習する日々へと変わった。
(嬉しいけれど、もうボールを野球部へと返す事もなくなったわ。)
あの日話した先輩を、走りながら見つけた日もあった。だけれど、私達はこれからは教室で練習。近くではもう見れない。
私の中学では、市の二つの小学校区から通っている。
小学校では部活が無かったけれど、中学になって初めて、部活に入った。
体を動かす事が好きだったけれど、私は部活説明会の時に聞いた、吹奏楽部の演奏に感動し、吹奏楽部に入部した。
吹奏楽部は、文化部ではあるけれど一曲演奏するのにかなりの体力がいるみたいで入部したての一ヶ月はずっと校外を走っていた。
幸いにも私は、他の子よりも体力があるようでだいぶ余裕を持って走る事が出来た。
でもただ走るだけでは、なかなか時間が過ぎないしつまらなかった。
だからと言って、部員と話をしながら走るのも怒られてしまう。
だから、他の部活を見ながら走る事にした。
吹奏楽部が走るのは、学校の外周。
走る間、サッカー部に野球部、テニス部とバレー部が見える。
他の部活の新入部員は、初めの二週間ほどは一緒に校外を走っていたのに、いつの間にか先輩達に混じって練習をし出していた。
(いいなぁ。私も早く楽器に触りたいなぁ………。)
そう思いながら走っていると、野球のボールが校外へと転がってきていた。
(あ。無くなると良くないよね。)
私は、そのボールを取ろうとすると、野球部のユニホームを着た人が学校のフェンス越しにこちらを見て声を掛けて来た。
「お、ありがとう!ここから通してくれる?」
そう指を指して言った場所は、なるほど下の方に野球ボールが入る位の小さな穴が空いていた。
ここに穴が空いているから出ていくんじゃないかしら?と思ったけれど、とりあえずそこからボールを押し込んだ。
「どうぞ。」
「ありがとう!助かったよ。」
そう言って、笑顔を見せ帽子を取りペコリとお辞儀をしてくれた姿がとても格好良く見えた。
(背が高く、ユニホームを着ていたから二年生か三年生だわ。)
私達一年生はまだ体育用ジャージを着て練習しているから。
それから私は、野球部の所を通るとまたボールが無いか探すようになった。その先輩がいないかと、探すようになった。
でもそう簡単には、ボールが校外に出ている事はなかった。
ボールがあっても、野球部員がこちらを見てはいなくて。
わざわざ声を掛けるのも恥ずかしくて、ボールを見つけた時はフェンスの穴からグランドへと押し込むだけに留めた。
先輩がいると、走る姿も少しだけ気合いを入れてみたりした。見られているわけは無いのに。
そうして一ヶ月が過ぎ、やっと走るだけの部活から、自分が選んだ楽器のパート毎に分かれて練習する日々へと変わった。
(嬉しいけれど、もうボールを野球部へと返す事もなくなったわ。)
あの日話した先輩を、走りながら見つけた日もあった。だけれど、私達はこれからは教室で練習。近くではもう見れない。
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