【完結】私には何の力もないけれど、祈るわ。〜兄様のお力のおかけです〜

まりぃべる

文字の大きさ
13 / 51

13. フォルヒデン領地での一コマ

しおりを挟む
「フォルヒデン領で生活出来て、本当に光栄だよな!」

「あぁ。フォルヒデン領は、本当にからな!」

「ナタリア様…じゃなくてピオトルが生まれて三年ほどしてからは、この領地では水害も大きな被害受けてないもんな。」

「おいおい…誰が聞いているか分からんぞ?今は、イノリコになったんだ。ピオトルって呼ばないと…ま、誰も聞いてはいないか!そうだよなぁ。水不足で、穀物が枯れそうになった時も、なぜか少しだけ小雨が降って潤い、飢饉を免れたもんな!」



ーーー
ーー





「あ、ナタリア様-!」

「遊びましょー!」

「ええ!キルス、コルス、遊びましょう!」

 今日、私は久し振りにフォルヒデンの農家を渡り歩いていた。
以前は、ピオトル兄様と来たりもしていたけれど、もうピオトル兄様はいない。

 だから、侍女のジャネタと一緒に。


 今日は、小麦農家に来た。


 ここの小麦農家は、私より一つ年下の双子の女の子のキルスとコルス、二歳になる弟のオルバーがいる。
その子供達と遊ぶ為に来た、というのが正解だけれど、以前ダミアン兄様が〝領民の声は宝の声だ。全て聞く事は出来ないかもしれないが、要望は知っていて損は無い。だから、領民の家へ遊びに行くのも、ナタリアの立派な仕事だよ。もちろん、邪魔をしてはいけないよ。〟と言っていたの。
だから、私はをしに来たのよ。



「え?井戸が枯れた!?」

「うん、今日の朝からなの。だって、水が無いの。」

「そう、ポンプをやっても、前みたいにたくさん出て来ないの。」

「それは大変!ちょっと様子を見せて?どこの井戸-?」

「あっちだよ、案内するー!」

「私もー!」



「これ?」

「うん。今、ポンプ、やってみるね。」

 そう言って、双子の女の子が代わる代わるポンプを上下に動かしてくれたが、確かに水が少なく、ポタポタと滴り落ちる位しか出て来ない。

「本当だわ…。お父様に報告するわね。」

「うん、お願いします!」
「お願いします!」

(井戸、どうしちゃったのかしら…。お水、前みたいにちゃんと出るようになりますように。そうしたら、領民の人達も困らなくていいもの。)



「あ!ナタリア様だー!お姉ちゃーん!」

「あ、オルバーよ!」

「危ないから走ってはダメよ!」

 オルバーは、ちょっと前に歩き始め、今ではいろんな所へ動きたくてしょうがない感じ。

「あ!」
「危ない!」
「わ!」

 こちらへ駆け出したオルバーは、皆で心配した通り、盛大に転んで両膝と両腕を擦りむいてしまった。

「わーーん!!痛いよーー!!」

 血を流しながら泣くオルバーは、小さい体であるから余計に痛々しい。

「井戸で洗おう。」
「おいで、オルバ-。」

 そう言っても、そこからどうにか立ち上がったけれど一向に動く気配の無いオルバ-。
きっと痛いのね。
私がそっと駆け寄って、手を握った。

「痛いよね。向こうで洗いましょう?でも、お姉ちゃん達が走らないで、って言ったのですから、ちゃんと聞きましょうね?」

 泣きながら首を上下に動かしたオルバー。

(痛そう…。血がたくさん出てるし。井戸で洗うと言っても、水で洗い流せるほど出ないわ…。早く痛みが引きますように。血が止まりますように。)

 私がそう思った時。
それまで、ギャンギャンと泣いていたオルバーがいきなり泣くのを止め、井戸の方へ走ったので私達はどうしたのかと思ったけれどまた、注意した。

「オルバ-、どうしたの?ここまで来たのは偉いけど、走ってはダメよ?」

「うん。でも、痛くない。」

「あら、偉いのね。我慢して偉いよ、オルバ-。」

「我慢して無いよ、痛くない!」

 見ると、確かにダラダラと出ていた血が、出ていない。

「…?まぁ、よかったわね。」
「そうね、痛くないのは良いことね。さ、洗いましょ。」

「あ、水、出たー!」
「本当だ!詰まってたのかな?」

 井戸のポンプを、もう一度双子が動かしてみると、先ほどの出来事が嘘みたいに、少しすると何故かジャージャーと音がするほど、水が溢れ出て来た。

(本当に。すぐ血が止まってよかったわね。水も、出るようになってよかったわ。一応、お父様に報告しておきましょう。)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。

三月べに
恋愛
 聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。  帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!  衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?  何故、逆ハーが出来上がったの?

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

処理中です...