【完結】私には何の力もないけれど、祈るわ。〜兄様のお力のおかけです〜

まりぃべる

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36. 二人の男たちの画策 別視点

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【フォルヒデン=ヤロスワフ視点】


 スワヴォミル国王陛下からの返事は、とても驚かされる事が書かれていた。

 
 しかも、アリツィア王女がどうしても一度、ピオトルの実家である、うちフォルヒデン領に来たいと言っているらしい。育った場所が見たいのだと。だから、一ヶ月後に訪れると書かれていた。


 なぜだ!?なぜうちに来たいのだ!?


 ナタリアに会われでもして、何か勘づかれたら…!ナタリアがイノリコとして、連れて行かれたら…!!


 これはもう、ウカーシュ様に婚約を早めてもらうしかないな。ダミアンともそう話し合った。
早馬を送ることにしよう。


 よくよく調べてみると、なにも、うちの領地だけが毎年豊作ではなかった。
他の領地でも、豊作ではないものの、水不足の年も不思議と作物が取れていた領地があった。
きっと、そこにも隠れたイノリコがいるのかもしれない。

 ザルーツ国の歴史書物も調べてみると、過去にも、そんな領地があった。

 イノリコになりたいものがいる一方で、なりたくない者も少なからずいるのだろうと思っている。豪華な衣食住はあるとは言え、ほとんど一生イノリバから出られないらしいのだ。

 だから、今でもなりたいというイノリコがいるのだからこれ以上、無理矢理増やさないだろうとは思うものの、何か言われでもしたら躱す自信が…ない!


 ナタリアを手放すのは淋しいが、ナタリアの幸せの為だ。ウカーシュ様、あとは何卒よろしくお願いします。







【ウカーシュ=チェルウィンスキー視点】


 俺は、今は騎士団の第二騎士団長だ。
第一騎士団は主に王宮内部の護衛が仕事。
第二騎士団は主に王族の護衛が仕事。
第三騎士団は王都の治安維持が仕事。
第四騎士団は地方の治安維持が仕事。

 二十一歳で第二騎士団長なんて、この若造がと思っている奴もいると思うが、基本的に実力主義の世界であるから、それだけ必死にやってきた成果だと思っている。

 俺は十歳の頃から騎士見習いとして入団し、途中、国立学院入学の為に休みの日しか参加は出来なかったが、卒業してからはまた騎士として働いている。
いつかは、チェルウィンスキー侯爵として家督を譲り受け、領主としてやっていかなければならないが、あと二、三年は騎士団に所属していようと思っていた。




 が、長年気にしていた命の恩人のナタリアに会うとそうでもいかなくなった。

 運命が動き出した、とでもいうのだろうか。

 彼女は、ザルーツ国では貴重な存在である〝イノリコ〟のような不思議な力があるのだという。
いや、はっきりとは言われていない。だが、口振りからしてそうだろう。

 そして、それを抜きにしても彼女の人柄に触れ、護りたいと思ってしまった。
きっと彼女は、ザルーツ国にいたらいつかはイノリコとして存在が露見してしまうだろう。

 それならば、俺と結婚してしまえばコンガレン国の侯爵夫人となる。ザルーツ国としても手出しは出来なくなるだろう。

 少し、いやかなり打算的ではあるかもしれないが彼女を護る事にも繋がるだろう。
ヤロスワフ伯爵からも、急いではもらえないかとも言われたのだ。


 俺は、両親に全てを話した。


 両親ともに、俺が伴侶を決めてくれたのであれば文句は言わないと言ってくれた。むしろ味方として、全面的に協力してくれるとも。

 彼女を護る為には、騎士団に所属しているよりも、侯爵として名を馳せた方がいいのではないかと父に相談すると、快諾してくれた。仕事に慣れる為に直ぐには隠居せず、傍で手伝ってくれるらしい。

 両親は跡取りの俺が騎士団へ入団するのを渋っていたから、早く俺が騎士団を辞める事を考えたのは渡りに舟だったのだと思う。

 まだ騎士を続けたかった気持ちがないわけではないが、ナタリアの事を思えば何の事はない。

 ザルーツ国から何か言われそうになっても、侯爵夫人だからと口出し出来ないように早く実績を残さなければな。
何も言われないならその方がいいに越した事はないが。

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