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45. 絶対君主制と立憲君主制 クラウゼリッヒ視点
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私は、一介の宰相だ。
ザルーツ国は、代々国王が政治を主に行い、大臣達に報告会で決定事項の指示を出していた絶対君主制だった。
それを、スワヴォミル国王が、『国王の権力は憲法により制限させたい。大臣達が議会で政治を動かす立憲君主制へ変えたい』と言い出した。
「理由は…分かるだろう。アリツィアだよ。」
ため息を深々と付きながらスワヴォミル国王は私に向かって言った。最近、国王はため息を付く数が増えている。理由なんて分かりきっている。そう、アリツィア王女とピオトルのせいだ。
「スワヴォミル国王…。」
アリツィア王女は、あの常識知らずのイノリコのピオトルに初めて会った日から虜になってしまったようだ。
初対面での馬車の中では本当に驚くべき発言をしていたピオトル。いつ話に入ろうかと思い悩んでおったわ。
エヘンと咳払いをすれば体調を心配され、祈ってやるとまで言われた。まぁ、性根は優しいのかもしれんが。
今まで自分の周りには居なかったタイプだからなのか、アリツィア王女がのめり込むのは直ぐだった。
イノリコの力も、本当にあるのかと思う程、気まぐれにしか発揮しないらしい。まぁ、アリツィア王女のわがままがピオトルのおかけで昔に比べて減ったというのも事実であるから、ピオトルはアリツィア王女と出会うべくして出会ったのだろう。
「どうだ?それならば、アリツィアが跡を継いでも構わんだろう?」
「その場合、アリツィア女王陛下と?」
「そうなるな。」
「フランチシェク様は…?」
「それを聞くか。分かっておるくせに。」
そう。
スワヴォミル国王には、王子がいる。だから、王子がスワヴォミル国王の跡を継げばいい。
…そう思うのだが、王子であるフランチシェク様は、東隣の国のスバトゥース国の公爵令嬢と恋仲であるのだ。そして、その公爵令嬢は長女。スバトゥース国は、長子が跡を継ぐ国だ。例外は、その子が亡くなった時か、仕事が出来ない程病弱であった時のみ。つまり、今回は例外に当たらない。
「アリツィアが、イノリコのピオトルと恋仲なら、国は安泰ではないか!」
フランチシェク様は、そう仰っていた。
アリツィア様も、
「ピオトルと一緒にいられるのなら、何でも良いわよ。」
と。
ただ、アリツィア様も、ピオトルのおかげで、なんとか勉強にも励んでいるものの為政者となるまでにはまだまだ。どんなに教育しても、人格が変わらないとそこまでの域に達するのは無理であろう事は、この王宮に勤めている人間なら誰しもが思っているはず。
だから、スワヴォミル国王が自らそんな事を言い出した分だけ、国は救われるのかもしれない。
「とりあえず、今度の報告会で提案してみますか。でも、スワヴォミル国王が仰れば鶴のひと声で決められるのでしょうに。」
「まぁそうなのだがな。賛同し、憲法を作り、実際に動いてくれる奴がいないとお前も困るだろう?一人では。」
「え?ま、まぁ。それは確かに。」
私一人では確かに無理だ…。憲法を作るなんて、並大抵の事ではないのだ。
「他国では、そのように民衆が政治をしている国も増えてきたとか。見習って、我が国もそうしていけるのなら安心して死ねるわい。」
「スワヴォミル国王…。」
「我は、どこを間違えたのだろうな…。王族には、国を守るべき責務があるだろうに。」
「………。」
私は、スワヴォミル国王になんてお言葉を掛けて差し上げたらいいのだろう。
フランチシェク様もアリツィア様も、全く勉強をされていないわけではなかった。それなりにやっていたとは思う。
…ただ、好きな人が出来た。恋に落ちてしまった。それだけといえばそれだけなのだ。
まぁ、でもこれで、我が国の行く末も、希望の光が見えたのかもしれない。スワヴォミル国王も、ため息が減るといいのだが。
「…きっと、可愛いお孫様の顔が拝見出来ますよ。」
「そうだな。それを糧に生きていくとするか。」
「まだまだお元気で在られるのですから、すぐに立憲君主制にされなくてもいいと思います。」
「まだ我に働けと申すか。」
「私はまだまだ現役ですよ。そう大して年齢も違いませんでしょうに。」
「まぁ、それもそうだな!だがまぁ、立憲君主制は伝えよう。輝く未来の為にな。」
「承知いたしました。スワヴォミル国王もご一緒に、憲法を作りますからね!」
少し、スワヴォミル国王の元気が戻って良かった。まだまだ、スワヴォミル国王現役で頑張って下さいよ。
ザルーツ国は、代々国王が政治を主に行い、大臣達に報告会で決定事項の指示を出していた絶対君主制だった。
それを、スワヴォミル国王が、『国王の権力は憲法により制限させたい。大臣達が議会で政治を動かす立憲君主制へ変えたい』と言い出した。
「理由は…分かるだろう。アリツィアだよ。」
ため息を深々と付きながらスワヴォミル国王は私に向かって言った。最近、国王はため息を付く数が増えている。理由なんて分かりきっている。そう、アリツィア王女とピオトルのせいだ。
「スワヴォミル国王…。」
アリツィア王女は、あの常識知らずのイノリコのピオトルに初めて会った日から虜になってしまったようだ。
初対面での馬車の中では本当に驚くべき発言をしていたピオトル。いつ話に入ろうかと思い悩んでおったわ。
エヘンと咳払いをすれば体調を心配され、祈ってやるとまで言われた。まぁ、性根は優しいのかもしれんが。
今まで自分の周りには居なかったタイプだからなのか、アリツィア王女がのめり込むのは直ぐだった。
イノリコの力も、本当にあるのかと思う程、気まぐれにしか発揮しないらしい。まぁ、アリツィア王女のわがままがピオトルのおかけで昔に比べて減ったというのも事実であるから、ピオトルはアリツィア王女と出会うべくして出会ったのだろう。
「どうだ?それならば、アリツィアが跡を継いでも構わんだろう?」
「その場合、アリツィア女王陛下と?」
「そうなるな。」
「フランチシェク様は…?」
「それを聞くか。分かっておるくせに。」
そう。
スワヴォミル国王には、王子がいる。だから、王子がスワヴォミル国王の跡を継げばいい。
…そう思うのだが、王子であるフランチシェク様は、東隣の国のスバトゥース国の公爵令嬢と恋仲であるのだ。そして、その公爵令嬢は長女。スバトゥース国は、長子が跡を継ぐ国だ。例外は、その子が亡くなった時か、仕事が出来ない程病弱であった時のみ。つまり、今回は例外に当たらない。
「アリツィアが、イノリコのピオトルと恋仲なら、国は安泰ではないか!」
フランチシェク様は、そう仰っていた。
アリツィア様も、
「ピオトルと一緒にいられるのなら、何でも良いわよ。」
と。
ただ、アリツィア様も、ピオトルのおかげで、なんとか勉強にも励んでいるものの為政者となるまでにはまだまだ。どんなに教育しても、人格が変わらないとそこまでの域に達するのは無理であろう事は、この王宮に勤めている人間なら誰しもが思っているはず。
だから、スワヴォミル国王が自らそんな事を言い出した分だけ、国は救われるのかもしれない。
「とりあえず、今度の報告会で提案してみますか。でも、スワヴォミル国王が仰れば鶴のひと声で決められるのでしょうに。」
「まぁそうなのだがな。賛同し、憲法を作り、実際に動いてくれる奴がいないとお前も困るだろう?一人では。」
「え?ま、まぁ。それは確かに。」
私一人では確かに無理だ…。憲法を作るなんて、並大抵の事ではないのだ。
「他国では、そのように民衆が政治をしている国も増えてきたとか。見習って、我が国もそうしていけるのなら安心して死ねるわい。」
「スワヴォミル国王…。」
「我は、どこを間違えたのだろうな…。王族には、国を守るべき責務があるだろうに。」
「………。」
私は、スワヴォミル国王になんてお言葉を掛けて差し上げたらいいのだろう。
フランチシェク様もアリツィア様も、全く勉強をされていないわけではなかった。それなりにやっていたとは思う。
…ただ、好きな人が出来た。恋に落ちてしまった。それだけといえばそれだけなのだ。
まぁ、でもこれで、我が国の行く末も、希望の光が見えたのかもしれない。スワヴォミル国王も、ため息が減るといいのだが。
「…きっと、可愛いお孫様の顔が拝見出来ますよ。」
「そうだな。それを糧に生きていくとするか。」
「まだまだお元気で在られるのですから、すぐに立憲君主制にされなくてもいいと思います。」
「まだ我に働けと申すか。」
「私はまだまだ現役ですよ。そう大して年齢も違いませんでしょうに。」
「まぁ、それもそうだな!だがまぁ、立憲君主制は伝えよう。輝く未来の為にな。」
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