【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。

まりぃべる

文字の大きさ
30 / 35

30. 学院生活

しおりを挟む
 それから。
 
 お互いの気持ちをぶつけたライラスとシャーロテは以前にも増して仲良くなった。
朝、今までは教室へ来るとクラーラとシャーロテで話をしていたのだが、ライラスがシャーロテと話し出してしまう。なので、留学は期限があり一緒に過ごすのもあと少しだから仕方ないわね、と譲った。
 ではクラーラは一人でいるのかといえばそうではなく、ラグンフリズがクラーラの元へ話しにいっていた。なので少しずつ生徒の中で、クラーラとラグンフリズも、いい仲なのではないかと思う人が出てきた。
 だからと言ってクラーラにあからさまに言葉を浴びせたり、嫌がらせをしてくる人はいなかった。ラグンフリズの表情が、クラーラと一緒にいる時だけとても柔らかく、優しくなるので一目瞭然だったからだ。



「もう行ってしまわれるのね。」

「あぁ。僕も淋しいよ。でもねシャーロテ、すぐに戻ってくるから。」

「あら、どうして?」

「僕、両親にシャーロテと結婚させてと報告してくるんだ。その後、シャーロテの両親に挨拶をしないといけないだろう?だからだよ。」

「そんな事言って…本当に戻ってくる?一時の戯れなんて事、無いわよね?私に会いに来てくれる?」

「当たり前だよ、シャーロテ。永遠の愛に決まっているじゃないか。あぁ、早く婚約を結びたいよ。今のままじゃぁシャーロテに触れる事も出来ない。」

「まぁ!誠実なのね。私は少しくらいいいのに。」

「何!?いや…止めてよ、僕、鋼の心で我慢しているんだから。シャーロテこそ綺麗で美しいんだから、誰かに目移りしないでよ?お願いだよ。」



 今日は一年生最後の日。最後までそんな甘い話をしていた二人。でも二年生になったらそれも出来ないのだから仕方ないわよねと、クラーラは思っていた。
なんだかんだ行ってお似合いの二人。幸せになるといいなと応援をしていた。


「じゃあね、ラグンフリズ。ちゃんとシャーロテを見張っておいてよ?悪い虫が付きそうだったらすぐに教えてよ?いい?友人Aも、見張っといてよ。」


 そう言ってライラスは帰って行った。


「今度は友人Aだって。全く、あいつは…。」

「まぁ、それがライラス様ね。仕方ないわ、きっとシャーロテ以外は名前も必要ないのよ。」



 シャーロテも、恐る恐る両親に結婚したい人がいるとライラスの事を伝えた。
すると、『そうか、良くやった!』と逆に褒められたのだとか。国交の無かった国であったから、これから国王陛下も交えて話し合いをしないとなと喜々として言われたそうだ。話が前向きに進んでいるようで、クラーラは安心した。
シャーロテは以前、言っていた。結婚は割り切るしかないと。でも、あの調子であれば政略結婚ではなく、心から愛し愛される人と恋愛結婚が出来るのだろうと。


 クラーラは、両親にはまだ自分から気持ちを伝えていない。しかし、年末年始に二度届いたラグンフリズからの手紙に両親は『良かったわね』と優しく微笑んでくれた。両親はクラーラのその、ラグンフリズからの手紙を読んでいた表情を見て、気持ちを理解したのだ。
一度目は学友に言われたからと暫定的に婚約関係を結んでしまった。次こそは、心から信頼し合える者と出会えたらとクラーラの父ティーオドルは娘の幸せを願っているのだ。





☆★

 順調に恋も友情も育みつつ、学院生活は惜しまれつつもとうとう卒業という日を迎えた。

「クラーラ、元気でね。手紙を書くから!」

「当たり前よ、シャーロテ。私だって書くわ。王太子妃は大変でしょうけれど、何かあればいつでも愚痴ってね。」


 シャーロテは卒業し、準備を整えたらチャーバリス国へと嫁入りするのだ。


「あぁ…本当に学院に通えて良かったわ!」

「ええ、私も。友達になってくれてありがとう。」

「ちょっと…私も忘れないでもらえる?」

 クラーラとシャーロテが肩を抱き合いそう話していると、マルグレーテが声を掛けてきた。

「あら!マルグレーテもたまには楽しかったわよ。でもあなた、〝仕事〟が忙しかったでしょう。もう私達とこうやって話してもいいの?」

「ええ!やっと終わりよ!旦那様も、かなり儲かったとものすごく褒めて下さったの!まぁ、どうしても私の誘惑に乗らずうまくいかなかった人もいたけれど、それは仕方ないって許してくれたしそっちは旦那様がどうにかしたみたいでね。これで、晴れて私も自由の身よ!男爵家から抜けさせてもらうの!だから最後に、貴方達ともお別れの言葉を交わさせてよ。たまに、話をさせてくれてありがとう!私の、詰まらない学院生活に彩りを加えてくれて本当に嬉しかった。それがなかったら、私、やり切れなかったと思う。」

 マルグレーテは、あれからも〝仕事〟があるからと他の生徒の前ではクラーラとシャーロテには接していなかった。でもたまに、シャーロテが『暇なら来なさいよ』と誘い、三人でこっそりと会話に花を咲かせていたのだった。


「何言ってるのよ。私もあなたの話、面白く聞かせてもらったわ。庶民になるならさすがにマルグレーテとはもう会えないだろうけれど、あなたも元気でいなさいよ。でも、大丈夫なの?恨まれたり…してない?」

「ええ、ありがとう!大丈夫よ!に解決したと聞いているわ。……シャーロテもお元気でね。王妃なんて、貴族よりもっと大変でしょうけれど、あなたならきっと素敵な王妃になれるでしょうね。影ながら応援しているわ。クラーラもよ?幸せにね!」

「そう。男爵様がどうにかしてに至ったのかしら?……ありがとう、マルグレーテも。何かあったらいつでも会いに来てね。」

 とクラーラが言う。
クラーラも、マルグレーテの〝仕事〟の話を聞いてからはどうも同情的に見ていた。そして、婚約を白紙に戻された後は大丈夫なのかと心配もしていた。
そこはシャーロテも同じく心配していたので、逆恨みしそうな生徒には公爵家の力を使うわ、とも言っていた。しかし、実際どうなったかはクラーラは聞いていなかった。どんな手を使うのだろうとは思ったが、伯爵家のクラーラが聞いてはいけない部分かもしれないと思って尋ねてはいない。
シャーロテもまた、ダークな部分はクラーラにあえて教える必要もないと思い、話してはいない。


「それはないと思うけれど…。心配してくれてありがとう。でも、庶民も自由でいいものなのよ?それに、庶民になればだった人達とは合わなくて済むわ!」


 マルグレーテは、これからは男爵家を出て市井へ下るという。母親は、男爵夫人として留まるのだそうだ。もちろん、母親はマルグレーテが〝仕事〟をしていた事を知らない。それに母親はまだ充分に若い為、これから子供も産まれるだろうからと、男爵はマルグレーテが稼いでくれた代わりに市井へ下る事を許したのだった。
マルグレーテは、元々庶民であり、貴族の振る舞いやなんかには身の丈に合っていなかった。だから庶民でいられればそれで良かったのだ。


 皆、様々な想いを胸に、学院生活を終え、新しい場所へと旅立っていった。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。 偶然にも居合わせてしまったのだ。 学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。 そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。 「君を女性として見ることが出来ない」 幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。 その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。 「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」 大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。 そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。 ※ ゆるふわ設定です。 完結しました。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

愛してしまって、ごめんなさい

oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」 初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。 けれど私は赦されない人間です。 最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。 ※全9話。 毎朝7時に更新致します。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

あなたの言うことが、すべて正しかったです

Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」  名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。  絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。  そして、運命の五年後。  リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。 *小説家になろうでも投稿中です

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

処理中です...