【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。

まりぃべる

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 私は、ティラ=アイビスと申します。

 私が住んでいる国は、ストッケン王国と申しまして、コンフィスディア女王陛下が治めております。
三年前まではダミアン国王陛下が治めておりましたが、お亡くなりになった為です。

 ストッケン王国は年中二十度前後の気温で気候も良く、とても過ごしやすく、治安もいいので女性だけで出歩くのも日中であれば特に問題はありません。

 けれど、家に帰って来ないのは問題だと思うのです。



「申し訳ありません、今日もお姉様はお出かけしておりますの。」

 私は、このアイビス侯爵家に訪れた、お姉様の婚約者であるウェイン=スタンフォード侯爵令息様に以前も同じような台詞を言ったなと思いながら、執事のカフソンと謝罪しました。

「そうなんだ。じゃあ仕方ないね。出直すよ。わざわざ対応してくれてありがとう。ティラ、またね。」

 ふー。私は、ため息をついてカフソンと顔を見合わせ胸をなで下ろした。

 これで何度目だろうか。

 確か、月に一度このアイビス侯爵家で交流を深める為お茶会をする事にしたと言っていたと思うのだけれど。
一度もそれが開催される事なく、同じ言葉を伝えているわ。

 お姉様とウェイン様との婚約話は、二人が生まれた歳に、同じ侯爵家でもあって仲が良かったお互いの両親が『子供たちが大きくなっても相手がいなかったら、婚約者にしてしまおう』と軽い口調で言っていたらしい。

 そして、ストッケン王国の貴族の子供の内、その後継者である十三歳から十八歳までの子供が通う王立学院を卒業した昨年、お姉様とウェイン様は婚約を結びました。

 それまでも、お互いの両親が仲が良いという事もあり、幼い頃はよくお互いの領地や別荘に遊びに行っておりました。
お互いの領地はそれほど遠くもなく、馬車で二時間、馬でなら一時間もかからずに行ける距離でした。

 しかし、お姉様達が学院に通い出すとそうもいかなくなりました。
思春期に入った事もあるし、また勉強にも忙しくなったからです。
それでも、お姉様とウェイン様は同じ学年であったので、顔は合わせていたと思います。

 また、王立学院は寮生活でもあった為、久々にウェイン様を見る度、格好良くなった彼を憧れにも似た視線で私は見ておりました。
けれども、お姉様の婚約者と分かっておりましたので、それ以上の感情は持たないようにしておりました。

 が、ずっとお姉様の姿を見かけないのです。
学院は卒業しましたから、今は花嫁修業中だという事で、侯爵夫人になる為のお勉強をする時期だと思うのですが、どちらにいらっしゃるのでしょうか。
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