【完結】王宮内は安定したらしいので、第二王子と国内の視察に行ってきます!(呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。の続編です)

まりぃべる

文字の大きさ
5 / 20

5 スイルにて 2

しおりを挟む
「まずは、村を見てみよう。畑の被害が分かるかもしれない。」
「うん。」
そう言うと、手を差し伸べてくれる。ここは、街とは違って人も疎ら。歩いていてもぶつかる心配はない。けれど、手を繋ごうとしてくれるのは嬉しかった。


「あー!手繋いでる!」
「ほんとだ-!」
振り向くとさっきの子たちだ。

「ん?手を繋ぐのはいけないか?大事な人とは繋ぐだろ?親とか、祖父母とか、兄弟とかな。」
「じゃあ、かあちゃんとおなじ?」
「俺の場合は、大きな括りで言うと同じだな。大切な人だからな!ところで、獣の被害があった畑の場所とか知っているか?教えてくれるだけでいい。」

「あっちの裏だよ。連れてってやるよ。」
「いや、獣が出ると危ないだろう。あっちだな、ありがとう。見てみるよ。」
「それなら大丈夫だよ。昼間は来ないんだ。ま、念のために山の奥には行かないけどな!」
「そうか…じゃあお願いするよ。」
ルークは、少し悩んで、お願いした。案内がいた方が確かに分かり易いからだろう。

「でもさ、畑を見てどうするんだよ?あそこはもう荒れ地だぜ。あいつらは突進してきて、すごい勢いで穴を掘り、根こそぎ取っていくんだよ!」
んーそれって、猪?それともここの世界では違う奴なのかな?

「そうか…とにかく、被害が知りたいのだ。よろしくな。」




なるほどそこは、村の入り口からは結構奥の、高台に開けた所にあった。
しかし、雑草みたいに所々しか草が無く、キャベツのような、一玉ずつ並んで植わっているものも間がかなり空いている。
元は結構な畑だったのだろう。しかし、今は先程男の子が言ったように、荒れ地という名前がしっくりくる場所となっている。

「なるほどな…。」
「酷いだろ。せっかく種植えからやったのにさ。ご覧の有様さ。獣が憎くてしょうが無いよ。昨日も、夕方、チビが襲われそうになったし。オレが追っ払ってやったけどな!」 
「ほう。やるな。けど、無理はするなよ。」
「分かってるよ!ここは人数が少ない村だろ。オレだって立派な戦力なんだぜ。居なくなると困るんだと。でもよ、出来る範囲で守りたいんだ!」
「よく言った!男はそうあるべきだな!」
ルークはそう言うと、男の子の頭をぐりぐりと撫で回した。

「子、子ども扱いは止めろよ!オレはもう14だぜ!」
「そうかそうか。14歳でえらいぞ!」



畑は、反対の敷地にもう1カ所あると言っていた。そちらはまだ被害は出ていないらしく、それだけが救いだわ。ここより規模も小さいみたいだけど。

畑を見せてもらって、子ども達と一緒に村を1周する頃には日も暮れてきたので各々家に帰る事になった。
ウインドも、許可をもらって村長の家の敷地内に入れてもらえる事になった。

あの男の子は、村長のひ孫で、ニックと言うと教えてもらった。
ニックの母親のスワテルさんは昼間は洗濯や家事をいろいろとしていたみたいで、今は夕飯を作ってくれている。

「お世話になってすみません。何かお手伝いさせて下さい。」

私はそう言って、スワテルさんが作ってくれた夕飯を部屋の真ん中の、囲炉裏がある皆が座っている場所へ持っていく。こちらの世界は、ガスや水道も無いから、作るのは本当大変そう…。

食事はとても美味しかった。川魚の塩焼きと、ここで取れたのかな?野菜炒めと、塩スープ。野菜がたくさんだからか、あっさりだけどとても美味しかった。

片付けもちょっと手伝ったら、お湯を沸かして桶に入れた物を渡してくれる。これにタオルを浸して拭くのがここら辺りのお風呂のやり方なんだとか。初めての経験で、湯船には入れなかったけど、とても気持ちよく感じた。




部屋はルークと同じ部屋。布団はあった物を貸してくれると言ったので、ご厚意に甘えた。

「今日は疲れただろう。寝ようか。」
「ねぇ!獣の事はどうするの?」
「んー。明日、早起きして見てみようかと思っている。マリアは寝ていていい。もし突進してきたら危ないから。」

「思ったんだけど、村と山はとても近いよね。今までは、獣が来なかったの?」
「そう言っていたな。元々、この村は、街からこっちに移り住んできた人達なんだ。だからそんなに村民もいないだろ。移り住んで来て、そんなに長く住み着いていたわけでもないから今までは被害も無かったのかな。」
「ふーん。さっき見回った時に思ったんだけど、村に獣が入って来ないように周りを柵や壁などで囲わないのかしら?もちろん、範囲が広くて大変だけど。それか、畑だけでも囲うとか。」
村と、山の境目は無く、動物だって人だって簡単に行き来出来る。せっかく村の入り口に門みたいなのがあったんだから、ぐるりと囲ってしまえばいいのに。

「なるほどな…。」
そう言うと、ルーク様は考え込んでいた。私は、忘れない内にと話す。

「それから、どうしても獣が入ってきちゃうならいっその事食料にしちゃうとか。村は柵などで囲って、その中に入って来ちゃうのは檻や罠を置いて、捕らえるの。もちろん、獣だって生きているのですから無闇な殺生は良くないわ。でもあまりにも被害があるなら、害獣駆除といって、害を与える獣と認定して、駆除する。命を取るんだけど、無駄にせずいただくって事で。あ、でも食べられる獣かしら?猪かと思ったのだけど、違うのかしら。」

「…それは、あちらの世界でやっていた事か?」
暫く考えてから、ルーク様は話し出した。

「うん。山に住んでる人はそうやっていたみたい。私は、山に住んで無かったので見た事はないけれど。…あの、口を挟んでごめんなさい…。」
ルークがあまりにも考える時間が長かったから、何を考えているのか不安になって、謝ってしまった。

「いや、とても参考になった。ありがとう!さすがマリアだ。食べられる獣かは見てからだな。とりあえず寝ようか。今日はいちゃいちゃと寄り添えないのは残念だが、仕方ないな!」

もう!ルークったら!

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【完結まで執筆済み】筋肉が語る男、冷徹と噂される騎士団長レオン・バルクハルト。 ――そんな彼が、ある日突然、婚約破棄されたという噂が城下に広まった。 「……えっ、それってめっちゃ美味しい展開じゃない!?」 破天荒で豪快な令嬢、ミレイア・グランシェリは思った。 重度の“筋肉フェチ”で料理上手、○○なのに自由すぎる彼女が取った行動は──まさかの自ら押しかけ!? 騎士団で巻き起こる爆笑と騒動、そして、不器用なふたりの距離は少しずつ近づいていく。 これは、筋肉を愛し、胃袋を掴み、心まで溶かす姉御ヒロインが、 推しの騎士団長を全力で幸せにするまでの、ときめきと笑いと“ざまぁ”の物語。

ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!

satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。  私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。  私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。  お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。  眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら
恋愛
 本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。 「君が番だ! 間違いない」 (番とは……!)  今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。  本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。 小説家になろう様にも投稿しています。

料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました

さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。 裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。 「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。 恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……? 温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。 ――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!? 胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!

【完結】年下幼馴染くんを上司撃退の盾にしたら、偽装婚約の罠にハマりました

廻り
恋愛
 幼い頃に誘拐されたトラウマがあるリリアナ。  王宮事務官として就職するが、犯人に似ている上司に一目惚れされ、威圧的に独占されてしまう。  恐怖から逃れたいリリアナは、幼馴染を盾にし「恋人がいる」と上司の誘いを断る。 「リリちゃん。俺たち、いつから付き合っていたのかな?」  幼馴染を怒らせてしまったが、上司撃退は成功。  ほっとしたのも束の間、上司から二人の関係を問い詰められた挙句、求婚されてしまう。  幼馴染に相談したところ、彼と偽装婚約することになるが――

訛りがエグい田舎娘に扮した子爵令嬢のわたしが、可愛がった子犬に何故か求婚される話を聞きたいですか?

バナナマヨネーズ
恋愛
アルシオーネ・トライベッカ子爵令嬢は、ある悩みを抱えていた。それは、子爵家が莫大な借金を抱えているということだ。お人好しな子爵が騙されて負わされた莫大な金額の借金を返済すべく、アルシオーネは、出稼ぎに王都に行くことを決意する。 しかし、父親から見ても地上に舞い降りた天使の様に可愛らしいアルシオーネを王都に行かせることに子爵が渋っていると、とんでもない勘違いをしたアルシオーネの行動に子爵は振り回された上、結局王都行を許してしまうのだった。 そして、王都に向かったアルシオーネは、そこでとんでもない運命の相手と出会ってしまうことになるのだった。 タイトルを変更しました。 旧「訛りがエグい子爵令嬢は、今日も元気にお金儲けに明け暮れる?」 全17話

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

処理中です...