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9. 資金調達
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アントンは、オルフェイ地区は土地が痩せていて貧しいからいろんな方法を皆で考えて、生活しているんだよと教えてくれた。そして、オルフェイの地区を自分の目で確かめて欲しいと言われ、見に来た。
今まで、学校が終わって散々遊んでからの帰りに馬車で送ってきていたけれど、薄暗かったし、話をしていて外なんてじっくり見ていなかった。だから、どんな所かなんて全く想像もしていなかったわけで。
「まぁ…!」
痩せていると言っていたから、どんなに岩や石がゴロゴロとした場所かと思ったら、そんな事はなかった。
奥には葉っぱが地面を覆い尽くして生い茂った畑がところどころにあり、一応、踏み固められたような道がずっと先まで伸びていた。
木造の家が、踏み固められたような道を逸れて真っ直ぐ等間隔で並んで立っていた。
「すごいわ…!これを、作ったのでしょう?本当にちょっと前までは荒れ地だったの!?」
「あぁ。そうだ。それを住む場所に生まれ変わらせる為には、今まで過ごした中で何十倍もの努力をしたみたいだ。」
家も、自分達で作ったのか歪んだり傾いたりしている。それでも、およそ二十年も真っ直ぐ立っているんだもの。本当に努力されたのね。
「でも、これらはここにいる人達でやり遂げたみたいだ。」
「そうなのね。だったら、団結力はきっとどこよりも負けないわね!」
「…モルドバコドル国は、大きな支援はしてくれなかったんだ。」
「そう…でもそれでも、ここに住んでいる人達は立派ね!あれは、芋畑?広いわね。」
「…あぁ。ここにいる人達の飢えをしのがないといけないからね。たくさんないと。」
なんだか、アントンの話し方がいつもよりぎこちない気がしなくもないけれど、それよりもこの、一つの村のようになっているこの地区がここに住んでいる人達だけの力で作り上げたと言うのに驚きすぎて、気に留める事が出来なかった。
「じゃぁこの芋も売ったりしているの?」
「いや?これらは全てここにいる人達で食べるんだ。」
「他は?どうしてるの?」
「…皆で知恵を出し合って。少し前に子供達の遊びから、〝玉〟というのを生み出して、販売しているんだ。上々だよ。明日は、その販売している店を見に行くか?」
「ええ!行くわ!!」
ーーー
ーー
ー
「入って。」
王都の、大通りから二本ほど奥に入った通りに、色とりどりの丸が描かれた看板が軒下にぶらさがっている店があった。
今日も、なんだかいつもと話し方が違って緊張しているような気がする。
オリアとカタンもいるけど、二人も黙ったまま。
カランカラン
「ここ?」
「あぁ。どう?」
店に入るとすぐ、壁に沿った棚の上に置かれた、手のひらの大きさから指先で摘まめる程の小さな、丸い玉が並んでいた。いろんな色を使われていて、とても鮮やかで、表面がツルツルと光っている。
すごいわ…!
「ヴァレリア!?」
え!?ここで聞くとは思ってもいなかった声を聞いて振り向くと、案の定ヴェロニカがいた。
「ヴェロニカ?どうしているの?」
少し話したけれど、すぐにこの〝たま〟に興味を持っていかれ、アントンと話しているとヴェロニカ達が扉を出て行くようで、店員さんが話し掛けていた。
「また来てねー」
私も、ヴェロニカに声を掛けた。
「じゃあね、またねー!」
「うん、またねヴァレリア。」
カランカラン
「…今のは?」
アントンが聞いて来た。顔も、なんだか硬い表情だわ。どうしたのかしら?
「ヴェロニカよ、私の双子の妹。どうしたの?」
「…あぁ、何でも無い。オーナー、今の奴ら、何だって?」
「ええ?買おうか悩んでいたなぁ。」
「それだけ?」
「あんた達が話していたら、帰っていったよ。買ってもらえず残念だったな。」
「…そう。」
アントンが考え込んでしまったわ。でも私は先ほど話していて気になったので再度聞いてみた。
「ねぇ、これが本当に泥で出来ているの?」
「ん?あぁ。あのオルフェイ地区の土を水で練ってね。だから原価は安いんだ。」
「綺麗ねぇ…!」
「だろ?だから売れるんだ。これの儲けが、食料や生活必需品に変わるんだぜ。」
やっとアントン、笑ってくれたわ。先ほどまで強張った表情だったもの、ちょっと怖かったものね。
オリアとカタンも少し表情が、和らいでいる。
せっかくこんなに綺麗なのだから、外で待っているモラリに言って、この〝たま〟幾つか買って行きましょう。アントン達の食料に変わるとも言っていたものね。
今まで、学校が終わって散々遊んでからの帰りに馬車で送ってきていたけれど、薄暗かったし、話をしていて外なんてじっくり見ていなかった。だから、どんな所かなんて全く想像もしていなかったわけで。
「まぁ…!」
痩せていると言っていたから、どんなに岩や石がゴロゴロとした場所かと思ったら、そんな事はなかった。
奥には葉っぱが地面を覆い尽くして生い茂った畑がところどころにあり、一応、踏み固められたような道がずっと先まで伸びていた。
木造の家が、踏み固められたような道を逸れて真っ直ぐ等間隔で並んで立っていた。
「すごいわ…!これを、作ったのでしょう?本当にちょっと前までは荒れ地だったの!?」
「あぁ。そうだ。それを住む場所に生まれ変わらせる為には、今まで過ごした中で何十倍もの努力をしたみたいだ。」
家も、自分達で作ったのか歪んだり傾いたりしている。それでも、およそ二十年も真っ直ぐ立っているんだもの。本当に努力されたのね。
「でも、これらはここにいる人達でやり遂げたみたいだ。」
「そうなのね。だったら、団結力はきっとどこよりも負けないわね!」
「…モルドバコドル国は、大きな支援はしてくれなかったんだ。」
「そう…でもそれでも、ここに住んでいる人達は立派ね!あれは、芋畑?広いわね。」
「…あぁ。ここにいる人達の飢えをしのがないといけないからね。たくさんないと。」
なんだか、アントンの話し方がいつもよりぎこちない気がしなくもないけれど、それよりもこの、一つの村のようになっているこの地区がここに住んでいる人達だけの力で作り上げたと言うのに驚きすぎて、気に留める事が出来なかった。
「じゃぁこの芋も売ったりしているの?」
「いや?これらは全てここにいる人達で食べるんだ。」
「他は?どうしてるの?」
「…皆で知恵を出し合って。少し前に子供達の遊びから、〝玉〟というのを生み出して、販売しているんだ。上々だよ。明日は、その販売している店を見に行くか?」
「ええ!行くわ!!」
ーーー
ーー
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「入って。」
王都の、大通りから二本ほど奥に入った通りに、色とりどりの丸が描かれた看板が軒下にぶらさがっている店があった。
今日も、なんだかいつもと話し方が違って緊張しているような気がする。
オリアとカタンもいるけど、二人も黙ったまま。
カランカラン
「ここ?」
「あぁ。どう?」
店に入るとすぐ、壁に沿った棚の上に置かれた、手のひらの大きさから指先で摘まめる程の小さな、丸い玉が並んでいた。いろんな色を使われていて、とても鮮やかで、表面がツルツルと光っている。
すごいわ…!
「ヴァレリア!?」
え!?ここで聞くとは思ってもいなかった声を聞いて振り向くと、案の定ヴェロニカがいた。
「ヴェロニカ?どうしているの?」
少し話したけれど、すぐにこの〝たま〟に興味を持っていかれ、アントンと話しているとヴェロニカ達が扉を出て行くようで、店員さんが話し掛けていた。
「また来てねー」
私も、ヴェロニカに声を掛けた。
「じゃあね、またねー!」
「うん、またねヴァレリア。」
カランカラン
「…今のは?」
アントンが聞いて来た。顔も、なんだか硬い表情だわ。どうしたのかしら?
「ヴェロニカよ、私の双子の妹。どうしたの?」
「…あぁ、何でも無い。オーナー、今の奴ら、何だって?」
「ええ?買おうか悩んでいたなぁ。」
「それだけ?」
「あんた達が話していたら、帰っていったよ。買ってもらえず残念だったな。」
「…そう。」
アントンが考え込んでしまったわ。でも私は先ほど話していて気になったので再度聞いてみた。
「ねぇ、これが本当に泥で出来ているの?」
「ん?あぁ。あのオルフェイ地区の土を水で練ってね。だから原価は安いんだ。」
「綺麗ねぇ…!」
「だろ?だから売れるんだ。これの儲けが、食料や生活必需品に変わるんだぜ。」
やっとアントン、笑ってくれたわ。先ほどまで強張った表情だったもの、ちょっと怖かったものね。
オリアとカタンも少し表情が、和らいでいる。
せっかくこんなに綺麗なのだから、外で待っているモラリに言って、この〝たま〟幾つか買って行きましょう。アントン達の食料に変わるとも言っていたものね。
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