【完結】【番外編追加】隠していた特技は、魔術の一種だったみたいです!

まりぃべる

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20. 処遇とこれからの事

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 コンコンコンコン


 リュシーは思いの外借りた本が面白く読みふけっていた為、扉の叩く音が聞こえて顔を上げると、窓の外は薄暗くなり始めていたので驚きつつ、返事をした。

「はい。」

「リュシー、俺だよ。ウスターシュだ。入ってもいいかな?」

「!…はい、どうぞ。」


 先ほどは、ウスターシュだと思いすぐに促してしまったが、学習したリュシーは誰が来たのか確認をしたのだが、ウスターシュが来たら来たで、なんだか一気に緊張してしまった。
 ウスターシュは、扉を開けたままリュシーの近くまで来た。


(私、変なの…食事に行く時は、いつもこんな感じなのに。さっき、ウスターシュ様の事を改めて考えてしまったからかしら。)


「すっかり遅くなってしまった。済まない。あ、それ、読んでくれていたんだ。」

「はい。エタン様が持ってきて下さいまして。ウスターシュ様のご配慮だと伺いました。ありがとうございます。とても面白くて引き込まれてしまいました!」

「そう?それは良かった。いつでも読んでいいからね。さぁ、夕食にしよう。」

「はい。」

 そう言ったが、ウスターシュはソファから立ち上がったリュシーを手で制した。

「あのね、よければここで食べてもいいかな?陛下からの話を、リュシー嬢にも伝えたい。けれど食堂だと、たくさん人がいるからね。」

「ええ。」

(陛下からの話?あぁ…お母様達の話かしら。)

 リュシーはそう思い、頷いた。






 ウスターシュは、食堂に行って持ってきてもらうようにすでにお願いしていたそうで、その内に持ってくるはずだと言って、リュシーの向かい側のソファに座る。

「リュシー嬢…まず、そ、そろそろリュシーと呼んでもいいかい?」

「…はい。」


 そう改めて言われると、リュシーはなんだかとても恥ずかしくなり顔を赤く染め、俯きながら答える。


「良かった!リュシー、じゃあ国王陛下からの話をしようか。ん?あ、来たね。」

 ウスターシュが話を始めようとした所で、廊下から音が聞こえてきた。ワゴンを押す音だ。
ウスターシュが、目で合図をすると、ワゴンを引いた従僕が入って来た。

「ブレーズというよ。俺は自分の事を自分でやってしまうからそんなに必要としないので付けなくてもいいと両親に言っていたのだけどね。今、役に立つよ。ブレーズ、ありがとう。そこで待機していて。」

 ブレーズは、公爵家からの従僕であった。
結婚前の男女であるから、先ほどウスターシュが入って来た時には扉を開けていたのだが、ブレーズが来た為に二人きりでは無くなる為、ブレーズは部屋に入ってくると扉を閉めた。
ワゴンから料理を出し、テーブルに置くとブレーズは扉近くで待機する。


「さぁ、どうぞ。先に食べようか。今日はカスレだ。」

「わぁ!美味しそう!!これは?食べた事ないです。」

「これはガチョウの肉かな?と、白インゲン豆の煮込みシチューだね。」

「そうなんですね。うーん、良い香りです!」

 そう言ったリュシーを優しい眼差しで見つめながら、ウスターシュも手を動かした。



 食べ終わり、ウスターシュは話し出した。

「今日は、アランブール家のその後と、マリエット夫人とアルブー男爵の処遇を聞いたんだ。どうする?リュシーは聞かないという選択も出来るよ。」

「そうですか…いいえ、伺います。教えて下さい。」

「分かった。弟くんの寄宿学校の学費分、まずは国から支払われたよ。リュシーを魔術騎士に入隊したという事で、家族手当てみたいなものかな。だから安心して欲しいと言っていた。
それから、バルテレミー伯爵は魔術を公にしたそうだ。その上で、宿舎で門番のようにいるみたいでね。モグリの奴らは一目散に逃げたそうだ。気づかない間に、狩人の中にもアルブー男爵のような奴らがいたのかもしれないと言っていたそうだ。バルテレミー伯爵が魔力を使っているから、出張魔術騎士として、報酬を渡す事にしたそうだよ。少しは領地が潤うんじゃないかな。」

「そうなんですね!良かった…!」

 ウスターシュは、優しい顔つきで話し出したのだが、一転、苦虫をかみ潰したような顔つきになり、一呼吸置いてからまた話し出す。

「アルブー男爵はね、魔術騎士の一員となったよ。」

「え!?」

(魔術騎士といえば、栄誉ある職業だわ。それになったの?…まぁ、私も今、その職に就いているけれど。)

「まぁ、これは極秘らしいけどね。立派な罪滅ぼしさ。何て言ったって、使んだ。まぁ…実際には、怪しい研究の人体実験らしい。主に、新薬の試薬を実際に服用させたり、あとは開発した魔術を人に掛けたらどうなるかといった実験をさせるそうだ。」

「そうなんですね…。」

「アルブー男爵は、レスキュン領の〝危ない森〟で、数々の野生動物を乱獲したり、違法な生物を他国から輸入したりしていたみたいでね。それにリュシーが加えられたと考えたら…」

「え?」

「あ、いやいや、何でもないよ。」

 リュシーは、ウスターシュが話した最後の方は聞き取れなかった為に聞き返したが、はぐらかされてしまった。

「なかなか証拠が掴めなくて、現場を押さえる事が出来なかったから不安な思いをさせて申し訳なかったと、陛下も謝っていたよ。」

「いえ!そんな…!」

 リュシーは、弟の為だからとマリエットに言われた名前も教えられなかった人と結婚してもいいかと思っていたが、しなくて本当に良かったと思った。屋敷の中には、そんな生き物達がそこら中で監禁されていたのだ。

「あぁ。その生き物達は、然るべき対処をしたそうだ。野生に返せるものは返し、難しそうなら王宮で保護しているらしい。」

「そうですか…会わせてもらえませんか?」

「リュシーが?…済まない。少なくとも今は許可出来ないな。彼らはどんな目に遭わされていたか分からないもの達だ。悲しみを全身で訴えているかもしれないから。」

「でも!私、役に立てるかもしれないわ。して欲しい事があるかもしれないもの。」

「うーん……そうだね。獣医師とも相談してみるよ。もし出来ても、絶対に俺が付き添うからね。」

 ウスターシュは、リュシーの考えを尊重し、そう答え、続けた。

「そしてマリエット夫人は…修道院へ行ったそうだ。孤児院も併設されているし、街の清掃活動なども定期的に行う、厳しい修道院だ。…会いに行くかい?」

「え?お母様に?…いいえ。頑張って下さるといいです。」

「そうか…」


 そう言ったウスターシュは、席を立ちリュシーの隣に腰を下ろした。


「リュシー。複雑な思いもあっただろうが、最後まで聞いてくれて、良く頑張ったね。俺は、いつでもリュシーの傍にいる。リュシーの力になりたい。」

 そう言うと、リュシーを引き寄せる。

「リュシー、好きだ。もしかしたら初めて会った時からかもしれない。ずっと気になっていたんだ。一緒に過ごすようになって、毎日がとても楽しくなった。早くリュシーに会いたいと思うようになったんだ。そして、離れ難くなってしまった。リュシー、結婚して欲しい。」

(ウスターシュ様…!え、け、結婚!?)

 リュシーは、処遇を聞いていたのにどうしてそうなったのだと思った。しかし、ウスターシュの言った事はものすごく嬉しかった為に、小さな声になってしまったが呟く。

「…はい。」

(ウスターシュ様と結婚だって!…え!?こ、公爵家だったわよね?)

「あ!でも…ウスターシュ様は公爵さま…」
「あのね、陛下にも許可を頂いてきたよ。陛下が冷やかしてくるから、切り上げてくるのに時間が掛かったんだけどね。だから、あとはリュシーの返事次第なんだ!」

「え…?」

「俺は公爵家だけど、だからこそ結婚なんて面倒だと思っていたんだけど…リュシー、君に会って、そんな理屈じゃ無いって気づいたんだ。確かに面倒な事はたくさんあるんだけど、俺はリュシーを守るよ。だから俺の奥さんになってくれませんか?」

(理屈じゃない…か。そうね。自分の気持ちに正直にって事よね。)

「はい。私も、ウスターシュ様が好きです。」

「……!!」

 ウスターシュはその言葉を聞いて、リュシーをより一層、優しく抱きしめたのだった。



 リュシーの、ウスターシュとの恋は始まったばかり。
 けれどもウスターシュはすでに、結婚をしたらリュシーはどうしたいかな、などと考えていた。

(陛下はいつまでも動物の気持ちが知りたいと言ってくるだろうな。さっきもくどいほど言ってきたし。だが、リュシーは俺の妻になるんだからな!俺との生活の邪魔だけはしないでくれよ!!)









☆★

これで終わりです。
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