【完結】【番外編追加】隠していた特技は、魔術の一種だったみたいです!

まりぃべる

文字の大きさ
27 / 30

番外編 視察という名の

しおりを挟む
「リュシー、一緒に、君の弟を見に行ってみるかい?」


 先週、そのように言われたリュシーは、途端に顔を緩ませてウスターシュへと近づいた。


「え?ウスターシュ、どういう事?良いの?」

「あぁ。毎年、学校へは魔術騎士のいい人材の卵がいないか見に行ってるんだ。たいていエタンと行っているけど、今年はリュシーと行こうかと思うのだが、どうする?」

「まぁ!エタン様と行かなくてもよろしいのですか?」

「俺はリュシーと行きたいから誘っているんだよ。どう?帰りに、近くのカフェにでも寄ってみないか。」

「はい!行きたいわ!」




☆★

「魔術騎士のウスターシュ様、本日はお越し下さいまして誠にありがとうございます。今年は、エタン様ではないのですね。」

「校長、こちらこそいつも未来ある子供達を育てて下さり感謝申し上げる。
あぁ。何か問題でも?」

「いえ!滅相もありません!ただ、あの…多感な時期の子供達でもありますから、お手柔らかに…」


 何故校長がこのように言っているのか。
 それはウスターシュが、リュシーの手を繋ぎながら挨拶をしているからだ。リュシーはもちろん手を離して欲しいとアイコンタクトをしたのだが、残念ながらウスターシュに無視をされたのだった。よって、リュシーは微妙な面持ちで挨拶をする事になってしまった。

「分かっている。なぁ、リュシー?」

「こ、校長先生!ウスターシュがご迷惑をお掛けしてすみません!私、リュシー=アランブールと申します。まだまだ新米ではございますが、ここには弟が通っている為に見学を兼ねて参りました。よろしくお願いします!」


 リュシーは居たたまれない面持ちで挨拶をした。すると、初老近い見た目の校長は目を細めてリュシーを見つめる。


「なるほど…。君はカジミールのお姉さんなのだね。それから、バルテレミーの…そうか。
私はね、バルテレミーがこの学校に通っていた時の事も昨日のように覚えているよ。懐かしいな…。」

「そうなのですか!校長先生、カジミールはどうでしょうか。頑張ってやっていますでしょうか。」

「あぁ、友人達とも楽しそうに学校生活を過ごしているよ。それに、勤勉だ。優秀だね、さすがバルテレミーの息子だよ。」

「校長、そろそろ行ってもいいだろうか。」


 ウスターシュっは、リュシーと楽しく話をしている校長にさえ嫉妬をし、そのように言って話を切り上げようとした。


「そうだね、忙しいのに引き止めて済まなかった。
毎年のように教室に顔を出して行くかい?」

「はい。お願いします。」





☆★

 カジミールがいた教室から出たリュシーは早速、ウスターシュに抗議をした。

「もう!ウスターシュったら、なんであんな事を言うの?カジミールなんて驚いていたわ!」

「そんなに怒らないでくれよ。リュシーの事を鼻を伸ばして見つめていた奴らに、釘を刺しただけだよ。だってリュシーが居なくなったら、俺は生きていけないよ。」

「何を言っているのよ!今まで生きてきたでしょう?」

「え!じゃあリュシーは俺が居なくなったら生きて行けるんだね?」

「そ…!」

「あぁ!俺はリュシーが誰かに取られたりしたら嫉妬で狂いそうなのに…」

「待って!…私も、ウスターシュが居なくなったら嫌よ。だから、誰にも目移りしないで、ね?」

「本当だね?あぁ、大丈夫!もう俺はリュシーしか目に入らないよ。さぁ、あと少し、教室に顔を出して早くカフェに行こう!」

「え?本当に教室に顔を出すだけでいいの?人材の卵は?」

「あぁ、それはずば抜けていなければ、今見ても周りの生徒とそんなに大差ないから。俺らを見て、『魔術騎士になりたい』と思ってこれからの学校生活を目標を持って送ってもらうのが一番の仕事さ。だから適当でいいんだよ。」

「なるほど…。思ってくれるかしら?」

「今年は、リュシーが来たからな。女性でもなれるって、希望を持つ子も増えるかもな。あ、でも男でリュシー狙いは絶対にダメだからな!俺が痛めつけてやる!」

「まぁ!そんな事をしてはダメよ、ウスターシュ。」



 二人はこの後も、カフェで美味しいスイーツを食べ、甘い話をしながら王宮へと帰った。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

無能だと思われていた日陰少女は、魔法学校のS級パーティの参謀になって可愛がられる

あきゅう
ファンタジー
魔法がほとんど使えないものの、魔物を狩ることが好きでたまらないモネは、魔物ハンターの資格が取れる魔法学校に入学する。 魔法が得意ではなく、さらに人見知りなせいで友達はできないし、クラスでもなんだか浮いているモネ。 しかし、ある日、魔物に襲われていた先輩を助けたことがきっかけで、モネの隠れた才能が周りの学生や先生たちに知られていくことになる。 小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...