20 / 41
本編
幕間~可愛く解決?~
しおりを挟む
シルバーは困り果てた。
黄色い薔薇のブローチに触れてから、いくらか時間が過ぎた。相手の顔を思い浮かべて薔薇のブローチに触れれば連絡が取れるはずなのだが、なかなか返事がこない。
「エリックはどうしたのかしら」
エリックはリベリオン帝国の南部地方担当者だ。日頃は何かと助けてくれる。
シルバーの表情に焦りが滲む。長いとも短いとも感じる時間が過ぎる。
ブローチが淡く光る。連絡がついた証だ。
シルバーはまくしたてる。
「エリック、東部地方が大変ですの。ローズベル様からワールド・スピリットを使わないように言われましたし、厳しい戦いになりますの。増援を頼めるかしら?」
「……悪いがくたびれ果てている。そちらに向かうが、かなり遅くなる」
エリックの声が弱々しい。
シルバーは首を傾げた。
「何がありましたの?」
「ローズベル様の命令で奴隷を解放したせいで、重労働をしていた。こうして話している間も、休みたいくらいだ」
「そんな……東部地方はどうなりますの!?」
「俺はすぐには動けない。グレイやナイトも、北西部の動乱を収めるのに忙しいだろう。一か八かダークに頼んでくれ。俺が到着し次第交代する」
グレイとナイトは、リベリオン帝国の北西担当者たちだが、かなり忙しいようだ。
「言いたい事は分かりますが、中央部担当者に私から連絡をするのはためらいがありますわ。エリック、あなたがどうにかしてくださらない? あら、エリック!?」
エリックの声が消えたと思ったら、ブローチの光が消えていた。
連絡が一方的に切られたのだ。
シルバーの顔面は蒼白した。
「私からお願いしろですって!?」
「シルバー様、敵襲の勢いは恐ろしいです。ダーク様にお願いできるのなら、いらしていただく方が賢明かと……」
「既にエリックに頭を下げていますのよ!? それなのに、また別の人間に頭を下げるなんて信じられませんわ!」
シルバーは金切り声をあげて、銀髪をかきむしった。
クリスはその手をそっと握る。
「ご無礼お許しください。せっかくの美しい銀髪が崩れてしまいます」
呆けるシルバーから手を放して、クリスはシルバーの前で跪く。
「勝手に触れた事は重罪だと承知しています。煮るやり焼くなり首をはねるなり好きになさってください」
「……あなたのような人間の命を簡単に奪うほど、私は愚かではありませんわ」
シルバーは片手で銀髪を整えつつ、もう片方の手でブローチに触れた。クリスを見つめて、決意を固める。
シルバーとクリスは、傍目ではただの主従関係だろう。しかし、シルバーにとってクリスは一言では語れないほど大切な部下だ。
二人の間に、言いようのない雰囲気が生まれようとしていた。
「あなたの言うように、ダークに頼むのが賢明ですわね」
「なんだシルバー、またくだらねぇ厄介事か?」
ガラの悪い声が聞こえた。ブローチは淡く光っていた。
言いようのない雰囲気は、跡形もなく崩れ去っていた。
シルバーはわなわなと震える。
「こっちはいい雰囲気でしたのに……場の空気を考えてくださる?」
「なにわけの分かんねぇ事を言ってんだ。さっさと要件を言えよ」
「東部地方が攻め込まれましたの。ローズベル様からワールド・スピリットを使わないように命令されたうえに、エリックが来るのが遅くなりますの。急いでいらしてくださらない?」
「は!? ワールド・スピリットの使用が禁止されただと!?」
ダークはかなり驚いている。
「攻め込まれたら使用していいはずだったぜ!?」
「シリウス様が怖がるから、可愛らしさでなんとかしなさいと言われましたわ。それもこれも、あなたの交渉が下手くそなせいですわ。責任を取ってくださらない?」
「俺はローズベル様に交渉なんてできる立場じゃねぇよ。命令されたらおしまいだ。頑張れよ」
「無責任に突き放さないでくださる!?」
シルバーは声を荒立てた。
「東部地方に何かあれば、全部あなたのせいだと報告しますわよ!?」
「勝手にしろよ。俺は中央部担当者だぜ。何のために地方担当者がいると思ってんだ?」
ダークの声が急に低くなる。怒っているのだろう。
「勝手な都合で呼び出そうとしたくせに、交渉が下手だの無責任だの言われて、助ける気になると思うか?」
「それは……その……」
シルバーはシュンとなる。これまでの威勢など全くない。
「悪いと思っておりますわ。でも、あなたが来ないと東部地方の闇の眷属が、みんな殺されてしまいますの。ですから、どうしても来てほしいのですけど……」
シルバーは涙ぐみ、両肩を震わせた。
「これが最後の会話になるのなら、まずは謝りますわ。あなたには迷惑を掛けましたわ」
「あー、そうだな。本当にそうだな」
ダークの声は投げやりだった。
「そういえば東部地方に行く用事を突然思い出した。久しぶりに砂漠の風に当たるか」
「いらしてくださるの!?」
シルバーは両目を丸くした。
ダークの笑い声が聞こえる。
「てめぇのためじゃねぇよ。クリス、傍にいるだろ。状況を簡潔に教えろよ」
「あ、はい!」
唐突に話を振られたクリスは、慌てて説明する。
「数多くの敵が襲撃しているようです」
「充分だ。とりあえずそっちに行くぜ。じゃあな、また後で」
ブローチの光は消えた。
この直後に、大勢の雄たけびが聞こえた。しかし、すぐに悲鳴に変わった。
クリスは感心した。
「ダーク様は強いですね」
「私たちも行きましょう。クリス、あなたも可愛い服装をしなさい」
「え?」
クリスは両目をパチクリさせた。
「こんな時にどうしたのですか?」
「ローズベル様からの命令を守るのですわ。可愛らしさで敵襲を蹴散らすのです!」
「ほ、本気でしょうか……本気ですよね」
クリスは、シルバーにジト目を向けられて反論を諦めた。ガックシと肩を落として、オレンジ色のドレスに着替えるのだった。
シルバーとクリスが屋敷から出る頃には、ほとんど勝負はついていた。
大勢の敵が血を流し、倒れている。
その真ん中でダークがほくそ笑んでいた。
「ワールド・スピリット抜きにこの人数の敵を倒すのは、いい運動になるぜ」
シルバーは頷いた。
「さすがですわね、ダーク・スカイ。あとはローズベル様の命令を守ってもっと可愛くなるだけですわ」
「落ち着け、俺がそんな命令をされるわけがねぇだろ」
「この頃はどんな命令が出るか分かりませんわ。備えあれば憂いなしですわ。衣装と化粧品ならすぐに用意できますわ」
「いらねぇ用意をしている暇があったら、軍部の手当てをしてやれ」
ダークは吐き捨てるように言って、片手を振った。
「あとはいいよな、俺は中央部に戻るぜ。コズミック・ディール、テレポート」
ダークが唱えたのは、ワールド・スピリットだ。空間転移をして、一瞬にして姿を消していた。
シルバーは決意を固めたように、青空を見上げた。
「あの男は巻き込んでみせます。私だけ苦労するなんて、あんまりですわ」
クリスは真横で聞いていた。そっと目を伏せる。
「ダーク様が可愛くなったら、僕だって惚れるかもしれないじゃないですか」
「きっとみんなが争うのをやめて、ダークの追っかけになりますわね。世界平和につながるかもしれませんわね」
シルバーはクリスに右手を差し出す。
「愛は世界を救うのですわ!」
「そのとおりですね!」
クリスは、シルバーの右手をがっちり掴んだ。
二人は謎の結束をしたのだった。
黄色い薔薇のブローチに触れてから、いくらか時間が過ぎた。相手の顔を思い浮かべて薔薇のブローチに触れれば連絡が取れるはずなのだが、なかなか返事がこない。
「エリックはどうしたのかしら」
エリックはリベリオン帝国の南部地方担当者だ。日頃は何かと助けてくれる。
シルバーの表情に焦りが滲む。長いとも短いとも感じる時間が過ぎる。
ブローチが淡く光る。連絡がついた証だ。
シルバーはまくしたてる。
「エリック、東部地方が大変ですの。ローズベル様からワールド・スピリットを使わないように言われましたし、厳しい戦いになりますの。増援を頼めるかしら?」
「……悪いがくたびれ果てている。そちらに向かうが、かなり遅くなる」
エリックの声が弱々しい。
シルバーは首を傾げた。
「何がありましたの?」
「ローズベル様の命令で奴隷を解放したせいで、重労働をしていた。こうして話している間も、休みたいくらいだ」
「そんな……東部地方はどうなりますの!?」
「俺はすぐには動けない。グレイやナイトも、北西部の動乱を収めるのに忙しいだろう。一か八かダークに頼んでくれ。俺が到着し次第交代する」
グレイとナイトは、リベリオン帝国の北西担当者たちだが、かなり忙しいようだ。
「言いたい事は分かりますが、中央部担当者に私から連絡をするのはためらいがありますわ。エリック、あなたがどうにかしてくださらない? あら、エリック!?」
エリックの声が消えたと思ったら、ブローチの光が消えていた。
連絡が一方的に切られたのだ。
シルバーの顔面は蒼白した。
「私からお願いしろですって!?」
「シルバー様、敵襲の勢いは恐ろしいです。ダーク様にお願いできるのなら、いらしていただく方が賢明かと……」
「既にエリックに頭を下げていますのよ!? それなのに、また別の人間に頭を下げるなんて信じられませんわ!」
シルバーは金切り声をあげて、銀髪をかきむしった。
クリスはその手をそっと握る。
「ご無礼お許しください。せっかくの美しい銀髪が崩れてしまいます」
呆けるシルバーから手を放して、クリスはシルバーの前で跪く。
「勝手に触れた事は重罪だと承知しています。煮るやり焼くなり首をはねるなり好きになさってください」
「……あなたのような人間の命を簡単に奪うほど、私は愚かではありませんわ」
シルバーは片手で銀髪を整えつつ、もう片方の手でブローチに触れた。クリスを見つめて、決意を固める。
シルバーとクリスは、傍目ではただの主従関係だろう。しかし、シルバーにとってクリスは一言では語れないほど大切な部下だ。
二人の間に、言いようのない雰囲気が生まれようとしていた。
「あなたの言うように、ダークに頼むのが賢明ですわね」
「なんだシルバー、またくだらねぇ厄介事か?」
ガラの悪い声が聞こえた。ブローチは淡く光っていた。
言いようのない雰囲気は、跡形もなく崩れ去っていた。
シルバーはわなわなと震える。
「こっちはいい雰囲気でしたのに……場の空気を考えてくださる?」
「なにわけの分かんねぇ事を言ってんだ。さっさと要件を言えよ」
「東部地方が攻め込まれましたの。ローズベル様からワールド・スピリットを使わないように命令されたうえに、エリックが来るのが遅くなりますの。急いでいらしてくださらない?」
「は!? ワールド・スピリットの使用が禁止されただと!?」
ダークはかなり驚いている。
「攻め込まれたら使用していいはずだったぜ!?」
「シリウス様が怖がるから、可愛らしさでなんとかしなさいと言われましたわ。それもこれも、あなたの交渉が下手くそなせいですわ。責任を取ってくださらない?」
「俺はローズベル様に交渉なんてできる立場じゃねぇよ。命令されたらおしまいだ。頑張れよ」
「無責任に突き放さないでくださる!?」
シルバーは声を荒立てた。
「東部地方に何かあれば、全部あなたのせいだと報告しますわよ!?」
「勝手にしろよ。俺は中央部担当者だぜ。何のために地方担当者がいると思ってんだ?」
ダークの声が急に低くなる。怒っているのだろう。
「勝手な都合で呼び出そうとしたくせに、交渉が下手だの無責任だの言われて、助ける気になると思うか?」
「それは……その……」
シルバーはシュンとなる。これまでの威勢など全くない。
「悪いと思っておりますわ。でも、あなたが来ないと東部地方の闇の眷属が、みんな殺されてしまいますの。ですから、どうしても来てほしいのですけど……」
シルバーは涙ぐみ、両肩を震わせた。
「これが最後の会話になるのなら、まずは謝りますわ。あなたには迷惑を掛けましたわ」
「あー、そうだな。本当にそうだな」
ダークの声は投げやりだった。
「そういえば東部地方に行く用事を突然思い出した。久しぶりに砂漠の風に当たるか」
「いらしてくださるの!?」
シルバーは両目を丸くした。
ダークの笑い声が聞こえる。
「てめぇのためじゃねぇよ。クリス、傍にいるだろ。状況を簡潔に教えろよ」
「あ、はい!」
唐突に話を振られたクリスは、慌てて説明する。
「数多くの敵が襲撃しているようです」
「充分だ。とりあえずそっちに行くぜ。じゃあな、また後で」
ブローチの光は消えた。
この直後に、大勢の雄たけびが聞こえた。しかし、すぐに悲鳴に変わった。
クリスは感心した。
「ダーク様は強いですね」
「私たちも行きましょう。クリス、あなたも可愛い服装をしなさい」
「え?」
クリスは両目をパチクリさせた。
「こんな時にどうしたのですか?」
「ローズベル様からの命令を守るのですわ。可愛らしさで敵襲を蹴散らすのです!」
「ほ、本気でしょうか……本気ですよね」
クリスは、シルバーにジト目を向けられて反論を諦めた。ガックシと肩を落として、オレンジ色のドレスに着替えるのだった。
シルバーとクリスが屋敷から出る頃には、ほとんど勝負はついていた。
大勢の敵が血を流し、倒れている。
その真ん中でダークがほくそ笑んでいた。
「ワールド・スピリット抜きにこの人数の敵を倒すのは、いい運動になるぜ」
シルバーは頷いた。
「さすがですわね、ダーク・スカイ。あとはローズベル様の命令を守ってもっと可愛くなるだけですわ」
「落ち着け、俺がそんな命令をされるわけがねぇだろ」
「この頃はどんな命令が出るか分かりませんわ。備えあれば憂いなしですわ。衣装と化粧品ならすぐに用意できますわ」
「いらねぇ用意をしている暇があったら、軍部の手当てをしてやれ」
ダークは吐き捨てるように言って、片手を振った。
「あとはいいよな、俺は中央部に戻るぜ。コズミック・ディール、テレポート」
ダークが唱えたのは、ワールド・スピリットだ。空間転移をして、一瞬にして姿を消していた。
シルバーは決意を固めたように、青空を見上げた。
「あの男は巻き込んでみせます。私だけ苦労するなんて、あんまりですわ」
クリスは真横で聞いていた。そっと目を伏せる。
「ダーク様が可愛くなったら、僕だって惚れるかもしれないじゃないですか」
「きっとみんなが争うのをやめて、ダークの追っかけになりますわね。世界平和につながるかもしれませんわね」
シルバーはクリスに右手を差し出す。
「愛は世界を救うのですわ!」
「そのとおりですね!」
クリスは、シルバーの右手をがっちり掴んだ。
二人は謎の結束をしたのだった。
3
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる