蜜餐〜一途な狼騎士は塩対応の妖精娼婦を堪能する〜

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9 dessertーデザートー

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 初めて青い薔薇が送られてきた日から、毎日欠かさず薔薇が送られてくるようになった。青色のものだけでなく、赤色、紅色、ピンク色、はたまた黒色など初めて見る色のものもあり、その都度エレノアを驚かせた。
 そんな薔薇の花が七本、仲良く花瓶に生けられた日の朝、八本目の薔薇を知らず知らずのうちに心待ちにしていたエレノアが娼館の外を散歩していると、騎士団の隊服を来たトラ族の青年に遭遇した。

「おはようございます。こちらの娼館の方ですか? ん? ……もしや貴女がエレノアさんですか?」
「え? ええ、そうですが……?」
「やはりそうなのですね。あ、失礼致しました。自分はオーウェン副団長の部下でして、副団長が留守の間、エリーさんに贈り物を届けるように言付かっているんです」

 そう言って朗らかに笑った青年に、何だか申し訳ない気持ちになる。てっきり花屋に宅配でも頼んでいるものだと思っていたからだ。それが、わざわざ騎士団の隊員の一人が手ずから届けてくれていたとは。

「お忙しいのに毎日すみません」
「エレノアさんが謝る必要なんてありませんよ! 実は自分、嬉しいんですよね……あの副団長についに恋人ができたかと思うと。……あ、あれ、まだ口説いてる途中でしたっけ?」

 エレノアの表情を見て何かを察したのか、青年が気まずそうに頭をかく。しかしすぐに気を取り直したように口を開いた。

「副団長はカッコ良くて頼りになる男です。そりゃあちょっと厳つい顔してますけど、あれで結構モテるんですよ? あ、心配しないでください! 副団長は狼族だからめっちゃくちゃ、もうそりゃあ重いくらい一途なんで!」

 力説したり焦ったり、表情をくるくる変えて男の良さを伝えようとしてくる青年に、エレノアは気づいたら微笑んでいた。青年の頬がうっすら赤く染まる。

「はぇ、かわい……ってダメだダメだ、副団長に殺される! あ、じゃあこれ、今日の分です。また明日も来ますんでっ! それじゃ!」

 そう言うと、青年は慌てたように去って行った。
 エレノアは手渡された紅色の薔薇を胸に抱きしめると、その香りを深く吸い込んでまた小さな笑みを零した。




 十一本目の薔薇が届けられた日の午後、部屋でまったりしていたらミーナがやってきた。

「エリーちゃん、オーウェン様が帰って来られたって♡ もうちょっとでここに到着されるらしいわよぉ、早くお着替えしなきゃ!」

 まるで恋する乙女のように目を輝かせて言い募ってくる。

「え? 二週間かかるって……」
「そりゃあ、エリーちゃんに会いたくて頑張ったのよぉ♡ もー愛されてるぅ!」

 そう言いながら人差し指で頬を突っつかれる。綺麗に手入れされた爪が刺さって地味に痛い。

「いらっしゃったらすぐにお部屋に案内するわね♡」

 ひらひら手を振りながらスキップしそうな勢いで去って行ったミーナを見送ると、エレノアはいそいそと着替え始める。

(どうしよう、何着よう……あ、いや、別にそんな期待してるわけじゃ)

 そう否定しかけて、胸の前でぎゅっと拳を握り締める。

(……違う。本当は期待してる。オウが帰ってきて嬉しいって思ってる)

 ずっと、本当の気持ちを認めるのが怖かった。惹かれている事実を直視するのが苦しかった。相手が騎士団というエリート集団で副団長にまでなっている男だから尚更。ただでさえ自分に自信がないエレノアに、その存在はハードルが高すぎた。
 それでも、毎日のように送られてくる薔薇の花と、あの夜エレノアだけを見つめて愛を囁いた男のことを、少しだけ信じてみたいと思ったのだ。

 いつもより入念に支度をして鏡の中に及第点の顔が映った頃、扉を叩く音がした。

「エリーちゃん、オーウェン様がいらっしゃたわよぉ♡」

 どんな時でも調子の変わらないミーナの声音に、今だけは安心感を覚える。
 恐る恐る扉を開けた瞬間。

「あらあらあら~♡」

 ものすごい勢いで男の腕の中に閉じ込められた。

「うふふふふ♡ ごゆっくり~♡」

 すぐに扉が閉まる音がしたのでホッとしつつも、久しぶりに男と触れ合っている状況に鼓動が早まる。

「……会いたかった」

 男はそう呟くと、エレノアを更に強く抱きしめる。
 少し息苦しいが、その息苦しささえも何だか心地よく感じてしまって、腕の中から抜け出そうとは思えない。

 しばらくして気が済んだのか、そっと身体を離される。適切な距離に戻っただけなのに、急激に熱が遠ざかってしまった状況に体と心が追いつかなくて、どうしたらいいのかわからなくなる。

「エリー」

 名前を呼ばれただけ。それなのに全身の肌が粟立つ。恐る恐る顔を上げると、熱の篭った視線に絡め取られた。

(ど、しよ……すごくドキドキしてる……早く、早くオウに触って欲しい)

 頬が火照り、呼吸が浅くなる。あまりの息苦しさに思わず顔を背けようとすると、男の大きな手に拘束されてしまう。

「エリー、愛してる」
「っ……!」

 頬を優しく撫でられながら、真っ直ぐな眼差しで告げられた言葉。そのあまりにも真摯な響きが、エレノアの心の深く柔らかい場所へと染み込んでいく。
 視界がみるみるぼやけるが、泣き顔は見せたくなかった。今度こそ逃れるように身を翻すと、一瞬躊躇った後、男の手をそっと握る。そのままシャワールームへ向かおうと歩き出した瞬間、エレノアの身体が宙に浮いた。

「ひゃっ!?」
「……悪い、我慢できそうにない」
「あっ……」
「……と言っても俺は汚れているからな。とりあえずシャワーを浴びよう」

 そう言うと、男はエレノアを横抱きにしたまま歩き出す。

(な、何これ!? 恥ずかしすぎる……!)

 今までこんな風に抱きかかえられたことなんてなかった。まるでとても大切な存在にでもなったかのように感じ、胸がムズムズする。
 気恥ずかしさのあまり両手で顔を覆うが、男はそんなことなどお構いなしといった様子でさっさとシャワールームへ入ると、エレノアと自身の衣服を剥ぎ取ってしまった。そのまま石鹸を手に取り、エレノアの身体を洗い始める。

「ま、待ってください! 私がオウの身体を洗いますから……!」

 流石に客に体を洗わせるわけにはいかないと慌てるエレノアの視界に、男の大きくて逞しいーー傷だらけの体が映り込む。

「あっ……」
(この傷、前は無かったのに)

 男の胸部、鎖骨の下あたりに刃物で斬り付けられたような生々しい傷痕を見つけ、エレノアはひどく動揺してしまう。

「ん? どうかしたか?」
「えっ、あ……この傷って……?」
「ああ、ただの擦り傷だ。すぐ治る」

 まるで蚊に刺されたとでも言うかのような軽さで答えた男は、石鹸で滑ぬめる手をエレノアの尻に這わせてくる。

「んぁっ♡」
「はぁ……やっと触れる。……遠征中ずっとあんたのこと考えてた」

 恍惚とした表情を浮かべてうっとりと呟いた男は、執拗なほどねっとりとエレノアの尻を撫で回す。
 大きな手で淫猥に尻を揉みしだかれて、気づけば内腿を擦り合わせながら分厚い胸板に身体を擦り寄せてしまっていた。

「乳首立ってる……」
「ゃっ……!」
「ふっ、何を今更。あれだけ愛し合った仲だろ?」
「あ、愛し合ってなんて……」

 男が自分の体の反応を見て嬉しそうにしているのが恥ずかしくて反論すると、尻を揉みしだいている両手に更に力がこもった。思わずビクッと体を震わせたエレノアの耳元に、唸り声のような男の重低音が響く。

「もしかして忘れたのか? 俺たちがどんな風に愛し合ったか」
「へ……?」
「今日はただでさえ気が立ってるってのに……相当めちゃくちゃにされたいみたいだな」
「ちょっ、ちがっ! オウっ……ぁん♡」

 肌をくすぐるように撫でる不埒な両手が羽の付け根を捉えた。そのままやわやわと撫でられると、あの日の淫靡な交わりを思い出して腹の奥が熱くなる。

「ここ触るの……最初は嫌がってたくせに最後の方はイキまくってたよな?」
「ひゃぁっ♡ ぁっ、やめっ♡」
「可愛い……」
「んぅっ♡」
(耳元で囁かないでよぉ♡)

 浴室に響き渡る嬌声が今までにないほど甘ったるく卑猥に聞こえるせいで、体中が燃えるように熱くて目眩までする。
 男の逞しい胸板に顔を埋めて震えていると、執拗に羽を弄っていたはずの手がエレノアの顎を掴んだ。そして噛み付くように口づけられる。

「ふ、んぅ♡」

 ただ欲をぶつけるだけの余裕がない口づけ。気持ちよさで比べたらあの日の方がずっと上のはずなのに、男の熱が、匂いが、肌が、エレノアを翻弄して、口づけだけで達してしまいそうになる。

「っ、エリー……んっ」

 口づけの合間に名前を呼ばれて、腹の奥が疼く。既に水浸しだった秘部から愛液が溢れ出し、太ももを伝って床に落ちる。

(も、無理♡ このままイっちゃう♡ キスだけでイっちゃうよぉ♡)

 未知の感覚に戸惑うエレノアを恍惚とした表情で貪りながら、男の手が再度羽の付け根へ伸びる。
 男が何をしようとしているのか、気づいた瞬間には既に手遅れだった。

「んひっ、ぁ”あぁぁ”♡♡♡」

 思いっきり背中を反らせて達してしまう。

「ぁっ♡♡ はぁ、はぁ……♡ ん、ぁっ♡♡」

 過ぎた快感を受け止めながら荒く息を吐いていると、視界の先に鈍く光る男の牙が映り込んだ。

(ど、しよ……ほんとに食べられちゃう……)

 心臓が早鐘を打ち脳内で警報が鳴り響く。まともに思考が働かなくて、ゆっくりと迫ってくる男の顔を見つめることしかできない。

「エリー……」

 男の声がエレノアの唇を震わせる。怖いという感情は確かにあるのに、もっと男が欲しくて、早く食べられてしまいたくて仕方がない。

「あんたの中に入りたい」

 触れそうで触れない距離で、男の金色の瞳が鋭く光っている。絶頂後の無防備な顔を舐めるように見つめながら囁かれ、エレノアの中の何かが弾け飛んだ。

「んっ♡」

 自ら唇を寄せて舌を差し込む。一瞬、驚きで男の動きが固まった。でもすぐに舌を絡ませてきて、充足感に全身の力が抜けていく。

(もうどうなってもいい。オウが欲しい。早く……早く……)

 唾液が口の端から零れて頬を伝い、首筋に流れ落ちる。その細やかな刺激にさえ感じてしまって、あの日執拗に刻まれた朱い花はとっくに消えてしまったのに、目の前の男の執着は刻まれたまま消えなかったのだと心が叫ぶ。

 まるで一秒でも離れたら死んでしまうかの様に呼吸も惜しんで口づけていたエレノアは、いきなり壁に押し付けられて目を見開いた。鋭くも甘ったるい熱を帯びた金色の瞳に射抜かれる。
 うっとりと見つめ返すと男がエレノアの膝裏を持ち上げた。愛液ですっかり滑ぬめっている内腿に膨張した屹立を擦り付けられ、それがさらに固く大きく変化していくのがわかる。

(すごい熱い♡ こんなの中に入っちゃったらおかしくなる……♡)

 徐々に男の腰の動きが速まり、粘着質な水音が浴室に反響する。まるで粗相でもしたかのような愛液の量に、どうしようもないくらいの興奮が脳内を埋め尽くして、男を受け入れることしか考えられなくなる。

(お願い、早く入れて……! 早く私の中を埋めて!)

 膨れ上がった欲求を伝えたくて男の首に手を回す。そしてまた口づけが深まった瞬間。

「ん”っ♡♡♡ ん”ぐっ♡♡♡」

 一切の躊躇いなく男が押し入ってきた。圧倒的な質量と密着感のせいであっという間に絶頂へ押し上げられる。
 痙攣する膣壁に目一杯絞り上げられた男も、喉奥で低く呻き最奥目がけて白濁を噴射した。

(奥すごいっ♡♡ ビュービューされて……またイくっ♡♡♡)

 そのあまりの勢いにエレノアの最奥が悲鳴を上げるが、白濁の勢いは治まらない。

(もうイってる♡♡♡ イってるのに♡♡♡ 気持ちいいの止まんないよぉ……♡♡♡)

 快感のあまりエレノアの眦から涙が一筋零れ落ちる。一度零れ落ちてしまえばもう止めることはできなくて、どんどん涙が溢れ出す。

「っ!? す、すまない! 痛かったか?」

 涙のせいで霞んだ視界に、狼狽えた男の顔が映り込む。心なしかふさふさの耳も垂れ下がってしまっている。
 男が慌てて身体を離そうとしたので、持ち上げられたままだった左足を男の腰に回して阻止した。

「え、エリー……?」
「ふっ、ぐすっ……抜いたらだめ、なの……」
「っ!」

 男の耳が再び立ち上がり、しっぽが勢いよく揺れ始める。意図をしっかり汲み取ってくれたことに安堵して、知らず知らずのうちにエレノアは微笑んでいた。

「もっと、して……?」
「っ!?」

 男は何か信じられないものでも見たかのように目を見開いた後、思いっきり眉根を顰める。何かいけないことでも言ってしまったのかと不安になっていると、男がぼそりと呟いた。

「めちゃくちゃにしてぇ……」

 そのままエレノアを見据えて溜め息をつく。

「俺は……あんたを抱きたくて、あんたじゃないと満足できなくて、あの日から一度も抜いてねぇんだよ。だから今もすぐ出ちまったし、ほら……わかるだろ? 全然治まんねぇ」
 
 そう言って大きな手で下腹部を撫でられると、中に収まっているものの固さを意識して思いっきり締め付けてしまう。

「っ! あ”ー、……ただでさえおかしくなりそうなほど興奮してんのに、何でそんな可愛い顔するかな……」
「んっ……♡」
「俺に可愛いって言われて感じてんの?」

 眉間に皺を寄せた男が、おもむろにエレノアの右膝を持ち上げる。そのまま男の腰に巻き付けるように誘導されて、両足が床から離れてしまった。
 不安定になって一瞬身体が強張るが、強健な肉体はエレノアの全てを預けてもびくともしない。少しホッとして身体の力を抜くと、男の肌と熱杭を強く感じる体位だと気づく。それが何だか恥ずかしくて小さく身体を捩ったら、小さな笑い声が落ちてきた。
 その声に気を取られた瞬間、尻を鷲掴みにされて思い切り腰を打ちつけられる。

「あ”ぁ”ッ♡♡♡」

 最奥を穿たれてすぐに達してしまい、膣壁が激しく収縮する。それなのに、男は腰の動きを緩めず何度も何度も弱い部分を狙い打ってくる。

「あーすご……エリーん中、俺が欲しいってめちゃくちゃ締め付けてくる」

 打擲音と水音が混じり合い、浴室を満たす。そこにエレノアの嬌声まで響き渡って、二人の体温が更に高まる。男の肌から発せられる雄の匂いがどんどん強くなるせいで、湯に浸かっている訳でもないのにもうのぼせてしまいそうだ。
 エレノアは深い酩酊状態に陥りながらも必死に男の首元にしがみつき、荒い呼吸を繰り返す。もう何度も達しているせいで苦しくて仕方ないのに、男に触れられて立派な屹立で貫かれていると思うと、もっとくっついていたくて、男で満たされたくて媚びるように腰を揺らしてしまう。

(また深いの来る♡ 気持ちいいの止まんなくなっちゃう♡)

 限界まで収縮した膣壁が、力強い一突きで弾けた。

「う”ぁ”あぁぁあ”♡♡♡」

 雷に打たれたように全身が痙攣する。
 貪欲に絡みつく隘路に、すかさず男が濃厚な白濁を吐き出す。

「ぁ”……ぁ”……♡」

 最奥で獰猛に脈打つ男を感じながら、衝撃が和らぐのを待つ。男もエレノアを抱き込んだまま一言も発さない。
 流石に二回も続けて出せば一旦治まるだろうとぼんやり考えていたら、じわじわと腹の中が圧迫されていく。

(え……? 嘘、もう……?)

 男の回復の早さに戸惑っている間に、腰の動きが再開される。

「ふっ♡ はぁ、ぁ”っ♡♡ ひぁぁっ♡♡」
(あれだけ出したのに何でまだこんなに大きいの!?)

 男が絶倫だということはあの日散々身に染みていたはずなのに、それでも改めてその体力に呆然としてしまう。しかも、先ほどまではただ自身の欲をぶつけるだけの様な動きをしていたというのに、少し落ち着いたのか、今はひたすらエレノアの最奥を掻き回して官能を引き出すことに徹しているようだ。

(ずるい……こんなの気持ち良すぎるよ♡ やめてって言えなくなる……♡)

 ただでさえ敏感な媚肉を、立派な屹立で丁寧に愛撫されると全てを男に捧げてしまいたくなる。でもまだ微かに残った理性と羞恥心が素直な気持ちを口にするのを阻んでいた。それなのに。

「ここ、突かれるのほんと好きだよな」

 耳元で囁かれ、ゆったりとした動きで奥の気持ちいいところを捏ねられたらもうダメだった。抑えていた感情が唇から零れ落ちる。

「っ、好き♡ 好き、なの♡ オウ……♡」

 その言葉に金色の瞳を大きく見開いた男は、口角を上げながら肉厚の舌で自身の唇を舌なめずりする。そして素早くエレノアの両手を纏めて壁に押し付けると、空いている方の手で尻を支えながらねっとりとした腰使いで入り口と奥の弱いところを責めてきた。

「ひゃっ!?♡ あっぁん♡ あ、あぁっ♡」
「はぁ……エリーは俺に無理やり気持ちいいことされるのが好きなのか? それとも……俺のことが好きって意味か?」

 悪戯っぽい光を宿した男の瞳に見つめられ、顔が一気に熱を帯びる。

(ど、しよ……もう一回言うなんて恥ずかしすぎる)

 熱に侵されながらも、まだほんの僅に残っていた理性のせいで躊躇ってしまう。思わず目を逸らした瞬間、仕置きとばかりに熱杭で最奥を抉られた。

「ひぃ”っ♡♡♡」
「ほら言えよ」
「ん、ふぅ♡ はぁ、ぁっ♡ ぁぅっ♡」
(奥ばっか突かないで♡ 気持ち良すぎておかしくなる♡)

 弱いところをすっかり把握されているせいで、一突き一突きが脳天を突き抜けるほどの快感をもたらす。
 媚肉をこれでもかと可愛がられ続けるうちに、なかなか素直になれなかった心が蕩かされていく。力強くも甘やかに愛されながら鋭い視線で射抜かれていると、まるですっかり心の奥底まで見透かされている気がしてくる。

(好き……♡ オウ、好き……すき♡)

 口から零れるのは吐息と嬌声だけだったが、エレノアの瞳は恋情で潤んでいた。男は小さく息を呑んだ後、まるでこの世で一番大切なものに触れるかの様にそっと唇を重ねてくる。
 ただ触れるだけの口づけ。
 それは、今行われている濃厚な行為からは程遠い、優しくて繊細な口づけだった。

(だめ……こんなの……こんなキスされちゃったら、もう……♡)

 激情に燃える金色の瞳に誘われて、エレノアは口を開く。

「っ、オウ……♡」
「何だ?」
「オウ……ぁん♡ わ、私っ……♡」

 心臓がうるさいほど脈打ち、破裂しそうなほど苦しい。でも今ならば、男の瞳の奥に映っているのはただ一人、エレノアだけだと信じることができるから。

「好き……オウ、好きなの……♡」
「っ、エリー……!」

 今度こそ思い切り唇を貪られる。今にも食べられてしまいそうなほど、激しく。
 エレノアも夢心地で口付けを受け入れ、舌を吸いながら絡め合う。息をする間さえ惜しかった。

(好き♡ オウ、好き……好き♡)

 一度口に出してしまえばもう元に戻ることなどできない。

「っ、すき♡ オウ、んぅっ♡」

 一瞬だけ唇が解けた隙に漏れた言葉は、すぐに男の口の中へと飲み込まれてしまう。エレノアの言葉ごと愛撫する様に優しく舌を吸われ、口内をくすぐられながら唾液を啜られる。
 それが執拗なほど長い時間繰り返されて、次第にエレノアの意識が朦朧とし始める。

(きもちいい……♡ オウのキス、きもちいい……♡)

 まるで湯船に浸かっているかの様なのに、同時に重い快感がお腹の奥に溜まっていく不思議な感覚に、今にも意識が落ちてしまいそうになる。

「んっ……こら、気絶したらダメだぞ」

 すっかり身体から力が抜けてしまったエレノアに気づいたのか、男が声をかけてきた。重たい瞼を何とか持ち上げて男を見上げると、金色の瞳が鋭く輝いている。

「なんで、ちゅーやめちゃったの……?」

 自分でも聞いたことのないひどく甘えた声が出て、少しだけ我に返った。気まずさに目を逸らすと、男の大きな手で顎を掴まれる。

「可愛すぎるだろ……はぁ、後でもう一回してやるから、今はこっち見てろ」
「え……? ひぁ”っ♡」

 エレノアの中で膨れ上がっていた屹立が、ギリギリまで引き抜かれる。そしてすかさず叩きつけるように最奥へ押し込まれた。

「ん”ぁ”っ♡♡♡ ぁ”っ♡♡ はっ、ぁ”ぅ”っ♡♡♡」

 快楽の渦に一気に放り込まれて、視界が激しく明滅する。
 今この瞬間、エレノアの世界には男だけしか存在しなかった。男から与えられる苛烈な快楽だけがエレノアの世界で、それ以外は何もない。

(きもちいい♡♡ イく♡♡ またイっちゃう♡♡ イくっ♡♡♡ あ、そんなおくばっか♡♡ イってるのに♡♡♡ もうダメ♡♡ イくっ♡♡)
「ん”ぐっ♡♡♡ ぅ”ぁ”ッ♡♡♡♡♡」

 全身を痙攣させて達した瞬間、限界まで搾り上げられた熱杭から白濁が迸ほとばしる。

(もうむり……もうイけない♡♡♡ ぁ、おく……あつい♡♡ オウのせーしいっぱいでてる♡)

 三度目とは思えないほど大量の精が、エレノアの最奥で飛び散る。その刺激だけでまた達してしまい、終わりのない快楽に今度こそ本当に意識を手放しそうになる。

「エリー……ダメだ、まだ足りない。あんたが足りない」

 男の唇の感触がして、無意識のうちに口を開ける。肉厚の舌が口内をくすぐる感覚が心地よくて、夢中で貪り続ける。

 執拗な口づけと絶え間ない快感の中で、エレノアはもうすっかり自分が男に溺れてしまっていて、二度と離れられないのだと悟った。


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