本好きゆめの冒険譚

モカ☆まった〜り

文字の大きさ
15 / 90

第十四頁

しおりを挟む
 ゆめは深い眠りについていた…

「………け」

 ん?

「………ズケ」

 何か聞こえる。

「ヒザマズケ!」

 ヒザマズケ?そんな言葉は知らない。

 暗闇だつたゆめの視界は、突如明るくなる。

 そこには「とても豪華で大きな」城があった。
 門の中を覗くと、お祭り?多くの人たちが行きかっている。

 声が聞こえるのは、この先の城からのはず…
 私は人込みをかき分け、声が聞こえる城の方に向かっていった。人が多すぎて前に行けない。

 すると、瞬間移動よりも早い速度、場面転換のように、ゆめの目の前の映像が変わった。

 そこには、いかにも高そうな赤い絨毯と綺麗な装飾を施されたテーブルがあり、3人が座っている。

「跪けと言うのが、聞こえんのか!」

 筋肉の鎧でも纏っているのだろうか?大柄で金髪、口髭を蓄えた男が言っている。

「ヤハリ オオモノデハ ナカロウカ?」

 何だか単調な声が…

「私達、舐められてるわ!」

 女性の声も聞こえる。

 眼の前にいるのは、先程の大柄な男はさておき、「ロボット」がいて、フリフリのドレスと先っちょにハートの形の宝石を付けた杖を持っている「魔法少女」がいた。

「あの、ひざまずけ?って言葉、知らないんです。」

 3人は目を合わせ、頷いた。

 大柄な男は、

「じゃあ、仕方ないか…そのままで良いぞ!」

「あの、あなた達は、誰ですか?」

 3人は胸を張って、言い放った!

 …創造神ゼウス

 ゼウス?知らない人。と、ゆめは思い

「スミマセン、知らない人と話しちゃダメって言われてるから…。」

 すると、さっきまで胸を張っていた3人は慌てて私の前に「跪き」ながら、

「スマン!」「ゴメンネ~!」「ゴメン」と謝りだした。

 ゼウス「達」は言った。

「儂らの事は知らんのか?」
「はい、知りません…ごめんなさい。」
「全く、最近の者は信仰心が足らん!」と、困った様子。
「儂らはの、神様なんじゃよ。」

 どうやらこの男「達」は、ゼウスと言う神様らしいけど、知らないし…。

「その神様が私に何の用事があるの?」
「取り敢えず、儂らを元に戻して欲しいんじゃ。」
 何を言っているのか、解らない。

 ゼウス「達」は、続けて言った。
「桃太郎の御伽噺は知っとるじゃろ?」
「はい、小さな時からママが読み聞かせてくれました。」
「ちょっと言ってみ?」
「むか~しむかし、豪華で大きなお城があり…」
「待て~い!」
「何で、豪華で大きなお城なの?そこは「あるところに」でしょ!?」

 ゆめは、そうでしたと笑いながら続きを話す。
 色々と突っ込まれ、訂正されながら、噺を進めて行くと、

「そこじゃよ、そこ。なんで桃太郎が3人なんじゃ?」
「1人じゃ鬼に勝てないと思って…」
「桃太郎は良しとしよう。でも何で桃次郎は合体ロボで、桃子は女の子?儂、男の子よ?なんで魔法少女なの?」「だって、合体ロボは強いし、魔法少女は可愛いから。」
「あら、可愛いっだって♡」魔法少女のゼウスが喜ぶ。

 場の空気を取り戻さんと、大柄の「ゼウス」が咳払いをし、

「そう言えば主の名前を聞いておらんかったな?」
「私の名前は…」 名前を言おうとすると、バッと手のひらを私の言葉を制するように向けて「いや!言わんでも良い!儂が当てる!そうすれば、儂等が神様じゃと信じてくれるじゃろ?」
「それは、わからないです。」
「夢想と書いて「ゆめ」じゃな!ほれ、当たったじゃろ?儂らを神様と信じたじゃろ?」 ・・・なんだか自慢げだ。

 何も言わないゆめに痺れを切らしたゼウス「達」は「ねぇ、何で信じてくれないの~酷いじゃない!儂等、神様よ~ねぇ、なんでなんで~?」と駄々を捏ね始めた。

「だって、知らない人だし、パパとママの言う事を聞かないといけないし…。」

 そういう答えにポンッと納得の言った感じで手を叩き、「じゃあ、明日、パパとママに聞いてみるんじゃぞ。ゼウスって、な~に?って、絶対に聞くんじゃぞ?」

 わかりましたと頷いていると「では、また明日の~」 そう声だけ聞こえて視界が真っ暗になった。

「ゆめ、起きなさい。朝よ。」 いつものベッドの上かどうか、ゴロゴロしながら確かめる。

・・・何だったんだろ、あの夢。

 リビングで、私がテーブルに座るのを待っている、パパとママに、聞いてみた。

「パパぁ~、ママぁ~。ゼウスって人、知り合いなの?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。 草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。 そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。 「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」 は? それ、なんでウチに言いに来る? 天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく ―異世界・草花ファンタジー

処理中です...