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解散した後、屋敷に入ったヴァルファズルとグウェンドリンは執事に促された通り、まず各々が部屋に戻って荷物を置き、湯あみのために風呂に入ることになる。
その前に、グウェンドリンはマーガレットや部屋付きメイドたちに盛大に出迎えられた後、マーガレットに荷馬車に固定してある幼虫の入った箱を部屋に持ってきてほしいと伝えておいた。
「む、虫…幼虫ですか?」
「そう、その幼虫を入れている箱ともう一つ同じ空箱をここに持ってきてほしいの」
「この部屋に、ですか?」
「嫌なのは分かるのだけれど、この領地でとても重要になるかもしれない虫なの。
私が見つけたものだから、ここで大切に管理したいの」
「…わかりました、運ぶのは誰か侍従にやらせますが、構いませんか?」
「ええ、むしろ幼虫を運ばせることになってごめんなさいね。
あまり揺らさないように持ってきてくれると嬉しいわ。
それと、置いておくとしても大体1か月くらいで終わりだからそんなに長くはかからないからね」
流石に虫全般が苦手な女性へ虫の入った箱を運ばせるのは心が痛むところがあるので、グウェンドリンは侍従に運ばせるというのを拒否する事は無かった。
ただ、とても重要な幼虫になる可能性もあるので、慎重に運んでほしい旨を伝えた後で幼虫をこの部屋で面倒を見る期間に関しても大まかに伝えておく。
ずっと面倒見るわけではないと分かれば、多少はホッとできるものだ。
案の定、マーガレットや部屋付きメイドたちはホッとした顔をして胸をなでおろし、マーガレットは頼まれた箱を運ぶために部屋を出て、部屋付きメイドたちはグウェンドリンを風呂へと連れて行く。
湯あみが終わり、準備が整ったところでマーガレットが箱を部屋に持ってきた。
箱を抱えていた侍従は流石に女ばかりの子供部屋に入らせるわけにはいかないというマーガレットの判断で、部屋の前までは侍従に持ってきてもらったものの、部屋の扉を開ける前に侍従から箱を受け取ってそのまま別れたらしい。
箱の中の幼虫を見ないようにしつつ、グウェンドリンの指示通り、部屋の片隅の机の上にマーガレットが箱を置く。
蚕に直射日光は基本的にNGだが、暑くもなく寒くもない場所、乾燥しない場所で飼育するのが普通なので、この幼虫も同じように室温が程よく保たれていて直射日光の当たらない場所で飼育する。
箱を設置し終わった後、軽く幼虫の様子を確認した後、もう一つの空箱も隣に設置して、グウェンドリンは母の待っている居間へと向かう。
子供の時間ではないものの、今回は視察から戻ったことでの顔合わせも兼ねているので特別に許されている。
階段を下りて居間の扉をノックすると、扉の向こうから「どうぞ」と母の声がする。
入ればすでに身支度を整えて母と話をしていたらしい父の姿もあった。
「お母さま、先ほど戻りました」
「おかえりなさいグウェンドリン、怪我はない?危ないことも無かった?」
「はい、護衛の騎士たちがきちんと守ってくれましたし、賊の気配も特にありませんでしたから」
椅子から立ち上がってグウェンドリンの方へと急いで歩み寄ってくる母は相当心配していたらしい。
グウェンドリンをささっと椅子に座らせると、あれやこれやと心配していた旨を話すだけでなく、父から聞いていたらしき道中の話から危ないと思ったところを抜粋して聞いてくることもあった。
しかし、本当に問題なく視察が終わったという意見が父と一致していたからか、聞き出すことは聞き出して満足したころには、持ち帰ってきた幼虫の可能性の話、そしてその件に関してのこれからの話が始まった。
そしてその瞬間、グウェンドリンはあの幼虫が本当に天蚕または蚕だった場合、とんでもなく父が忙しくなると同時に自分にもいくらか仕事が舞い込んでくる可能性があるというのに初めて思い当たった。
「(しまった…!これ、下手すると私にも仕事が回ってくるのでは…!?)」
下手をすると父の仕事の一部を任されかねない状態にあるというのに気づいて、思わず内心で表情が引きつるような感覚を覚えた。
流石に両親に下手なところを見せることもできないので、表情だけはナサリー直伝の鉄仮面の如く動かしはしないが、任されるかもしれない事態に気が重くなる。
けれど父を忙しさの余り過労死させるのも嫌なので、ようやく娘と夫が戻ってきて嬉しそうな母を見ながらお茶を飲んで未来の自分に託すことにした。
明日以降の自分、頑張れ。人はそれを問題の先送りと言う。
その前に、グウェンドリンはマーガレットや部屋付きメイドたちに盛大に出迎えられた後、マーガレットに荷馬車に固定してある幼虫の入った箱を部屋に持ってきてほしいと伝えておいた。
「む、虫…幼虫ですか?」
「そう、その幼虫を入れている箱ともう一つ同じ空箱をここに持ってきてほしいの」
「この部屋に、ですか?」
「嫌なのは分かるのだけれど、この領地でとても重要になるかもしれない虫なの。
私が見つけたものだから、ここで大切に管理したいの」
「…わかりました、運ぶのは誰か侍従にやらせますが、構いませんか?」
「ええ、むしろ幼虫を運ばせることになってごめんなさいね。
あまり揺らさないように持ってきてくれると嬉しいわ。
それと、置いておくとしても大体1か月くらいで終わりだからそんなに長くはかからないからね」
流石に虫全般が苦手な女性へ虫の入った箱を運ばせるのは心が痛むところがあるので、グウェンドリンは侍従に運ばせるというのを拒否する事は無かった。
ただ、とても重要な幼虫になる可能性もあるので、慎重に運んでほしい旨を伝えた後で幼虫をこの部屋で面倒を見る期間に関しても大まかに伝えておく。
ずっと面倒見るわけではないと分かれば、多少はホッとできるものだ。
案の定、マーガレットや部屋付きメイドたちはホッとした顔をして胸をなでおろし、マーガレットは頼まれた箱を運ぶために部屋を出て、部屋付きメイドたちはグウェンドリンを風呂へと連れて行く。
湯あみが終わり、準備が整ったところでマーガレットが箱を部屋に持ってきた。
箱を抱えていた侍従は流石に女ばかりの子供部屋に入らせるわけにはいかないというマーガレットの判断で、部屋の前までは侍従に持ってきてもらったものの、部屋の扉を開ける前に侍従から箱を受け取ってそのまま別れたらしい。
箱の中の幼虫を見ないようにしつつ、グウェンドリンの指示通り、部屋の片隅の机の上にマーガレットが箱を置く。
蚕に直射日光は基本的にNGだが、暑くもなく寒くもない場所、乾燥しない場所で飼育するのが普通なので、この幼虫も同じように室温が程よく保たれていて直射日光の当たらない場所で飼育する。
箱を設置し終わった後、軽く幼虫の様子を確認した後、もう一つの空箱も隣に設置して、グウェンドリンは母の待っている居間へと向かう。
子供の時間ではないものの、今回は視察から戻ったことでの顔合わせも兼ねているので特別に許されている。
階段を下りて居間の扉をノックすると、扉の向こうから「どうぞ」と母の声がする。
入ればすでに身支度を整えて母と話をしていたらしい父の姿もあった。
「お母さま、先ほど戻りました」
「おかえりなさいグウェンドリン、怪我はない?危ないことも無かった?」
「はい、護衛の騎士たちがきちんと守ってくれましたし、賊の気配も特にありませんでしたから」
椅子から立ち上がってグウェンドリンの方へと急いで歩み寄ってくる母は相当心配していたらしい。
グウェンドリンをささっと椅子に座らせると、あれやこれやと心配していた旨を話すだけでなく、父から聞いていたらしき道中の話から危ないと思ったところを抜粋して聞いてくることもあった。
しかし、本当に問題なく視察が終わったという意見が父と一致していたからか、聞き出すことは聞き出して満足したころには、持ち帰ってきた幼虫の可能性の話、そしてその件に関してのこれからの話が始まった。
そしてその瞬間、グウェンドリンはあの幼虫が本当に天蚕または蚕だった場合、とんでもなく父が忙しくなると同時に自分にもいくらか仕事が舞い込んでくる可能性があるというのに初めて思い当たった。
「(しまった…!これ、下手すると私にも仕事が回ってくるのでは…!?)」
下手をすると父の仕事の一部を任されかねない状態にあるというのに気づいて、思わず内心で表情が引きつるような感覚を覚えた。
流石に両親に下手なところを見せることもできないので、表情だけはナサリー直伝の鉄仮面の如く動かしはしないが、任されるかもしれない事態に気が重くなる。
けれど父を忙しさの余り過労死させるのも嫌なので、ようやく娘と夫が戻ってきて嬉しそうな母を見ながらお茶を飲んで未来の自分に託すことにした。
明日以降の自分、頑張れ。人はそれを問題の先送りと言う。
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