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天蚕糸を巻き付けた丸めた紙の束を持って足早に執務室へと向かうジェームズは、部屋の外にいる侍従に部屋の扉をノックさせて、自らが来たというのを中にいるヴァルファズルへと伝えた後、入室を許可されて中へと入る。
中には執務机に向かって執務を行っているヴァルファズルと、その執務室に備えられているソファーに座って礼儀正しく待っている初老の男性と女性がいた。
「お待たせいたしました、こちらでございます」
そっと糸の巻き付けられた丸めた紙を恭しく渡すと、ジェームズは傍に使えていた侍従から役割を変わり、侍従にはソファーに座って待たせている初老の男性と女性へのお茶のお代わりを持ってこさせるために指示を出す。
そして紙を渡されたヴァルファズルはそれを持って初老の男性と女性へ、その生糸を見せた。
「これがそうだ。どうだ、まぎれもなく絹か?」
「ええ、ええ!色味は違いますが、この輝き、糸の艶、確かに絹と非常に似通っています!」
「むしろ今出回っている絹よりも艶や光沢に関しては上かもしれません。
緑掛かっていて透明な色味に近いですが、この光沢と艶であれば高位貴族がこぞって欲しがる布になるでしょう」
ヴァルファズルが糸の目利きを任せたのは、ヴォーダン伯爵家が出資していると御用達のテーラーの店主夫妻である。
夫がウルド、妻がヴェルザ。
店舗は先代当主である前伯爵が出資したことが始まりで、それ以降もヴァルファズルが出資を続けている店で、信用も置ける二人だ。
ちなみに、8歳の時のカトリーヌとグウェンドリンの初の夜会の時のドレスを手掛けたのもこの二人の店である。
そして、今回取れた糸が本当に絹なのかを選別するためにやってきてもらっていた。
もしも本当に絹である場合、優先的にこちらの店に卸して伯爵家の評判を上げる手伝いをしてもらうことも視野に入れて家に来てもらっている他、現在水面下で進めているドレスのレンタル業務もこの二人の店舗で行われることになっていた。
「それに、普通の絹糸よりもかなり長いですね。繭一つ分から取れた量がこれだけともなると、育成の難しさなどはあるかもしれませんが、上手く行けばかなりの量の絹が見込めるでしょうな」
「そのあたりはまだやってもいないから分からんな。たとえ量が取れたとしても、まずは王家に伺いを立てなければならん」
実のところ絹の輸入に関して大きく手を入れているのが王家だった。
自らの国で取れないけれど、ドレスなどでどうしても大量に使うことになる絹を一貴族に任せて輸入などしていると、その家がとんでもなく儲けてしまうことになるため、一つの家、または輸入業に関わる家々だけが富を独占しないために王家が絹の輸入に関しては大きく手を入れており、大部分は輸入国との平和条約などの際に取り決めた分でもある。
だからこそ、自国でも絹が取れるとなれば王家にその旨を伝えておかなければならない。
下手をするとこれ以上儲けるなと権利を王家に取り上げられる可能性もあるので、なるべく早く動いて、そして権利を発見者でもあるグウェンドリンに持たせるためにも素直に収入に関しての考えを述べなければならない。
しかし、この最上級のシルクを大量に作ることができれば、それだけでも他国への輸出品が一つ増えることになる。
この絹が話題になればなるほど、他国への一手を手に入れる事にもつながっていくので、場合によっては権利を持たせるグウェンドリンが他国へ強く出られる人間の1人にもなるだろう。
糸の時点での光沢の良さ、渇き気味の今だからこそわかるその強靭さに驚くウルドとヴェルザ夫妻を見ながらも、ヴァルファズルはあれこれと考えを巡らせる。
それと同時に、味方は一人でも多い方が良いとグウェンドリンの婚約者候補にもなっている息子がいるアルファズル侯爵へも打診を行っておこうと手紙の内容を考え始めた。
中には執務机に向かって執務を行っているヴァルファズルと、その執務室に備えられているソファーに座って礼儀正しく待っている初老の男性と女性がいた。
「お待たせいたしました、こちらでございます」
そっと糸の巻き付けられた丸めた紙を恭しく渡すと、ジェームズは傍に使えていた侍従から役割を変わり、侍従にはソファーに座って待たせている初老の男性と女性へのお茶のお代わりを持ってこさせるために指示を出す。
そして紙を渡されたヴァルファズルはそれを持って初老の男性と女性へ、その生糸を見せた。
「これがそうだ。どうだ、まぎれもなく絹か?」
「ええ、ええ!色味は違いますが、この輝き、糸の艶、確かに絹と非常に似通っています!」
「むしろ今出回っている絹よりも艶や光沢に関しては上かもしれません。
緑掛かっていて透明な色味に近いですが、この光沢と艶であれば高位貴族がこぞって欲しがる布になるでしょう」
ヴァルファズルが糸の目利きを任せたのは、ヴォーダン伯爵家が出資していると御用達のテーラーの店主夫妻である。
夫がウルド、妻がヴェルザ。
店舗は先代当主である前伯爵が出資したことが始まりで、それ以降もヴァルファズルが出資を続けている店で、信用も置ける二人だ。
ちなみに、8歳の時のカトリーヌとグウェンドリンの初の夜会の時のドレスを手掛けたのもこの二人の店である。
そして、今回取れた糸が本当に絹なのかを選別するためにやってきてもらっていた。
もしも本当に絹である場合、優先的にこちらの店に卸して伯爵家の評判を上げる手伝いをしてもらうことも視野に入れて家に来てもらっている他、現在水面下で進めているドレスのレンタル業務もこの二人の店舗で行われることになっていた。
「それに、普通の絹糸よりもかなり長いですね。繭一つ分から取れた量がこれだけともなると、育成の難しさなどはあるかもしれませんが、上手く行けばかなりの量の絹が見込めるでしょうな」
「そのあたりはまだやってもいないから分からんな。たとえ量が取れたとしても、まずは王家に伺いを立てなければならん」
実のところ絹の輸入に関して大きく手を入れているのが王家だった。
自らの国で取れないけれど、ドレスなどでどうしても大量に使うことになる絹を一貴族に任せて輸入などしていると、その家がとんでもなく儲けてしまうことになるため、一つの家、または輸入業に関わる家々だけが富を独占しないために王家が絹の輸入に関しては大きく手を入れており、大部分は輸入国との平和条約などの際に取り決めた分でもある。
だからこそ、自国でも絹が取れるとなれば王家にその旨を伝えておかなければならない。
下手をするとこれ以上儲けるなと権利を王家に取り上げられる可能性もあるので、なるべく早く動いて、そして権利を発見者でもあるグウェンドリンに持たせるためにも素直に収入に関しての考えを述べなければならない。
しかし、この最上級のシルクを大量に作ることができれば、それだけでも他国への輸出品が一つ増えることになる。
この絹が話題になればなるほど、他国への一手を手に入れる事にもつながっていくので、場合によっては権利を持たせるグウェンドリンが他国へ強く出られる人間の1人にもなるだろう。
糸の時点での光沢の良さ、渇き気味の今だからこそわかるその強靭さに驚くウルドとヴェルザ夫妻を見ながらも、ヴァルファズルはあれこれと考えを巡らせる。
それと同時に、味方は一人でも多い方が良いとグウェンドリンの婚約者候補にもなっている息子がいるアルファズル侯爵へも打診を行っておこうと手紙の内容を考え始めた。
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