二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

文字の大きさ
85 / 247

85.

しおりを挟む
あえてそういう制限があるところであれば、領地持ちの貴族家の女主人のようにいろいろとしなければならないということも少ないし、不勉強が祟ることになるだろうカトリーヌの将来的にも不勉強な部分があっても大丈夫な嫁ぎ先という点に合致する条件になる嫁ぎ先になる。

おまけに、伯爵家側としては現宰相との縁がつながる事にもなる。

次代に変わって宰相自体との縁が途切れたとしても、宰相は王弟なので王家との関係性を少々ながら持ち続けることもできるわけなので、益と言えば益。

王家御用達に認定されている以上、王家との関りもそれなりにあるが、縁組などを持ってきてもらったことでつながる縁はそれ以上に大きなもの。

だからこそ、カトリーヌの縁組として宰相補佐の家を宛がったのだ。

そろそろ話さなければならない、そう言って席を立ち、部屋を後にしたフリーンはお付きの侍女にカトリーヌが部屋にいるかを確認させた後、カトリーヌの部屋へと向かう。

案の定、部屋に入れば納得できない縁談に暴れたのが分かるような散らかりぶり。

侍女たちが必死に片付けようとしてもなかなか片付かなかったのだろうと分かるほど、衣服や調度品が部屋の中で散らばっている。

更にベッドの上で飲み食いしていた形跡も見られるので、嫌になってやけ食いでもした可能性もある。

「(また太りかねないことを…)」

フリーンはそう頭に手をやりたくなる衝動をぐっと抑えて、まだマシなソファーに座り、そして横にカトリーヌを座らせる。

「カトリーヌ、お父様が持ってきた縁談は気に入らなかった?」

「だ、だって、法衣貴族なんて領地もないし、それにお姉さまみたいにいっぱい贅沢できないじゃない…。
私、もっと素敵な人に出会いたいわ」

「もっと素敵な人、ね。それなら、あなたはもっと勉強を頑張らなければならないわ」

「もう私、すごく頑張ってるわよ!?」

「それ以上によ。グウェンドリンくらい頑張らなければならない、むしろそれ以上にやらなきゃいけないことが沢山あるでしょうね」

「どうして…?」

「伯爵家の状態でも頑張らなければならないことが沢山あるのは今でも分かっているでしょう?
これ以上の爵位の家柄ともなれば、もっとやらなきゃいけないことが沢山あるの。
礼儀作法だって完璧でなければならないし、時には外国からのお客様を迎えることだってあるから外国語もいくつもできなきゃいけない。
外国との縁組だってあるわけですからね。
自分の振る舞い一つで国に大きく影響が出るかもしれない、味方の少ない所で完璧を貫かなければならない、これは王家においてもそうでしょう」

「……」

「あなたが素敵な人に出会いたいというのは分かるわ。女の子ですもの。
自分が素敵だと思うこれ以上ない人に出会って結婚したい、そう思うのも仕方のない事でしょうね。
でも、それは市民の、平民にだけ許された行為よ。
貴族はそうはいかないの。
贅沢が許されている代わりに、権力がある代わりに私たちは領地のため、国のために結婚しなければならない義務がある。
長く貴族令嬢としての教育を受けているあなたであれば、分からないはずはないでしょう?」

「…はい」

「今回の縁談のお相手は、宰相様の補佐をされているお家柄で、あなたのいうお金持ちとかそういう素敵な人の枠からは外れているのかもしれないわ。
でもね、家からしてみれば宰相様からのご紹介というだけでも非常に素晴らしい縁組であることは分かるでしょう?」

「…はい」

「嫌でも受け入れなさい」

「……」

諭されるように続く言葉に、だんだんと言葉が少なくなり、最後には言葉も出なくなったカトリーヌの様子を見れば、まだ納得はしていないが理解はした、といったところなのだろうとフリーンは見当がついた。

また話さなければならないだろうと思いつつ、それでもかわいい娘の一人の頭を撫でて、今日の所は退室した。
しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

処理中です...