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それをいうと一時のカトリーヌも似たような状態だった。
グンナールのことがあったので、すぐにその釣書は撤回させてくれという連絡も来ていたようで、その当時の手紙がきちんと保管されていたのをグウェンドリンも確認している。
けれど、カトリーヌのような問題行動もなく、きちんとした跡取り令嬢であるヒルドはそれはもうモテたことだろう。
領地も相応に広大で、王国軍とも関係が良好な領ともなればそのおこぼれに預かりたくてやってくる釣書は絹を発見する前のグウェンドリンよりも多いはず。
それを想像するだけでもグウェンドリンはそれはもうぐったりするような感覚に襲われた。
そのとんでもない苦労を乗り越えた彼女をグウェンドリンは尊敬している。
自分は婚約の際にシュヴァルドで即行決まって、後はおしまいの状態だったし、グンナールに関してはほぼカトリーヌに押し付けたので関与することもあまりなかった。
トラブルが起きた時はほぼ相手側を悪者にして叩きのめすことができたのもあって、友好関係をある程度築かなければならない相手に円満にお断りするという対応で困ったことはそんなにない。
本来であればその辺りのことで困るのが普通なのだが、その普通を良くも悪くも経験していないので、今後の貴族的お話の時に不安があるのが現状である。
ただ、その点に関してはヴァルファズルがまだ当主であるからこそ目を配ってくれるので、まだ猶予はある。
事業に関してもきちんと顧問のようにグウェンドリンに指導と助言をしてくれる人間もいる。
だから、今はただひたすらに経験を積み、学ぶことが彼女にとって優先されることでもあった。
「そういえば、グウェンドリンはまだ会ったことが無かったわね」
親しいとはいえ、まだ正式な婚約者でもなかった相手では無かったのでグウェンドリンもヒルドの婚約者となった令息と会うのは控えていた。
万が一の間違いが起こらない相手であると胸を張っているとしても、下種の勘繰りをする人間はたくさんいる。
ヒルドの方もグウェンドリンの気遣いであり、お互いの保身の為でもあるその遠慮を分かっていてその遠慮に乗っかる形でいた。
信頼している友人で会っても、やはりお互いの名誉や家のためにもタイミングを見て合わせることを考える必要があるのが貴族というものだった。
「ちょっと待っていて、あっちで話をしているのよ。
なんでも、同じ軍閥の家柄で親しくしている令息がいたそうなの」
紹介するわ、と満面の笑みで提案してくれるヒルドにグウェンドリンも嬉しそうに笑ってその提案に乗る。
シュヴァルドの腕を少しだけ、くいと引いてアクションを起こせば彼の方もまた笑ってうなずいた。
シュヴァルドとしても同じ婿養子になる者同士、そして領地が非常に近しいからこその友好関係を築くためといった目的からしてもその令息と仲良くしていて全く問題はない。
ヒルドとグウェンドリンは長く固い絆で結ばれた友人だが、ヒルドとシュヴァルドは親が知り合い同士で、その縁で知り合った婚約者の友人と、友人の婚約者というのがそれぞれの立場だった。
むしろ、グウェンドリンを取り合うことの方が多い関係性である。
なので、男同士で仲良くできるのならそのつながりの方が多分やりやすいだろうなとも思ったのである。
「彼が私の婚約者なの」
そういってヒルドが腕を絡め、紹介したのは黒に近い茶髪に茶色の目をした気の優しそうな令息だった。
グンナールのことがあったので、すぐにその釣書は撤回させてくれという連絡も来ていたようで、その当時の手紙がきちんと保管されていたのをグウェンドリンも確認している。
けれど、カトリーヌのような問題行動もなく、きちんとした跡取り令嬢であるヒルドはそれはもうモテたことだろう。
領地も相応に広大で、王国軍とも関係が良好な領ともなればそのおこぼれに預かりたくてやってくる釣書は絹を発見する前のグウェンドリンよりも多いはず。
それを想像するだけでもグウェンドリンはそれはもうぐったりするような感覚に襲われた。
そのとんでもない苦労を乗り越えた彼女をグウェンドリンは尊敬している。
自分は婚約の際にシュヴァルドで即行決まって、後はおしまいの状態だったし、グンナールに関してはほぼカトリーヌに押し付けたので関与することもあまりなかった。
トラブルが起きた時はほぼ相手側を悪者にして叩きのめすことができたのもあって、友好関係をある程度築かなければならない相手に円満にお断りするという対応で困ったことはそんなにない。
本来であればその辺りのことで困るのが普通なのだが、その普通を良くも悪くも経験していないので、今後の貴族的お話の時に不安があるのが現状である。
ただ、その点に関してはヴァルファズルがまだ当主であるからこそ目を配ってくれるので、まだ猶予はある。
事業に関してもきちんと顧問のようにグウェンドリンに指導と助言をしてくれる人間もいる。
だから、今はただひたすらに経験を積み、学ぶことが彼女にとって優先されることでもあった。
「そういえば、グウェンドリンはまだ会ったことが無かったわね」
親しいとはいえ、まだ正式な婚約者でもなかった相手では無かったのでグウェンドリンもヒルドの婚約者となった令息と会うのは控えていた。
万が一の間違いが起こらない相手であると胸を張っているとしても、下種の勘繰りをする人間はたくさんいる。
ヒルドの方もグウェンドリンの気遣いであり、お互いの保身の為でもあるその遠慮を分かっていてその遠慮に乗っかる形でいた。
信頼している友人で会っても、やはりお互いの名誉や家のためにもタイミングを見て合わせることを考える必要があるのが貴族というものだった。
「ちょっと待っていて、あっちで話をしているのよ。
なんでも、同じ軍閥の家柄で親しくしている令息がいたそうなの」
紹介するわ、と満面の笑みで提案してくれるヒルドにグウェンドリンも嬉しそうに笑ってその提案に乗る。
シュヴァルドの腕を少しだけ、くいと引いてアクションを起こせば彼の方もまた笑ってうなずいた。
シュヴァルドとしても同じ婿養子になる者同士、そして領地が非常に近しいからこその友好関係を築くためといった目的からしてもその令息と仲良くしていて全く問題はない。
ヒルドとグウェンドリンは長く固い絆で結ばれた友人だが、ヒルドとシュヴァルドは親が知り合い同士で、その縁で知り合った婚約者の友人と、友人の婚約者というのがそれぞれの立場だった。
むしろ、グウェンドリンを取り合うことの方が多い関係性である。
なので、男同士で仲良くできるのならそのつながりの方が多分やりやすいだろうなとも思ったのである。
「彼が私の婚約者なの」
そういってヒルドが腕を絡め、紹介したのは黒に近い茶髪に茶色の目をした気の優しそうな令息だった。
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