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さて、そんなスパイの潜り込んだ事業側はというと、オーナーであるグウェンドリンの事業立ち上げに伴って両親がしっかりと選別した伯爵家内でも事業運営などに強い中年の身綺麗な男が選ばれて、社長室とプレートのある部屋で書類をさばいて仕事をしているのが常である。
しかし、綺麗に整えられ、基本的に従業員がいても穏やかで緩やかな時間が流れていることの方が多いのだが、そんな社長室をはじめとした古株が良くいる部屋が大騒ぎするのはこうしたスパイ騒動がある時であった。
「で、どうするかね、これは…」
頭を悩ませるのは、目の前で必死になって土下座をしながら「ここで働かせてください!」とグウェンドリンやカトリーヌであればなんだか見たことがあるような勢いで一人の女性がとにかく頼み込んでいるのである。
流石に女性に、それもこれまでよく働いてくれていた従業員に土下座をさせるのはと思って止めさせようとしたのだが、当の本人である女性が絶対に止めようとしなかった。
なにせ今まで良くしてくれた会社の人たちに対して裏切ったも同然。
「働かせてくれとはいってもな…」
詳しく話を聞いたところ、この女性はとある中小規模の商会の跡取り娘で、絹の取引に何か有利な情報は無いか探る事と、あわよくば絹の生産方法について知るために送り込まれたらしい。
跡取りなのに娘を送り込んだ理由としては、その他にも事業に関係する人間を婿として取り入れることができれば万々歳といった考えから送り込まれてきたらしい。
そしてそんな張本人は送り込まれたことに対して、当初は頑張らなければと思っていたらしいのだが、あまりにも働きやすい環境下にあっさりと自分の家の商会を継ぐよりグウェンドリンの事業で働くことを選んだ。
先ほどから必死になって追いすがっているこの女性に、自身の商会へ戻る事を促せば「嫌だぁああ!」と叫ぶ始末。
「絶対嫌です!綺麗な部屋!おいしいご飯が三食の上に残業なんかも極力無いようにしてくれているうえに休暇の相談もしやすい!
それに賞与もいっぱい出て!こんな良い所から帰るのはいやああ!!」
「「……」」
社長職に就いている男と、その秘書として勤める古株の男が顔を見合わせる。
これまでのスパイとは違って明確に帰る場所があるので勧めたらこのありさま。
まあ、言いたいことは分かると男二人の視線は語っていた。
「と、とりあえずグウェンドリン様の許可が出るまでは保留だ。
有休消化もかねて一応謹慎な」
「はい…」
すごすごと女性は自身が住まう寮へと戻る。
これで3回目なのでなんだか慣れが出始めている社内ではあるものの、社長である男だけでは決められないのも事実。
「グウェンドリン様に手紙を書くから、速達で頼む」
「もちろん」
しわくちゃの顔をして秘書にそう声をかけた社長はささっとペンと紙を手に取った。
しかし、綺麗に整えられ、基本的に従業員がいても穏やかで緩やかな時間が流れていることの方が多いのだが、そんな社長室をはじめとした古株が良くいる部屋が大騒ぎするのはこうしたスパイ騒動がある時であった。
「で、どうするかね、これは…」
頭を悩ませるのは、目の前で必死になって土下座をしながら「ここで働かせてください!」とグウェンドリンやカトリーヌであればなんだか見たことがあるような勢いで一人の女性がとにかく頼み込んでいるのである。
流石に女性に、それもこれまでよく働いてくれていた従業員に土下座をさせるのはと思って止めさせようとしたのだが、当の本人である女性が絶対に止めようとしなかった。
なにせ今まで良くしてくれた会社の人たちに対して裏切ったも同然。
「働かせてくれとはいってもな…」
詳しく話を聞いたところ、この女性はとある中小規模の商会の跡取り娘で、絹の取引に何か有利な情報は無いか探る事と、あわよくば絹の生産方法について知るために送り込まれたらしい。
跡取りなのに娘を送り込んだ理由としては、その他にも事業に関係する人間を婿として取り入れることができれば万々歳といった考えから送り込まれてきたらしい。
そしてそんな張本人は送り込まれたことに対して、当初は頑張らなければと思っていたらしいのだが、あまりにも働きやすい環境下にあっさりと自分の家の商会を継ぐよりグウェンドリンの事業で働くことを選んだ。
先ほどから必死になって追いすがっているこの女性に、自身の商会へ戻る事を促せば「嫌だぁああ!」と叫ぶ始末。
「絶対嫌です!綺麗な部屋!おいしいご飯が三食の上に残業なんかも極力無いようにしてくれているうえに休暇の相談もしやすい!
それに賞与もいっぱい出て!こんな良い所から帰るのはいやああ!!」
「「……」」
社長職に就いている男と、その秘書として勤める古株の男が顔を見合わせる。
これまでのスパイとは違って明確に帰る場所があるので勧めたらこのありさま。
まあ、言いたいことは分かると男二人の視線は語っていた。
「と、とりあえずグウェンドリン様の許可が出るまでは保留だ。
有休消化もかねて一応謹慎な」
「はい…」
すごすごと女性は自身が住まう寮へと戻る。
これで3回目なのでなんだか慣れが出始めている社内ではあるものの、社長である男だけでは決められないのも事実。
「グウェンドリン様に手紙を書くから、速達で頼む」
「もちろん」
しわくちゃの顔をして秘書にそう声をかけた社長はささっとペンと紙を手に取った。
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