二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

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手紙を片手にツカツカとピンと背筋が伸びた立派な淑女の姿で、フリーンはカトリーヌの自室の前に向かい、ノックをする。

響いたノックに部屋の中からカトリーヌ付きの侍女が出てきた。

すでにこの屋敷にカトリーヌの部屋に用がある人間など、メイドや侍女以外では母であるフリーンしかいない。

そして、部屋付きメイドも侍女も部屋の中にいたものだから、やってくるのはフリーンだけ。

そのため失礼にならないようにするためにも侍女がスッと出て来て対応したのである。

「カトリーヌはいるかしら?」

「はい、少々お待ちくださいませ」

そう言って侍女が部屋の中に入って、それから3分ほどしてから「どうぞ、お入りくださいませ」と侍女が再び出て来て、部屋付きメイドがしっかりと開いた扉の中をフリーンはくぐった。

部屋の中、カトリーヌはソファーの近くに立って母を迎えていた。

流石に前回座って出迎えた際のことを、姉にねちねち愚痴っていたことをタウンハウスのメイドたちの噂話から知っているため、前みたいにあれこれ愚痴を言われたくないので、立って待っていた。

「(あら、今日は立っているのね)」

そう思いながらも、フリーンは立ったままのカトリーヌに「まあ、座りなさい」と席を勧めた。

本来であれば部屋の主人でもあるカトリーヌが伝えても良い言葉だが、立場が上のフリーンが伝えたほうがまだ自然だった。

その言葉に静かにソファーに腰かけたカトリーヌに合わせて、フリーンも腰掛ける。

そして、すでに封の開けられた形跡のある手紙をカトリーヌに向けて見せる。

「ブラギ伯爵家から手紙が来ています。
あなたのブラギ伯爵家の滞在をいつから行うのか、という問いかけよ」

「!」

もう来たのか、そんな顔をカトリーヌがしたのをフリーンは見逃さない。

「それで、ヴァルファズルと話し合った結果、あなたには来週から1週間ブラギ伯爵家に行ってもらうわ。
流石にあなた一人だと不安だから、あなたの侍女にも一緒に行ってもらうからね」

黙り込んだままのカトリーヌに決定事項をつらつらと述べて、そして返事の手紙はすでに送ってあることも伝える。

「すでに返事は送ってあるから、あなたは準備をしておきなさい。
あちらで恥をかかないようにマナーの復習、礼儀作法の復習。
そして恥ずかしくない、清楚なドレスもきちんと用意しておくこと」

それだけ言うとフリーンは退室した。

最後の言葉はこの部屋にいるメイドと侍女への通達に近い。

スッとその意図を察したメイドたちと侍女は頭を下げて、従う意思を見せる。

カトリーヌは最後まで黙ったままなのが、フリーンとしては妙に気になったが、ぎゃんぎゃんわめきたてられることも無かったのもあって、ホッと胸をなでおろして自室へと戻っていった。
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