二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

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さて、そんなカトリーヌのいるブラギ家から離れたヴォーダン伯爵家では、フリーンが届いた二通の手紙を手に、窓の外を見ていた。

届いているのは、一通はブラギ伯爵家からのカトリーヌに関しての報告書のような手紙である。

これに関しては届くだろうというのは最初から分かっていたので、ヴァルファズルと相談のうえで視察からまだ戻ってなかった場合はフリーンが先に確認して構わない、という決断をしていた。

そして、視察後にどのような状態にカトリーヌがあったのか、あちらの反応はどうなのか、といったところを知るためにも必要な手紙でもあった。

そしてもう一通はカトリーヌ付きの侍女からの報告書であった。

こちらはカトリーヌ自身が何をどう考えて行動に移したのか、そうしたものを知るための報告書である。

また、ブラギ伯爵家の人間がいないところで馬鹿なことをしたりしていないか、それをチェックするためにも必要な手紙でもあった。

フリーンはそれぞれを確認し、ブラギ伯爵家には返事を書き、侍女の方にも返事というよりは指示を出すことを決めた。

「まったく、馬鹿なことを考えたものね」

伯爵家からの方の報告の手紙においては、緊張で最初はちょっと動きがぎこちなかったものの、今は普通の令嬢のように過ごしていること。

そして伯爵夫人との話に良く付き合い、ドジに関しても大きく呆れるようなことも無く付き合ってくれていると書かれていた。

そしてそれとは逆に、カトリーヌが考えていることなどをほぼありのまま掛かれているのが侍女の手紙である。

こちらにはカトリーヌが屋敷にいる時から考えていた、ドジな令嬢を演じようとしていたこと、そしてあまりにもドジすぎると自分にもデメリットが大きいと分かっているからか、ほどほどのドジをしていたことが書かれている。

それを見た瞬間に、フリーンはカトリーヌに呆れもしたが心底同情した。

フリーンはブラギ伯爵夫人とほとんど年齢が変わらないため、いわゆる学園にいる期間が被っている年代だ。

あちらの方が先輩ではあるものの、そのドジっぷりは学園中にとどろいていた。

本人は非常に優しい、人の良い令嬢であったのでそのドジっぷりに対しては呆れと嫌悪をする者もいたが、それ以上にそのドジっぷりが可愛らしいと容認されることも多かった。

その学園中に轟くドジをやらかす夫人相手に、その場しのぎのドジなどやろうなんて考え、浅はかにもほどがあった。

「(本当に何を考えているのかしらね)」

結局、カトリーヌのたくらみは何も成功しないまま滞在期間が終わり、こちらに帰ってくることになるだろう。

戻ってきたとしても、フリーンはカトリーヌに何も言うつもりはない。

馬鹿なことを考えたものだとは思ったものの、結局何もできないまま終わったも同然なので。

何も被害がないのであれば、何か言うだけ無駄だとフリーンは少し疲れたように深く息を吐いて、この気持ちを共有したい夫と娘が早く帰ってこないかと窓の外を見た。
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