二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

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見慣れた豪奢な玄関口に立ち、侍女を引き連れるような形で出迎えのメイドと侍従に扉を開けさせて、そして屋敷の中へと入る。

懐かしい、落ち着くとも感じる屋敷の匂いにやっと帰ってこれたとカトリーヌは一息ついたような心地を感じていた。

「帰ってきたから、お父様とお母様に伝えて頂戴」

自身が帰ってきたのに両親の出迎えが無い事にカトリーヌはちょっと腹を立てていたが、長期休暇中はどこも忙しいというのを他の家の事情を聞いて少し知っているし、ブラギ伯爵家も例に漏れず忙しそうだった。

実際あの家にお邪魔していた時にスカルドや伯爵との交流が食事の時間だけである日もあったし、向こうの両親が色々と手を回してやっとスカルドと一緒に過ごす時間ができるようなこともあった。

そして自身が楽しみにしていた友人たちも、長男長女の跡取りたちと両親はこの時期はどうしても忙しくて自分たちは放っておかれているのだと言っていた。

カトリーヌにも身に覚えのある事だし、これまでも夏場はどうしても色々と忙しかったのを思い出し、そういうものだとも思っていたので両親の出迎えが無い事にもあまり文句はなかった。

イラつきはするが。

「あら、カトリーヌ。おかえりなさい」

両親の出迎えが無いことにイラっとしていたカトリーヌに声をかけたのは、蒼銀の髪をシンプルにシニヨンに結い上げた姉、グウェンドリンだった。

苦手かつコンプレックスを感じている姉の出迎えに、カトリーヌは「うげっ」と思いつつも「ただいま」と一言返した。

「遠出して疲れたでしょう?部屋でゆっくり休みなさいな。
お父様とお母様には私の方からも帰っていることを伝えておきます」

そういって姉は早々に廊下に侍女と侍従を連れて歩き去っていった。

姉も跡取りである以上忙しい。

自身も両手に束となった書類を抱え、そして連れている侍女と侍従にも大量の書類とファイルらしきものを抱えさせていた。

幼少期であればあれこれ駄々こねていただろう自覚はあるが、カトリーヌもさすがに姉の邪魔をすればただでは済まない事を今ではよくわかっている。

「…はあー、部屋で休むわ」

姉に対してあれこれ言いたいのはいまだにある。

それでも年を重ねて言えないことであると理解してしまえば、口を噤むしかない。

不満を抱え続け、そしてブラギ伯爵家では目論見が破綻し、何もかもに疲れた様な感覚だけしか残っていないカトリーヌはふらふらしそうな足をしっかりと出して、部屋で休むと一言残して自室へと戻っていった。

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