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◎二年目、四月の章
■里奈は久しぶりにケーキを食べて感動してしまう
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里奈が頼んだオススメメニューはハーブティーにイチゴのショートケーキだった。
スイーツなど食べたのはいつ頃だっただろうか。里奈は思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。
「食べていいから」
「……おごりの意味わかってるわよね?」
「もちろんだよ。それでも納得できないなら、君の腕を強く掴んでしまったお詫びだと思ってくれたらいい」
「そこまで言われちゃ仕方ないわね」
そう言う里奈の視線はケーキに注がれる。
嬉しい反面、施しを受けているようでモヤッとしたのだが、本人がそう言うのなら食べてやろうと思うことに里奈はした。
「いただきます」
「どうぞ」
久遠はカフェラテには何も入れず、スコーンにジャムをつけて食べている。
その動作が里奈と違って品のある動作だ。
対して里奈はクリープと砂糖を入れてハーブティーを口にする。
一見するとやってることは変わらないはずだが、自身の動作が子供っぽく感じてしまう。
「古輪くんって落ち着いた感じなのね」
「それを僕が意識したことはあまりないかな」
久遠は首を捻っている。褒め言葉としては微妙な線だったと思うし、それは里奈も自覚している。
「それでこの手紙の内容は本当なのかい?」
久遠はテーブルの上をを滑らせながら紙片を里奈の方に寄せる。
久々のイチゴショートケーキは里奈の五臓六腑にあまりに染みた。
こんなにおいしい食べ物なのかと感動して涙を流したくなるほどに。
「とりあえずケーキを食べてから話そうか」
久遠はやれやれと呆れた表情を浮かべながら、自身もカフェラテとスコーンを食べはじめるのだった。
スイーツなど食べたのはいつ頃だっただろうか。里奈は思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。
「食べていいから」
「……おごりの意味わかってるわよね?」
「もちろんだよ。それでも納得できないなら、君の腕を強く掴んでしまったお詫びだと思ってくれたらいい」
「そこまで言われちゃ仕方ないわね」
そう言う里奈の視線はケーキに注がれる。
嬉しい反面、施しを受けているようでモヤッとしたのだが、本人がそう言うのなら食べてやろうと思うことに里奈はした。
「いただきます」
「どうぞ」
久遠はカフェラテには何も入れず、スコーンにジャムをつけて食べている。
その動作が里奈と違って品のある動作だ。
対して里奈はクリープと砂糖を入れてハーブティーを口にする。
一見するとやってることは変わらないはずだが、自身の動作が子供っぽく感じてしまう。
「古輪くんって落ち着いた感じなのね」
「それを僕が意識したことはあまりないかな」
久遠は首を捻っている。褒め言葉としては微妙な線だったと思うし、それは里奈も自覚している。
「それでこの手紙の内容は本当なのかい?」
久遠はテーブルの上をを滑らせながら紙片を里奈の方に寄せる。
久々のイチゴショートケーキは里奈の五臓六腑にあまりに染みた。
こんなにおいしい食べ物なのかと感動して涙を流したくなるほどに。
「とりあえずケーキを食べてから話そうか」
久遠はやれやれと呆れた表情を浮かべながら、自身もカフェラテとスコーンを食べはじめるのだった。
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